ベトナム沿岸警備艇から撮影した中国の石油掘削施設と中国船(5月14日撮影)(AFP=時事)

 ベトナムが領有権を主張する南シナ海の西沙(英語名パラセル)諸島海域に、中国が5月1日に石油掘削施設を設置して1カ月。ベトナムは現場に30~40隻の船舶を展開して施設の撤去を呼び掛け、およそ3倍の数の中国船から体当たりや放水を受けながらも一歩も引かない構えだ。しかし、中国とは軍事力に圧倒的な差があるだけに、全面衝突は選択肢になく、手持ちのカードは限られている。

1枚目のカードは、国際社会にアピールして「反中世論」を盛り上げる戦術だ。日本企業のベトナム進出などを支援するベトナム経済研究所の窪田光純所長は「お涙頂戴作戦」と命名する。所長は「領有権を主張しながら、たとえ船が沈められても、ベトナムは絶対に手出しをせず、被害者であることを世界に訴える。それがベトナム戦争時代からの知恵だ」と述べた。

 2枚目のカードは、国際司法機関への提訴。グエン・タン・ズン首相は5月29日の閣議で、「神聖な主権を守るために、国際法に基づく法的手段の活用を検討する」と言明した。
 ズン首相はまた、21日に行われたアキノ・フィリピン大統領との首脳会談でも、中国との領海争いで国際仲裁手続きを進めているフィリピンの手法を学び、対中連携強化で合意したとされる。

 3枚目のカードは、日米をはじめとする各国との連携。日本と米国は2013年12月、相次いでベトナムに巡視船の供与を表明した。いずれも南シナ海での中国の実効支配強化を抑制するのが狙いだ。