伊豆諸島の鳥島(奥)沖でサンゴを密漁していると見られる中国漁船=本社機「希望」から10月31日、小川昌宏撮影

 東京都の小笠原諸島近海などで中国漁船によるサンゴ密漁が横行し、地元漁業に深刻な影響を与えている問題で、中国政府が漁船に帰港を指示していると日本側に通告してきたことが13日、政府関係者への取材でわかった。この海域の中国漁船は最盛期に比べて半減しており、中国側の指示がすでに実行に移されたとみられる。指示が徹底されれば、今週中にも小笠原周辺から中国漁船が姿を消す可能性がある。【佐藤賢二郎】

 政府関係者によると、中国政府から、今週末にかけて漁船を福建省や浙江省にある母港に帰港させ、地元の公安当局が捜査を開始すると外交ルートを通じて連絡があったという。当局は多数の漁船を所有するオーナーらに帰港を指示したとされ、これを受け入れた漁船が中国本土に向けて移動を開始した可能性が高い。

 この問題を巡っては8日、中国・北京での日中外相会談で岸田文雄外相が対策の強化を求め、王毅外相が「必要な措置を取っている」と応じていた。10日の首脳会談でも安倍晋三首相が習近平国家主席に「前向きな対応」を要請。漁船の拠点とされる福建・浙江両省では当局による取り締まりが強化されている。

 中国が領有権を主張する沖縄・尖閣諸島周辺では、中国政府が関与しているとみられる公船や漁船の領海侵入が常態化しているが、今回のような通告をしてきたことはない。これに対し、今回の外交ルートを通じた通告は自国の船の違法操業を認めた形となっており、ある関係者は「小笠原近海でのサンゴ密漁に中国政府が関与していない証拠と捉えることもできる」と分析している。