南海トラフの新予測(写真:産経新聞)

 南海トラフ(浅い海溝)で起きる大地震について、政府の地震調査委員会が新たな長期予測を公表した。東海・東南海・南海地震の発生確率を個別に算出する従来の手法を12年ぶりに変更。東海の切迫性が特に高いとする「東海地震説」を事実上否定し、連動型の巨大地震を視野にトラフ全域での防災対策を促している。(長内洋介、黒田悠希)

 ■個別評価を撤廃

 南海トラフは西日本を乗せた陸側プレート(岩板)の下にフィリピン海プレートが沈み込む場所だ。両プレートの境界部ではひずみが蓄積し、100〜200年程度の間隔で大地震が起きる。東端の駿河湾から四国沖にかけて、マグニチュード(M)8級の東海・東南海・南海地震の震源域が順に並んでいる。

 地震調査委は平成13年に公表した従来予測で、これらの3地震について「ほぼ同じ場所、同じ規模で周期的に発生する」と評価。江戸時代以降の発生間隔などを基に、30年以内の発生確率を今年1月時点で東海88%、東南海70〜80%、南海60%程度と算出していた。

 新予測では、こうした震源域ごとの個別評価を撤廃。近年の研究で、3地震は別々ではなく連動して巨大化する場合もあり、発生パターンは複雑で多様なことが分かってきたからだ。見直しの背景には、複数の震源域が連動して想定外の巨大地震が起きた東日本大震災の反省もある。