【シンガポール=吉村英輝】フィリピンの若者が、同国が実効支配する南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島パグアサ島に船で上陸し、中国との摩擦が強まっている。フィリピン政府は、中国を国際司法機関に提訴し、人工島造成などによる同海域の「主権」主張が「不当」と対抗しているが、中国は無視。フィリピン国内で市民らの不満が高まっている。

 現地からの報道によると、15~27歳のフィリピンの男女47人が昨年12月26日、パグアサ島に到着。約500キロ離れたパラワン島を出航し、フィリピン国軍の退役軍人が同行した。

 同団体は上陸したメンバーの写真をフェイスブックに掲示し、「(フィリピンの)排他的経済水域(EEZ)への中国侵出実態の真実を伝えたい」と訴え、政府の対応に不満を示した。

 フィリピン国軍は、安全上の観点から渡航の自粛を求めていたが、上陸後は食料などを提供。大統領報道官は昨年12月27日、「他の方法」を検討すべきだとしながらも、「若者たちの愛国心は認める」と述べた。

 パグアサ島には、フィリピンの漁民らが居住し、国軍も常駐する。だが、約25キロ沖合のスービ礁では、中国が岩礁を埋め立てた人工島で巨大滑走路を造成し軍事拠点化を進めている。

 パグアサ島を管轄する町長は昨年11月、中国の公船が、沖合2カイリ(約4キロ)に10日間停泊し、島への補給活動を監視していたと訴えている。

 一方、中国外務省の陸慷報道官は昨年12月、同団体の行動に「強烈な不満」を表明。フィリピンに、実効支配する島や岩礁から人員や設備の撤収を求めた。