東日本大震災4周年追悼式で岩手県の遺族代表の内舘伯夫さん

 政府が11日に開いた東日本大震災4周年追悼式で、岩手県の遺族を代表して内舘伯夫さんが思いを述べた。全文は次の通り。

 はじめに、いまだご遺体が見つからない方々のご冥福を祈り、ご遺族の方々にお悔やみ申し上げます。

 あれから4年がたちます。毎日の生活の中で、ふとした時に、父との温かい思い出に優しく包まれます。そして、その少し後に、あの大きな津波の光景と冷たい泥や無数のがれき、父の遺体と対面した記憶がよみがえり、悔しさで胸が苦しくなります。

 そんな時は、父が「俺のことよりも他の人を」と言っている気がします。津波にのまれる時に、父が最後にそう伝えていたのかもしれません。私よりも、もっとつらい体験をされた多くの方々を思い、自分の気持ちをこらえます。

 数百年、数千年に一度と言われる震災を経験した私たちは、時の経過とともに前へ進みます。形あるものは、いずれ復興をとげ、後世に残るでしょう。

 時々、時間とは反対に進む気持ちがあります。記憶が少しずつ薄れてゆくのではないかという恐怖と、胸に閉じ込めた記憶を忘れてはいけないという気持ちです。しかし、それを思い出せば、悲しく、悔しく、後悔と自責の念に駆られます。

 形あるものの復興とともに、私たちがこれからの数百年、数千年先へ、その悲しさを優しさに、その悔しさを何かを許す心に、その後悔と自責の念を、生きている私たちがお互いを思いやり助け合う心にしたことを、伝え残していくこと。

 それが、私たち日本がこの震災を乗り越えた証しとなり、亡くなった方々への最大の敬意であると信じ、一日一日を大切に過ごしていきます。

 岩手県遺族代表 内舘伯夫