18日、ハノイの中国大使館周辺で、デモを警戒しバリケードを設置する治安担当者ら(現地スタッフ撮影)(写真:産経新聞)

 ■1000人超拘束/情報統制強める

 【ハノイ=吉村英輝】ベトナム政府は18日、国内で拡大していた反中国デモの封じ込めに動いた。暴動にまで発展した抗議活動を放置しておけば、中国の態度が一層硬化しかねないとの懸念が背景にある。ただ、デモ取り締まりを強化すれば、反中意識に火が付いた市民の批判の矛先が政権に向かいかねず、世論と中国との板挟みとなった政府は対応に苦慮している。

 「政府には失望した。首相は愛国心を表す権利は認めると言ったはずだ」

 ハノイの中国大使館周辺に築かれたバリケード越しに、デモ参加者の会社員男性が怒りをぶちまけた。市民らはネットの呼びかけに応じて早朝から集まり、先週同様に「平和的デモ」を予定していたと訴えるが、ハンドマイクで「安全のため近づくな」と怒鳴る公安担当者に一蹴された。

 共産党の一党支配が続くベトナムで、デモは禁止されている。ただ当局はこれまで、南シナ海問題での小規模な反中デモを黙認し、今回の一連のデモは国営メディアでも放映した。国民の支持を内外に宣伝するつもりだったが、国民の反中感情が予想以上に高まり、メディアの影響力の大きさを読み誤った格好だ。