福島第1原子力発電所の吉田昌郎元所長=福島県大熊町で2011年11月、代表撮影  東京電力福島第1原発事故の刑事責任の有無を捜査している検察当局が、政府の事故調査・検証委員会が作成した吉田昌郎(まさお)・元同原発所長の「聴取書」などを差し押さえたことが分かった。元所長は体調不良で事情聴取が難しいとされ、立件の可否を判断するには聴取書が不可欠と判断したとみられる。だが、政府事故調は原因究明重視の立場から刑事責任を追及しない前提で聴取書を作成しており、議論を呼ぶ可能性もある。  政府関係者らによると、政府事故調は原発事故発生から約5カ月後に吉田元所長の聴取を開始。やりとりは録音し、聴取は複数回、計数十時間に上った。これに基づき聴取書を作成し、その上で事故の報告書をまとめ、12年7月に公表した。  報告書によると、東電は08年、従来の想定を大幅に上回る最大15.7メートルの津波を独自に試算。吉田元所長は当時、東電本店の原子力設備管理部長で具体策を検討する立場だったが、「(15.7メートルは)第1原発に最も厳しい試算をした結果に過ぎず、津波は来ない」などと考えて対策を先送りしたとされる。