大雨の影響で鬼怒川が氾濫し住宅街に取り残された人がいないか探す自衛隊員=10日午後、茨城県常総市(蔵賢斗撮影)(写真:産経新聞)
鬼怒川の堤防が決壊するおよそ2時間前の10日午前10時半、大雨に見舞われた茨城県常総市には、すでに異変が確認されていた。
県道24号沿いから北に走る道には、あふれた水が少しずつ押し寄せていた。カメラとパソコンを抱え、タクシーから飛び出すと、みるみるうちに水位が増していく。
気づけば、腰ほどの高さまで達していた。流れも早く「正直怖い」と感じた。タクシーには引き返せず、やっとの思いでたどり着いたのが、住民の避難先となっていた地域交流センターだった。
すでに多くの住民が避難し、幼い子供を連れた母親や大切な愛犬を抱える住民も。「めったにないことだから半信半疑で周囲の様子をうかがいながら避難してきた」。住民の鈴木美枝さん(88)は疲れた表情を浮かべた。
身動きが取れず、自衛隊員や消防隊員、警察官に救助された住民も多かった。自営業の男性は「事務所は水浸し。すぐ復旧できるように頑張るしかない」と言い聞かせていた。