鳥島の沖合で網を用意する中国船籍とみられる漁船(10月31日午後3時57分、本社機から)=佐々木紀明撮影

 希少な「宝石サンゴ」を求めて日本の海域に大挙して押し寄せる中国漁船。

 東京・小笠原諸島だけでなく、より日本本土に近い伊豆諸島でも31日、中国漁船とみられる多数の船が本社機から確認された。専門家は「一獲千金を夢見て手つかずの漁場を狙ったのではないか」とみており、政府も違法操業の拡大に警戒を強めている。

 第3管区海上保安本部が30日午後に航空機から監視したところ、小笠原諸島周辺に48隻、同諸島より約400キロ北の伊豆諸島・鳥島と、約500キロ北の須美寿(すみす)島の周辺海域で、計164隻の航行を確認した。同本部は違法操業の範囲が拡大している恐れがあるとして、取り締まりの巡視船を増強した。

 31日に本社機から確認できた中国漁船とみられる船団では、赤や青の帽子をかぶり、軍手をはめた船員たちがワイヤや漁網のようなものを盛んに操っていた。老朽化してさびが目立つ船も多いが、レーダーやワイヤの引き揚げ機とみられる大きな装置を備えており、大がかりに漁を行っている様子がうかがえた。

 宝石珊瑚保護育成協議会(高知市)の田中元二理事によると、須美寿島と鳥島付近は宝石サンゴの生息地で、かつては日本の漁船によるサンゴ漁が盛んだったという。「小笠原諸島には既に多くの漁船が行っている。須美寿島や鳥島付近にもサンゴが生息しているという情報を得た船が来たのではないか」と話した。

 40年ほど前と比べ、宝石サンゴの価格は100倍以上にはね上がっており、田中理事は「ここは日本の海だ。国はもっと取り締まりを強化すべきだ」と訴えた。