「西太平洋戦没者の碑」の前で、対岸のアンガウル島に向かって拝礼される天皇、皇后両陛下 / 時事通信
心臓手術から3年後にパラオへ
8月8日に公開されたビデオメッセージでは、「外科手術を受け、加えて高齢による体力の低下を覚えるようになった」と言及された。しかし、慰霊の旅は続いていた。
心臓バイパス手術から3年が経過した2015年4月、天皇陛下はパラオを訪問された。戦没者慰霊碑を巡礼されたほか、日米両軍が激戦を繰り広げたペリリュー島を訪れた。
陛下はパラオ国主催の晩餐会で日本国民だけでなく、すべての戦争犠牲者に哀悼の意を表した。
「先の戦争においては、貴国を含むこの地域において日米の熾烈(しれつ)な戦闘が行われ、多くの人命が失われました。日本軍は貴国民に、安全な場所への疎開を勧める等、貴国民の安全に配慮したと言われておりますが、空襲や食糧難、疫病による犠牲者が生じたのは痛ましいことでした。ここパラオの地において、私どもは先の戦争で亡くなったすべての人々を追悼し、その遺族の歩んできた苦難の道をしのびたいと思います。
また、私どもは、この機会に、この地域の人々が、厳しい戦禍を体験したにもかかわらず、戦後に慰霊碑や墓地の管理、清掃、遺骨の収集などに尽力されたことに対して心から謝意を表します」