韓国人の男の足取り(写真:産経新聞)

 靖国神社(東京都千代田区)の公衆トイレで爆発音がして不審物が発見された事件では、事件直後の早い段階から不審な男が浮上し、警視庁公安部が足取りを追いながらも国外脱出を許してしまった。来年5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)など重要イベントが迫る中、危険人物の出入国を防ぐ“水際対策”が重要課題になっているが、その難しさが改めて浮き彫りになった。

 「防犯カメラを活用した捜査は年々洗練され、スピード感も上がっているが、こうも短期間に出国されると時間的な限界がある」。捜査関係者はこう説明する。

 防犯カメラの画像から、事件に関与したとみられる韓国人の男は、爆発音がする約30分前から現場周辺を歩き回っていた。神社東側から敷地に入り、トイレ周辺へ移動。爆発音がする直前、神社南側の靖国通りから立ち去ったとみられる。

 公安部は防犯カメラの解析を進めるなどして男の足取りをさらに捜査。神社を出た後は歩いて移動し、千代田区内のホテルに向かったことが判明し、事件直前に入国した韓国人の男とみられることを突き止めた。

 しかし、公安部は宿泊したホテルを家宅捜索したものの、事件に直接つながる物証は発見されなかった。捜査関係者は「出国していれば全容解明のハードルは高くなるだろう」と話す。

 男は日中、人出の多い神社を歩き回り、ハングルが記された電池を遺留するなど身元判明につながりかねない行動をした疑いがある。公安部は組織性のない「ローンウルフ(一匹おおかみ)」型の人物だったとみており、警察関係者は「過激なテロリストだけでなく、ローンウルフも脅威になりうる」と強調する。