流水で地面が陥没し、宙づりになったシカ柵のくいと金網=北海道本別町で、JA本別町提供

 台風10号の豪雨による土砂流出で、北海道十勝地方ではエゾシカの食害を防ぐため広範囲に設置している侵入防止柵が壊れる被害が確認されている。今後、深刻な大雨被害の中でも何とか出荷できる状態の残った農産物が、畑地に入り込んだシカに荒らされる恐れがある。本別町の畑では既にシカの足跡が見つかっており、関係者は頭を抱えている。

 本別町や足寄町など十勝地方北部はシカの生息数が多く、農業関係者は日ごろから農産物被害に神経を使っている。道のまとめによると、2014年度の十勝地方のシカによる農業被害は約6億4700万円に上り、特に北部で被害が大きい。

 本別町は対策として地元農協などと連携し、1998年からシカのいる山間部と平地の境に、高さ2.2メートルの侵入防止柵「シカ柵」を総延長93キロにわたって設置。シカ柵は鉄や木製のくいに金属製の網を張り巡らせたものだが、大雨で発生した土砂流出や流木で押しつぶされたり、くいの根元の土が洗い流されて倒れたりした。

 JA本別町によると、大量の土砂が残っているため詳細な調査はできていないものの、破損箇所は相当数に上る見込みだという。破損の範囲が1.5キロに及ぶ場所もある。壊れた部分には応急措置として一般の畑地用の電気柵を取り付けているが、既にビートやジャガイモ畑でシカの足跡が多数確認されている。担当者は「シカは隙間(すきま)を見つけると、そこから次々に入り込む」と警戒する。