サンゴ密漁で摘発された「●(「門」の中に「虫」)霞漁167」が所属する福建省寧徳市霞浦県の港には、中国国旗を掲げた数十隻の漁船が停泊していた(川越一撮影)(写真:産経新聞)

 小笠原諸島(東京都)周辺で10月、サンゴ密漁を狙った中国漁船が海上保安庁に摘発される事件が続発した。その中の1隻が「●(「門」の中に「虫」)霞漁167」。「●」は福建省、「霞」は同省寧徳市霞浦県に所属していることを意味する。密漁の拠点とみられる霞浦県の港で、地元の漁民に接触を試みた。

 省都・福州市から車を走らせること約2時間半。霞浦県三沙鎮の港には「五星紅旗」をたなびかせた数十隻の漁船が停泊していた。港湾を囲むように、3~5階建ての個人住宅や高層のマンションが立ち並ぶ。一般的な中国の漁村や農村の住宅水準からみて、裕福な生活を送っているようだ。かつてニシン漁で財を成した北海道の網元が建てた「ニシン御殿」ならぬ、「サンゴ御殿」なのか。

 自宅前で掃除をしていた年配の漁民は「この辺りの住宅の相場は約40万元(760万円)だから、漁業収入で十分買える。ここ1、2年は不漁だが、その前は年間100万元(約1900万円)ほど稼いでいた」と笑い飛ばし、サンゴ漁への関与を否定した。

 多くの漁民は「中国国内では赤サンゴ漁が厳しく禁止されているから」と口をそろえる。しかし、ある漁民が明かす。「外洋で違法操業をすれば、2カ月ほどで少なくとも200万元(約3800万円)程度は稼ぐことができる」。「違法操業」がサンゴ漁を指すことは想像に難くない。