小笠原諸島から伊豆諸島南部にまたがる海域で希少な「宝石サンゴ」が密漁されている問題を巡り、海上保安庁は中国からとみられる200隻超の漁船団の対応に苦慮している。

 海保には摘発を求める電話が相次いでいるが、警戒に充てられる大型巡視船は、中国公船が領海侵入を繰り返す沖縄・尖閣諸島周辺の警戒にも必要で数に限りがある。海保は少ない要員で漁場である領海内への侵入阻止に全力を挙げている。

 小笠原と伊豆諸島の周辺海域で確認された漁船団200隻超のうち、海保が10月以降、摘発したのは中国漁船5隻。1隻は領海(約22キロ)内で密漁の現場を押さえ、残りは排他的経済水域(EEZ、約370キロ)で停止命令を無視したなどの容疑で摘発したが、海保には「なぜもっと捕まえられないのか」という苦情の電話が連日寄せられている。

 宝石サンゴのほとんどは、周辺海域の領海内に生息している。

 限られた要員で効果を上げるため、海保は大型巡視船を巡回させて漁船を領海内に入れさせない“戦術”に重点を置いており、今のところ、サンゴを積んだ漁船は見つかっていない。

 「サンゴはろくに採れていないはずで、じきに漁船は燃料や食料が尽きて帰るしかない。ねばり強く対応するだけだ」と幹部は語る。