台風10号の大雨で川が氾濫し、浸水した住宅地=北海道南富良野町で2016年8月31日、本社機「希望」から丸山博撮影

 台風10号に伴う大規模な浸水被害が発生した北海道南富良野町が、スマートフォンや携帯電話を通じて災害・避難情報などを提供するサービスを活用できていなかったことが分かった。

 同町は災害時の情報伝達手段の一つとして、ホームページなどを通じてメールアドレスの登録を呼びかけた独自の「防災メール配信サービス」と、携帯電話会社への連絡を通じて対象エリアにいる住民が受信できる緊急速報メールの2種類を導入している。

 今回、町は8月30日午後7時半から11時半の間に、実際に浸水被害が起きた幾寅、落合両地区の99世帯211人と、ダム放流時の増水に備えるための2地区の51世帯98人に避難準備情報や避難指示を出した。

 町職員らが電話連絡や戸別訪問で伝えていたが、二つのメール配信サービスは使われなかった。職員がさまざまな対応に追われていたためという。さらに町独自の防災メールに登録していたのは、町職員と家族分の6人にとどまっていた。

 住宅が点在する同町には防災行政無線がなく、30日夜以降は停電して電話もつながりにくくなり、31日午前3時ごろのサイレンで事態の深刻さに気付いた住民もいた。

 スマートフォンの普及に伴い、メールによる災害時の情報伝達が注目されている。一方で、機種や電波状況によっては受信できないケースもある。

 安部浩明・町総務課長は「想定外の災害で、体制や対応に問題があったのは事実。今回の災害を検証し、見直しに役立てていく」と話した。【横田信行】