2日、ダッカの立てこもり現場から救出された人質を搬送する救急車。

 週末を控えた金曜日の夜、外国人客らで盛り上がる首都屈指の人気カフェは、武装集団の襲撃で一瞬にして「戦場」と化した。

 バングラデシュのダッカで起きた人質立てこもり事件。現地からの報道などを基に、凄惨(せいさん)なテロ事件を再現した。

 夜も更けた午後9時ごろ、各国大使館が集まるダッカのグルシャン地区。こだわりの石窯で焼いた手作りのパンやピザが人気の店「ホーリー・アルチザン・ベーカリー」は、50人近い客でにぎわっていた。中には、連れ立って訪れた日本人男女8人の姿も。現地で活躍するさまざまな国籍の人々が1週間の疲れを癒やしながら、身の上話に花を咲かせていた。

 突然、銃声と爆音が響き渡る。「アラー・アクバル(神は偉大なり)」。客の耳に届いた言葉は、世界各地でテロを繰り返すイスラム過激派の決まり文句。襲ってきた5人の男は、戦闘用ライフル銃や刀剣、手りゅう弾、爆発物で武装していた。店の従業員は英紙ガーディアンに「実行犯は2階に上がり、そこから乱射した」。パニックで逃げ切れなかった客ら30人以上が残され、人質となった。

 数分後には警察が到着。実行犯は銃と手りゅう弾で応戦し、警官2人が死亡した。現場を囲んだ治安部隊が日本人やイタリア人ら人質の解放を再三要求するも、実行犯は一向に応じない。現地駐在イタリア大使は「彼らは交渉するつもりはない。自爆ミッションだ」と同国メディアに語った。

 地元紙デーリー・スターによると、娘の誕生日を祝うため家族で店を訪れ、事件に遭遇した男性は「実行犯はバングラデシュ人には丁重だった。(イスラム教聖典)コーランの一節を暗唱できるか1人ずつ尋ね、できた人質は難を逃れた」と証言した。