不審物持ち込みのイメージ(写真:産経新聞)

 警視庁公安部は不審者らの出入国を把握できる通報システムにより、全昶漢容疑者の再入国の動きをつかみ、身柄確保につなげた。一方、全容疑者は爆発物の材料とみられる物品とともに入国。出国の際に韓国側の保安検査をすり抜けており、入国の際に日本の税関は見つけることができなかった。懸念が高まる国際テロの抑止に向け、“水際対策”の不安が浮上した。

 全容疑者の逮捕に貢献したとされるのは「事前旅客情報システム」(APIS)。入国する航空機の搭乗者情報を記した名簿を航空会社が提供し、入国拒否事由などに該当する人物リストと自動照合される。

 警察当局はテロリストや逮捕状を取った人物を登録しており、全容疑者も登録していたもようだ。

 供述などから、全容疑者は爆発物を仕掛けようと再来日した可能性が高い。捜査関係者は「重大な事態につながる前に身柄を確保できたのは大きい」としつつ、「危険物が容易に持ち込まれたとすれば、その事実も大きい」と懸念する。

 航空機への危険物持ち込みの検査は出国側が担う。石井啓一国土交通相も11日の会見で「航空機内への危険物持ち込みの保安検査は、出国側が行うことが国際ルール」と強調し、全容疑者が韓国を出国する際に使った金浦空港側に責任があることを強調した。

 国土交通省によると、国連の専門機関「国際民間航空機関」(ICAO)が非公開の保安基準を設けており、各国はこれに準じた対策を取っている。日本では航空会社が航空法に基づいた保安手続きを実施している。「韓国側がどんな態勢で荷物をチェックしているかは確認していないが、監視の目をすり抜けた事実は重い」(入管関係者)