新たに確認された中国公船の主な動き(写真:産経新聞)

 ■日中漁業協定で取り決め

 中国漁船が尖閣諸島の海域に大挙して押し寄せてきた場合に備え、海上保安庁は19日も厳重な警戒を続けた。だが、領海への侵入を水際で阻止する備えは十分ではない。領海の手前で漁船を取り締まることができないのが現状だからだ。

 「大漁船団が接続水域に入って操業したとしても違法ではない」。そう語る海保関係者の表情は複雑だ。

 海保によると、領海(沿岸から約22キロ)の外側にある接続水域(約22キロ幅)では、国連海洋法条約に基づき、銃器、麻薬などの密輸入を防ぐための取り締まりができるほか、国内の法令に違反した疑いのある外国船舶を公海まで追跡する権利も認められている。

 接続水域は日本の排他的経済水域(EEZ)内にあるため、本来は沿岸国の同意なしに他国が漁業や海洋調査ができず、違法操業は取り締まり対象でもある。

 しかし、北緯27度以南に位置する尖閣諸島周辺の海域は、日中漁業協定で両国が自由に操業でき漁船の取り締まりは行わない取り決めになっている。

 このため、水際で警戒を続ける海保も取り締まることはできず、「漁船や公船に対して『領海には入るな』と警告するしかない」(海保幹部)のが実情だ。