麹町署から警視庁本部に移送される全昶漢容疑者 =9日午後、東京都千代田区(川口良介撮影)(写真:産経新聞)

 全容疑者の突然の再入国に警視庁が対応できたのは、テロ対策のために導入された「事前旅客情報システム(APIS)」によるところが大きい。

 APISは海外から国内に入国する航空機に搭乗した旅客の氏名、国籍、生年月日などを記した名簿を航空会社が提供するシステム。提供された名簿は税関当局と入国管理局が閲覧することができ、入国拒否事由に該当するなどとして登録した人物リストと自動照合される。米中枢同時テロ(2001年)後に導入が検討され、平成17年に運用開始。18年からは入管難民法の改正を受けて全航空会社から提供を受けている。

 警察当局はテロリストのほか、逮捕状を取っている容疑者などの不審者情報を入管当局などを通じてリストに登録し、動向把握に活用。導入初年の17年の1年間だけで、指名手配されていた日本人11人と外国人6人が逮捕されるなど成果を上げてきた。

 今回、警察当局は全容疑者の情報をAPISに登録していたもようだ。警視庁は連絡を受けて捜査員を羽田空港に派遣。建造物侵入容疑で逮捕状を請求するなど、入国後の逮捕に向けた態勢を整えていた。