1年ぶりに警戒区域内のふるさと・請戸漁港を訪れた志賀基明さん。5キロ先には福島第1原発の排気筒やクレーンが見えるが、漁港周辺の放射線の空間線量は毎時0.1マイクロシーベルト前後と低く、防護服も着なかった=福島県浪江町で9月、栗田慎一撮影

 東日本大震災の津波で壊滅し、東京電力福島第1原発事故で警戒区域となった福島県浪江町の請戸(うけど)漁港。港は放置され、漁師の多くが内陸部で避難生活を送る。同漁港の漁師、志賀基明さん(49)は、除染作業に奔走している。「一日でも早く帰郷できるように」。漁師一家の3代目は、おかに上がった。
 台風17号が接近中の9月末、請戸漁港の壊れたままの岸壁は、荒波を受けていた。視線を南に転じると、5キロ先に第1原発の排気筒やクレーンが見えた。

 「東電と国が漁業を奪い、漁村も崩壊させた」。防護服も着ずに岸壁に立った志賀さんは原発をにらんだ。