サンゴ密漁船が戻ってきたという中国福建省霞浦県の漁港(26日撮影)

 東京・小笠原諸島の周辺海域などで希少な「宝石サンゴ」を密漁していた中国漁船は、海上保安庁の取り締まり強化に伴い、同海域から姿を消した。

 だが、中国の漁港に戻るのは一部とみられ、大半は行方がつかめない。中国当局は摘発姿勢を強調するが、どこまで真剣に取り組んでいるのか実態は不透明だ。

 多数のサンゴ密漁船が日本海域に出ていた福建省霞浦県。「サンゴ漁船の一部が戻った。船長も拘束されたようだ」。複数の漁民らはそう語った。漁港には船体から船名が消された漁船4隻を含む中型船10隻が並ぶ。数隻の側面には大型の重りを落とすサンゴ漁船に特徴的な傷やさびが目立つ。

 霞浦県では、11月15日までに帰港しなければ厳罰に処するとの当局の警告があり、一部の漁船が応じたようだ。ただ、サンゴ漁船数十隻が出港した浙江省象山県でも呼び戻しを進めてきたが、当局者によると、漁船はほとんど帰港していない。

 関係者によると、密漁船は船名を消したり、偽装したりすることが一般的だ。漁船の位置情報を自動的に送る装置も意図的に外されている。中国は海岸線が長く、無人島も多い。ひそかに隠れている可能性もある。

 浙江省の当局者によると、同省舟山で11月13日、不審な漁船1隻が見つかり、関係当局が調べている。だが、サンゴを採る網はなく、密漁船と断定する決め手がないという。これまで同省当局者は「船が戻れば厳しく処分し、再発防止のため漁船を破壊する」と明言していた。だが、密漁船は証拠隠滅を図るため、「証拠がなければ、船も人も処分できない」と打ち明ける。