中国による南シナ海の領有権主張に法的根拠がないとしてフィリピンが提訴した仲裁裁判で、オランダ・ハーグの仲裁裁判所が7月12日に裁定を示すのを前に、中国は国際世論の“多数派工作”に躍起となっている。裁定は中国にとって不利な内容になると予想されているが、裁定に従う必要はないとの中国の立場に賛同したのは「約60カ国に上る」(国営メディア)と主張。「支持を公表したのは8カ国だけ」と指摘した米メディアに対し、中国外務省報道官が会見で噛みつく一幕もあった。

 ハンガリーの元首相、イランの与党、オーストリアの学者-。中国国営新華社通信は6月以降、「南シナ海問題における中国の立場への支持を表明した」国家や政治家、学者らのコメントを連日配信している。6月23日の記事では「現在のところ、すでに約60カ国が中国への支持を公表し、ますます増加している」と主張した。

 ただ「支持国」とされる多くはアフリカや中東など南シナ海とは直接関係のない地域の小国で、中国による経済支援の見返りへの期待が垣間見える。

 米紙「ウォールストリート・ジャーナル」(WSJ、電子版)は6月中旬、「各国は中国がいうほど熱心に中国を支持しているわけではない。中国の姿勢への支持を公表したのはわずか8カ国にすぎない」と中国側の主張を否定する記事を掲載した。

 WSJは、公式声明で中国への支持を表明している国はアフリカのガンビア、ケニア、ニジェール、スーダン、トーゴ、レソトと南アジアのアフガニスタン、オセアニアのバヌアツだけと指摘。「中国マネーに飢えている国の間でさえも、中国の影響力に限界があることを示唆している」と分析した。