カトマンズから北東へ60キロの中国国境に近いバラビセでは、建物が倒壊するなど大きな被害が出ている=5月2日、ネパール・バラビセ(早坂洋祐撮影)(写真:産経新聞)
【シンドパルチョーク(ネパール)=天野健作】ネパール大地震で最多の約2千人が亡くなり、今も約3千人が行方不明となっているシンドパルチョーク地区に2日、入った。幹線道路には岩石が落ちて大型車が通れないため、支援が届かずに孤立している集落がいくつも見られた。土砂崩れのため、そっくりなくなった集落もあるといい、被害の甚大さがうかがえた。
首都カトマンズから約80キロ。四輪駆動車で約3時間、未舗装の道路を乗り越えて曲がりくねった道を進むと、がれきと化した小さな集落があった。
がれきの横でたたずんでいたブッゾ・シマレストさん(17)は「全部壊れてしまった」とつぶやいた。集落には約70人が住み、唯一形をとどめたのは教会。それもあちこちひび割れて中に入るのは危険だという。この集落では一人が骨折しただけで死者はいないが、水や食糧などは何も届いていなかった。
山道を2時間歩いた先には、斜面にあった集落がそっくりなくなってしまったといい、ブッゾさんは「誰もそこに行けず、救出は難しい」と悔やんだ。