破壊された旧日本軍の戦車が残されたジャングルを訪れ、手を合わせる丁子八重子さん。兄の実さんをペリリュー島で亡くした=パラオ・ペリリュー島で2015年4月8日午後1時40分、長谷川直亮撮影
 ◇「こんな穏やかな場所で死闘とは…」

 かつて日米両軍が凄惨(せいさん)な戦いを繰り広げた太平洋の島国、パラオに8日、天皇、皇后両陛下が到着された。約70年前の戦闘で大切な家族や仲間を失った遺族や元兵士は、心待ちにしていた訪問に、喜びをかみしめた。【真鍋光之】

 両陛下が到着した空港から南西に約50キロのペリリュー島。約1万人が戦死した最大の激戦地だ。その島での戦闘で兄を失った千葉県銚子市の丁子(ようろご)八重子さん(78)は8日午後、同じ島にいた。

 戦後50年の1995年に「戦死した場所をどうしても見たい」と島を訪れたことがある。「こんな穏やかな場所で死闘があったなんて想像つかなかった」。その島を両陛下が訪問するとニュースで聞いたのは昨年のことだ。大病を患って入院し、退院した時期だった。

 「行ってくださるんだとうれしかった。南洋で散った人たちはとても喜ぶはず。私もどうしても行きたかった」と語った。

 両陛下が到着した8日。丁子さんは20年ぶりの島で、旧日本軍の戦車がある林に分け入った。「召し上がってください」と言いながら、日本から持参した日本酒を車輪に振りかけた。「両陛下はこの島で戦死した人のことをずっと心に留めてくださっていた。ありがたいことです」。声が詰まった。