天皇、皇后両陛下を乗せ、パラオ・コロール沖に停泊する海上保安庁の巡視船「あきつしま」=9日午前(代表撮影)

 天皇、皇后両陛下は、戦後70年の戦没者慰霊のため訪問したパラオでの日程を無事終えられた。慰霊のための外国訪問は2005年6月の米自治領サイパン以来。1度は断念したパラオ訪問にかける両陛下の強い思いが、今回の訪問を実現へと導いた。

 戦後60年を前にした03年。宮内庁は両陛下の意向を受け、パラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島3カ国への訪問を検討した。しかし交通や通信事情が悪く、政府専用機が着陸できる滑走路もないため見送りとなり、サイパンだけとなった。
 だが、「戦没者を慰霊して平和を願う天皇陛下のお気持ちにゴールはなく、10年前から変わっていない」(宮内庁幹部)。両陛下の強い希望を背景に、戦後70年を前に再びパラオ訪問の可否が検討された。

 訪問を可能にしたきっかけの一つは、海上保安庁の巡視船「あきつしま」の就役だ。長距離の行動能力を備え、大型ヘリ2台を搭載できる世界最大級の新鋭船。同船を使えば、海保のヘリで中心地コロールからペリリュー島への移動が可能になる。
 さらに、両陛下が巡視船に宿泊することで、ホテルから飛行場まで移動する必要がなくなる。側近が実際に宿泊して検討を重ね、船長室にベッドを増やすなどの改良を加えることで実現にこぎ着けた。「限られた時間の中で効率的に動いていただける。両陛下には十分説明してご理解いただいた」(同幹部)という。
 同国との往復に、政府専用機より一回り小さい民間のチャーター機を利用することで、滑走路の問題もクリアした。