行方不明の娘を捜して救助活動の前線本部で手がかりを求め涙を流す母親=台湾台南市で2016年2月7日、鈴木玲子撮影
【台南・鈴木玲子】「早く助けて。でも、あんなにつぶれてしまった中にいたら、娘は……」。6日未明に台湾南部を襲った地震で倒壊した台南市永康区の16階建てビルのすぐ近くに設置された前線本部は、家族や友人らの救出を待つ人々でごった返している。その中に疲れ切った表情で娘を捜す母親がいた。
台南市の崑山科技大3年の娘、黄若欣(こう・じゃくきん)さん(21)はビル15階の一室を友人3人とルームシェアしていた。黄さんら4人はコンビニエンスストアでアルバイトしながら大学に通う苦学生仲間。4人ともに安否不明のままだ。
同市に住む母親は「地震が起こってすぐに娘に電話をかけたけれど、つながらない。4人は仲がとても良かった。なんでこんな目に」と涙を流した。何か手がかりを求めて本部をさまようが娘の情報は入ってこない。黄さんたちの部屋はがれきの下敷きになり、救助活動が最も困難な場所らしい。
本部には救出された住民の情報も入ってくる。ビル9階にいた邱国雄(きゅう・こくゆう)さん(32)はがれきの間で発見から12時間以上たって救助された。わずかな隙間(すきま)を頼りに救助を待った。だが構造物に阻まれて救助隊が中に入れず救助は難航。崩れ落ちそうな障害物を慎重に取り除いていく。