御嶽山を登る上條剛志さん=9月28日午前、御嶽山山頂付近(上條さん提供)
間近に迫る噴煙、灰に埋もれた人-。御嶽山噴火翌日の9月28日、DMAT(災害派遣医療チーム)の一員として唯一、山頂付近で救護活動を行った長野県安曇野市の医師、上條剛志さん(56)がインタビューに応じ、当時の状況について語った。
上條さんは、山での傷病治療の専門知識を持ち、実地訓練の経験も豊富。日本登山医学会から「山岳医」認定を受けている。DMATは危険度が非常に高い現場での医療活動を目的にしていないが、消防隊から傷病者を診て救急搬送の要否や順位を決める「トリアージ」の実施を要請され、同行したという。
頂上付近まで約3時間半かけて登り、倒れている人にトリアージをした。噴煙が間近に迫る中、灰に埋もれ冷たくなった手を握って脈を取り、生命兆候の有無を確認。救命不能と判断し、搬送順位を最後とする黒いタグは十数人に付けたという。
山頂付近は降灰で足場が悪い中、上條さんの近くでは消防隊員らが救助活動を黙々と続けた。命に別条はないが歩行できない負傷者には、黄色のタグを付け、自衛隊員らが順次搬送したという。