笹子トンネルに入る国土交通省の専門家委員会メンバーを乗せたバス=4日午後、山梨県大月市(小野淳一撮影)(写真:産経新聞)
トンネル内崩落 死亡の中川さん、埋もれたトラックから電話メッセージ
山梨県の中央自動車道笹子トンネルで起きた天井板崩落事故で、死亡した中川達也さん(50)が事故直後、天井板に埋もれたトラックの中から職場の上司に携帯電話で電話をかけ、最後の力を振り絞り両親へのメッセージを残していたことが5日、わかった。
中川さんが勤務していた食品卸会社「海老正」(東京都新宿区)によると、中川さんは事故に巻き込まれた直後、直属の上司である甲府営業所長の携帯電話に数回電話をかけ、2日午前8時18分と39分の2回、伝言を残していた。
「おやじに伝えて、さよなら」。けたたましく鳴り続けるクラクションの音で、大半は聞こえなかったが、唯一、はっきりと聞こえたのが、父親へのメッセージだったという。
その後、中川さんが目的地に時間通りに着いていないことを知った所長は、他の職員とともに何度も中川さんの携帯電話に連絡。正午過ぎに1度だけ本人が出たため、「今どこ?状況は?」と問いかけると、中川さんは「所長助けて」と声を絞り出したという。
中川さんは最後に母親へのメッセージを残し、「さよなら」と言って電話が切れたという。