人影も無く、静まりかえった夜明け前の浄土ケ浜(長時間露光)(写真:産経新聞)

 被災地の海水浴場に2年ぶりに歓声が響いた。眩(まばゆ)い日差しが照りつけ、澄んだ海には鮮やかな色の海藻が茂っている。水しぶきを上げながら子供たちは浅瀬の海藻を持ち上げて笑顔を見せた。

 岩手県宮古市の「浄土ケ浜」は環境省が選定する、「快水浴場百選」に選ばれた国内有数の海水浴場だ。東日本大震災の津波は、白い石浜を持ち上げて浜の形状を変え、がれきを残していった。江戸時代にこの浜を訪れた僧侶が「さながら極楽浄土のごとし」と言った風光明媚(めいび)な景観は一転した。

 子供を連れて浜を訪れた、ある保護者は「多くを奪い去った津波が押し寄せたこの場所で子供たちを遊ばせるのは」と言葉を詰まらせながらも「自然の美しさと恐ろしさを子供たちに教えるためには、そばにある海から目を背けることはできない」と話した。

 多くの人たちの尽力で浜は姿を取り戻した。水面下に潜む、がれきが残る限り海水浴場として再開することができなかったが、これも全国から集まったボランティアのダイバーらの協力で取り除き、今年の再開に至ったという。