オランダ時間の7月12日午前11時(日本時間午後6時)。ついにハーグの常設仲裁裁判所が、南シナ海問題についての判定を下す。

 常設仲裁裁判所は、1899年に設立された国際法廷で、国家や国際機関の間の紛争を、国際法に基づいて仲裁・調停・審査する。現在121ヵ国が批准しており、その中には中国も含まれる。ホームページには、中国語表記もある(英語の他は、国連の公用語である仏・露・アラビア・スペイン語のみで日本語はない)。

 前年の2012年4月に、南シナ海の中沙諸島にある黄岩島(スカボロー礁)を、中国がフィリピンから奪取した。

 私は当時、北京に住んでいたので、よく覚えているが、当時の中国人の高揚感たるや、凄まじかった。メディアは連日、黄岩島報道一色で、共産党や政府幹部だけでなく、市場の野菜売りのオバサンとか、タクシー運転手といった一般庶民たちも興奮していた。小さな島を一つ取ることが、これほど国民全体を沸き立たせるものかと驚いたものだ。

 常設仲裁裁判所は、フィリピンが提訴したことを、すぐにその内容を添えて、公式文書で中国に通知したと、ホームページに記している。

 すると中国は、約1ヵ月後の2月19日に、この裁判自体を拒絶し、渡された公式文書を、常設仲裁裁判所に送り返してきたというのだ。同裁判所のこのあたりの表記からも、すでにフィリピン贔屓と中国憎しが滲み出ている。

 そこで常設仲裁裁判所は、2013年6月21日から、ガーナ人のトーマス・A・メンサ判事長を中心に、フランス人のジャンピエール・コット判事、ポーランド人のスタニスラフ・ポウラック判事、オランダ人のアルフレッド・H・A・スーンズ判事、ドイツ人のリュディガー・ウォルフルム判事の計5人の判事によって、2年にわたって審理してきたのだという。