ボランティアで竹灯籠の竹筒にろうそくを入れる秋山壽鷹さん=17日午前4時25分、神戸市中央区(写真:産経新聞)

 抱え続けた後悔「忘れたらあかん」

 阪神大震災の被災地は17日、あの日から19年を迎えた。キーンと冷えた朝は、あの日と同じだった。愛する人を失った無念さ、悲しみ、寂しさはどれだけの時が経ようが消えることはない。それでも、前を向いて生きていかなければならない。かじかむ手を合わせ、涙をぬぐいながら誓う。「あなたを忘れず、生きていきます」。20年目の一歩を踏み出す、その一日がはじまった。

 多くの人が集う神戸市中央区の東遊園地。たくさんの竹灯籠から漏れるともしびに埋もれるように、兵庫県明石市の会社員、秋山壽鷹さん(66)がいた。後悔の念は消えないが、それでも伝えていかなければならない。鎮魂のためにともされる竹灯籠に、1つずつ火をともしながら、「忘れたい。忘れたいけど、忘れたらあかんな」とつぶやいた。

 発生時間の2時間近くも前、午前4時すぎから、秋山さんは、ボランティアとして加わっている竹灯籠の準備作業を始める。ろうそくの温かな火を1つずつともしていく。ろうそくの火が、母を襲った炎に重なり、涙が止まらない。それでも、「心が少し、楽になった気がする」という。