御嶽山山頂付近で救助活動をする消防、自衛隊員ら=28日午後、長野・岐阜両県境(本社ヘリから、甘利慈撮影)(写真:産経新聞)
「膝まで火山灰が積もり、目の前で少なくとも3人が埋もれた」。御嶽山が噴火した当時、山頂付近にいた女性3人が28日、岐阜県下呂市に下山し、当時の様子を生々しく語った。噴火後、噴煙に包まれて視界が利かず、落下してきた岩石で大勢が傷ついた。メンバーの一人は「リュックを頭に乗せていたため、中に入っていた魔法瓶で命が救われた」と語った。
3人は千葉県松戸市と栃木県日光市の65~73歳の主婦のグループで、27日早朝から3人で入山した。
異変が起こったのは、山頂の御嶽神社社務所近くで、昼食の弁当を食べていたときだった。大きな爆発音がして突然真っ暗になった。3人は急いで社務所近くに避難したが、あっという間に、灰が膝の高さまで降り積もった。「もう駄目だと思いました」。メンバーの一人は、こわばった表情で振り返った。
付近には大きな石が落下し始め、社務所の幅約50センチのひさしの下に2人がかがみ込み、体が入りきらなかった松戸市の女性(69)は抱えていたリュックを頭の上に乗せて身をかがめた。他の登山客らと身を寄せ合った。
周囲を見渡すと、積もった灰の中にリュックや登山のステッキの一部だけが見えた。少なくとも3人が灰に埋まっていた。頭から血を流した男性が「背中が痛い、痛い」と苦しみながら何度もつぶやき、30分後には動かなくなった。