豪雨被害で孤立している岩手県岩泉町の安家地区には、土砂災害の爪痕が色濃く残っている =3日午後(写真:産経新聞)

 台風10号による甚大な被害を受けた岩手県岩泉町では3日、自衛隊などが孤立集落での物資配布や捜索活動を本格化させたが、同町内では依然、19集落で孤立状態が続いている。山間部を通る道路の寸断が、多くの箇所で解消しないためだ。この日も、川沿いの道路に面した狭い平地に集落が点在する地形が、自衛隊の救援活動を阻んだ。

 「この先の孤立状態の人たちに支援物資を届けようにもトラックが入れない。小さな集落のためヘリが着陸できる場所がない」

 崩落した岩泉町内の幹線道路を眺めながら、陸上自衛隊岩手駐屯地の男性隊員はため息をついた。反対側の山肌は岩で覆われ、道を広げることはできない。

 同町は深い谷底を流れる川沿いに多数の集落が点在しており、川の増水による崩落や倒木で幹線道路の大半を含めて通行止めが多発した。町では3日正午時点で計289世帯、602人が孤立したままとなっている。

 さらに狭い平地に住宅が密集しているため、足場の悪さが活動を妨げる。ヘリコプターの入れない集落にはバイクや徒歩で物資を届けているという。同駐屯地第9特科連隊、柳裕樹隊長は「孤立集落が多く、難しい状況だ」と話す。

 一方、3日には幹線道路の一部が開通するなど、道路の復旧は徐々に進んでいる。同日夕の会見で伊達勝身町長は「1週間後をめどに道路の寸断が解消できるかもしれない」との見通しを示した。

 孤立状態にある住民の中には、救助隊がたどり着いても自宅待機を希望する人も相当数いる。伊達町長は「もともと大雪が大変な地域で『(備蓄の)米と水さえあれば死なない』という人が多い。ただ、安全確保のためにも道路が開通するまでは避難するよう説得を続ける」と話した。