菅義偉官房長官は8日の記者会見で、国連の女性差別撤廃委員会が最終見解で慰安婦問題に対する日本政府の取り組みが不十分と指摘したことについて「(昨年末の)日韓合意を批判するなど政府の説明を十分踏まえていない。極めて遺憾で受け入れられない」と批判した。
政府は7日、ジュネーブ国連代表部を通じて同委に口頭で遺憾の意を申し入れ、抗議した。
菅氏は「日韓外相間で合意し、両首脳が確認したものだ。潘基文(バン・キムン)国連事務総長らも歓迎しており、国際社会の受け止めと大きくかけ離れている」と反論。合意について「両政府が誠実に実行に移すことが極めて大事だ」と改めて強調した。外務省幹部も見解について「指摘は的外れだ」と不満を漏らす。
同委では2月に対日審査会合があり、日本からは外務省の杉山晋輔外務審議官が出席。日韓合意を説明した上で、元慰安婦の強制連行は「確認できなかった」と主張した。
菅氏は、同委が杉山氏の説明を受けて、慰安婦について「性奴隷」の用語を使わず、「慰安婦」の表現に統一した点を指摘し、「事実関係や政府の取り組みはしっかり説明できた」と強調した。【小田中大】