「私は健二」と書かれた紙を持つ児童養護施設の子供たち=フェイスブックより
「大事なものをたくさん残してくれた」。イスラム過激派組織「イスラム国」(IS)が殺害したとするフリージャーナリスト、後藤健二さん(47)を知る人たちは、無念さを抱きながら、戦争や貧困に苦しむ人々に寄り添い、その姿を伝え続けた後藤さんの人柄に思いをはせた。
「I AM KENJI(私は健二)」。そう書いた紙を持つ自分の写真をフェイスブックに投稿し、後藤さんの無事解放を願う輪は、世界中に広がっていた。専用ページ開設から10日あまりで、寄せられた「いいね」は約4万5000件。呼びかけ人の米ニューヨーク在住の映像プロデューサー、西前拓さん(52)は「これ以上ない激しい怒りを感じる。世代や人種を超えて集まった祈りが、ISにも通じると信じたかった」と無念さをにじませた。
投稿には、児童養護施設の子供たちが「I AM KENJI」の紙を持つ写真があった。後藤さんと親交があり、取材報告を受けていた西前さんも、聞いたことのない施設。場所は不明だが、後藤さんが訪れていたようで、「本や映像という成果物に見えないところで、その何倍、何十倍もの人々に会いに行き、愛されていた。それを改めて知った」と西前さんは言う。