記者会見で消費税率8%への引き上げを発表する安倍晋三首相=首相官邸で2013年10月1日午後6時16分、竹内幹撮影  「半世紀前のこの日のように、再び希望と活力を取り戻す」。1日、来年4月からの消費増税を表明した安倍晋三首相は、自らの意欲を49年前の10月1日に開業した東海道新幹線になぞらえた。しかし、消費増税は収入が少ない人ほど負担感が強まる。「これ以上、暮らしを切り詰められない」。そう訴える人々にも、希望と活力がわく時代は来るのだろうか。  「わたしたちは忘れ去られていくのでしょうか」。地元で採れるノリの販売店を津波で流され、仮設店舗で営業する岩手県大船渡市の伊東修さん(60)は言う。消費増税の最悪のシナリオとして心配するのは、観光客やボランティアが次第に減って地元の景気が後退し、若者が街を離れることだ。  店で扱う商品に軽減税率の適用がなければ経営を直撃する。さらに地元では来年3月までに商店・飲食店街のかさ上げ工事が終わる見込みで、伊東さんも出店したいと考えている。だが2020年東京五輪などによる建設需要の高まりで、店舗の建設費も高くつくかもしれない。「このままでは消費増税で負の連鎖が始まり、被災者の立ち直る意欲をそぐ。暮らしに必要な商品に軽減税率を適用し、観光客が減らない手立ても講じてほしい」  一方、原発事故によって福島県郡山市から新潟市へ長女(12)、次女(11)と自主避難している主婦の磯貝潤子さん(39)は、仕事の都合で自宅に残る夫と約1年半、離れ離れで暮らしてきた。「ただでさえ食費が二重にかかり、切り詰めて生活している。夫が新潟に来るためのガソリン代も負担は大きい。子どもは育ち盛りで、成長に応じて靴などの日常品にもお金がかかる。増税されれば先が見えなくなる。子育て世代に配慮してほしい」と訴えた。【根本太一、蓬田正志】