中国が軍事演習を行う予定の海域(写真:産経新聞)

 【北京=西見由章】中国人民解放軍が5~11日、南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島周辺の海域で軍事演習を実施することが明らかになった。12日にオランダ・ハーグの仲裁裁判所が南シナ海問題をめぐる裁定を示す直前にこの海域で軍事力を誇示し、領有権に関して一切妥協しない姿勢を示す狙いとみられる。

 中国海事局は3日、パラセル諸島全域にまたがる海域で5日午前8時から11日午前8時までの間、軍事演習を行うため、船舶の進入を禁止すると発表した。演習の規模や内容は明らかにしていない。

 パラセル諸島は中国が実効支配しているが、ベトナムなども領有権を主張。中国は同諸島のウッディー(永興)島に滑走路を整備し、地対空ミサイルなどの配備も確認されている。

 中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は4日、軍事演習について「中国軍が南シナ海の主権を守る決意と意思の表明だ」とする軍事専門家のコメントを伝えた。中国の安全保障に詳しい茅原郁生・拓殖大学名誉教授は「仲裁裁判所の裁定を無視する姿勢を実力行使で示そうとしている」と分析。「もし南シナ海を管轄する南海艦隊以外の艦隊や陸空軍が参加する大がかりな統合訓練になれば、国家としての強い意思表明につながる」と指摘した。

 一方、中国英字紙「チャイナ・デーリー」は4日、関係筋の話として「(提訴した)フィリピンが仲裁裁判所の裁定を棚上げすれば、中国側は共同開発などに関する交渉を始める用意がある」と伝えた。フィリピンに圧力をかけつつ懐柔する狙いがあるようだ。

 一部の中国メディアは、中露が2012年以降、毎年実施している海軍合同演習について「今年は9月に南シナ海で実施する」との予測を伝えた。