元あった場所に建て直される「風の電話」。設置者の佐々木格さん(右)も作業を手伝った=岩手県大槌町吉里吉里で

 亡くなった人に思いを伝える電話ボックスとして、東日本大震災の遺族らを癒やしてきた岩手県大槌町の「風の電話」が7~8日の強風で倒壊した。惜しむ声が上がり、自らも利用者だった大工がボランティアらと修復作業に乗り出し、10日に再建した。

 「風の電話」は、同町のガーデンデザイナー、佐々木格(いたる)さん(69)が震災翌月の2011年4月、自宅の庭園に設置した。黒電話の回線はつながっていないが、大切な人に会えなくなった被災遺族らが一人きりの空間で故人に思いを語りかけてきた。

 昨年末まで約1万3000人が利用したが、強風で三角の屋根は外れ、側面ガラスも4面のうち3面が粉々になった。利用者が思いをつづる備え付けのノートは無事だった。

 修復したのは、隣の山田町で建築業を営む港郁男さん(59)。震災で義理の母親が行方不明となり、妻裕子さん(51)とともに風の電話を利用してきた。「復興が落ち着いた段階なら修復は考えなかったが、まだまだ利用者は多いと思って」と作業を買って出た。使えなくなったドアの部材を再利用するなど手際よく修理した。