[地図]中共が主張する南シナ海の「九段線」

 南シナ海での中国の海洋進出をめぐり、オランダのハーグにある国際仲裁裁判所が出した判決が波紋を広げています。この裁判の結果を、中国はどのように受け止めたか、今後の中国の南シナ海、東シナ海での活動や日米への影響について、元外交官の美根慶樹氏に寄稿してもらいました。

1990年代からフィリピン・中国間で対立
 7月12日、国際仲裁裁判所は、フィリピンが申し立てていたスカボロー礁(中国名「黄岩島」)やスプラトリー諸島(南沙諸島)などにおける中国との紛争について裁判結果を公表しました。スカボロー礁では1990年代の終わりころから両国間で紛争があり、2012年には双方が艦船を派遣してにらみ合う状況に陥り、後にフィリピン側は引き上げましたが、中国船は居残ったままの状態になっています。

 また、スプラトリー諸島では、やはり1990年代から紛争があり、2015年に入ると中国は埋め立てや建設工事を急ピッチで進めました。中国は1990年代から海洋大国になることを国家目標とし、領海法の制定、巨額の予算措置など積極的に手を打ってきました。その中には台湾の中国への統合を実現することも含まれます。

 しかし、こうした中国の行動は現状を一方的に変更するものであり、周辺の各国は危機意識を高めました。米国は艦艇をその付近の海域に航行させ、自由航行の重要性をアピールしました。

 フィリピンは中国との話し合いで紛争を解決しようと試みましたが、結果が得られなかったので2013年、国際仲裁裁判所に提訴しました。中国はこれも拒否したので海洋法条約の規定に従って強制裁判の手続きを進め、2015年末から実質的審議が行われてきました。