17日、ソウル中央地裁に入る加藤・前ソウル支局長(左から3人目)=井上宗典撮影

 【ソウル=豊浦潤一】朴槿恵(パククネ)韓国大統領の名誉を傷つけたとして名誉毀損(きそん)罪に問われた産経新聞の加藤達也・前ソウル支局長(49)に対し、ソウル中央地裁が17日、無罪判決を出したことは、韓国国内でも驚きをもって迎えられた。

 韓国では近年、国民の「反日感情」に沿った司法判断が目立つが、今回の裁判では、起訴を批判する国内外の世論や対日関係への波紋を無視出来なかったとみられる。

 韓国国内ではこれまで、「裁判長の心証は『有罪』」との見方が強かった。公判で李裁判長は、今回の事件が「名誉毀損ではない」と証言した米国人ジャーナリストに対し、ドイツでは「人間の尊厳」が重んじられると持論を展開。「証言は米国の価値観だ」と切り捨てる場面もあった。

 韓国の裁判所は、行政組織の一部である検察とは異なり、政権の顔色をうかがうことはないという評価がある一方で、「世論の動向には敏感だ」(ソウルの法曹関係者)との見方がある。「正義を守る最後のとりで」として国民の支持が不可欠との考えに基づいているとされる。