吉田昌郎氏(写真:夕刊フジ)  2011年3月の東京電力福島第1原発事故に関し、政府の事故調査・検証委員会が、事故発生時に所長として対応に当たった吉田昌郎氏(13年7月死去)に聞き取り調査してまとめた「聴取結果書」(吉田調書)を、産経新聞が入手、18日朝刊で報じた。朝日新聞は5月20日朝刊で「所長命令に違反 原発撤退」と報じたが、吉田調書を読む限り、朝日報道の「命令違反」という印象は感じられなかった。  吉田氏への聴取は11年7月から11月にかけ計13回、延べ27時間以上にわたり行われた。調書はA4判で約400ページに及ぶ。当時の菅直人首相について、「あのおっさん」「何だ馬鹿野郎というのが基本的な私のポジション」などと批判する部分も見逃せないが、注目は朝日報道の違和感だ。  朝日はこの調書をもとに、5月20日朝刊で「所長命令に違反 原発撤退」「福島第1 所員の9割」と書き、11年3月15日朝に第1原発にいた所員の9割に当たる約650人が吉田氏の待機命令に違反し、10キロ南の福島第2原発へ撤退していたと指摘している。  だが、調書を読むと、吉田氏は、細野豪志首相補佐官(当時)に事前に電話し、「(事務関係者ら)関係ない人は退避させる必要があると私は考えています。今、そういう準備もしています」と話したことを披露し、「本当は私、2F(福島第2原発)に行けとは言っていないんです。私は福島第1の近辺で線量の低いようなところに一回退避して次の指示を待てと言ったつもりなんですが、2Fに行ってしまったというんでしようがないなと」などと、伝言ゲームによる指示の混乱については証言している。