中国が主張する「九段線」と南沙諸島で埋め立てている七つの岩礁

 南シナ海のほぼ全域に主権や関連権益が及ぶとする中国の主張は根拠がないとしてフィリピンが国連海洋法条約に基づき申し立てた仲裁裁判の判決が12日に出る。中国の主張に仲裁裁判の判決が示されるのは初めて。判決の見通し、関係国の思惑をまとめた。【服部正法、田所柳子、ワシントン会川晴之、北京・石原聖】

 ◇比、「条約違反」を強調

 中国に不利な判決が予想されており、中国が主権や権益の範囲を示すものとして独自に主張してきた「九段線」の有効性を認めるかが注目されている。

 中国は従来、九段線の内側の海域で管轄権を有しているとし、これは国連海洋法条約成立以前からの「歴史的権利」だと主張している。一方、フィリピンは中国の主張について「同条約に反しており、無効」と反発を強めてきた。

 九段線の内側は南シナ海のほぼ全域を占め、中国大陸から領有権を争う周辺国の沿岸近くまで長く延びた広大なエリア。中国は九段線を背景として、南沙(スプラトリー)諸島の七つの岩礁で人工島造成を進めてきた。裁判所が九段線について「国際法上、無効」との判決を出せば、南シナ海各地に進出し実効支配を進める中国の動き全体に「ノー」が突きつけられることになる。

 ただ、九段線の有効性に踏み込んだ判断が示されるかどうかは不明だ。中国は、フィリピンの申し立てが海洋の境界画定にかかわるとして「仲裁裁判所には管轄権がない」などと主張し、どんな判決も受け入れないと繰り返し表明している。裁判所も昨年10月、判決で九段線の有効性に踏み込むかどうかは態度を明らかにしなかった。