民間機が同居する那覇空港からスクランブル発進する航空自衛隊のF15戦闘機。東シナ海上空で中国軍機との緊張が高まっている=平成25年12月、那覇市 (大山文兄撮影)(写真:産経新聞)

 東シナ海の軍事的緊張が、海上のみならず上空でも高まっている。中国軍の戦闘機が今月17日など複数回にわたり、航空自衛隊機に対し、これまでにない攻撃動作を仕掛けたことが判明。政府関係者は29日、「あれだけの距離に接近したのは前例がない」と指摘した。インターネットのニュースサイトで同空域の危険な実態を明らかにした元空自航空支援集団司令官、織田(おりた)邦男元空将は「現場の緊張感は計り知れなかったはずだ」と警鐘を鳴らす。(石鍋圭)

 6月中旬、空自機が那覇空港から緊急発進(スクランブル)した。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の公海上空に中国機が接近したためだ。

 空自と中国空軍の間には「北緯××度」という暗黙の了解がある。従来、中国機はそのラインまで来るときびすを返すように北上し、空自機と遭遇することはなかった。しかし今回、中国機はその一線を初めて越えてきた。

 政府関係者は「珍しい事例」としか説明しないが、実際は現場空域でかつてない緊迫した攻防が繰り広げられていた。

 スクランブルをかけた空自機は中国機の周囲を大きく回り込み、後方から真横につけるポジショニングを試みた。中国機パイロットの顔が見える位置から信号射撃などを行い、退去を呼びかけるためだ。

 しかし、中国機は想定外の行動に出る。大きく回り込もうとする空自機に対し機首を向け、正面から向き合う体勢をとったのだ。織田氏は「これはいつでもミサイルを撃てる戦闘態勢で、事実上の攻撃動作といえる」と指摘する。

 中国機の挑発的行動はなおも続いた。空自機は不測の事態を避けるため同空域からの離脱を図ったが、中国機はこれを追尾。空自機は敵機のレーダー誘導ミサイルなどを攪乱(かくらん)する装置を噴射しながら危機を脱した。織田氏によると、こうした事案は6月に入って複数回発生しているという。

 同じ時期、海上では中国軍艦が尖閣周辺の接続水域や口永良部島(鹿児島県)周辺の領海などに相次いで侵入している。