スプラトリー諸島とパラセル諸島(写真:産経新聞)

 【北京=西見由章】中国が2020年までに南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島への定期クルーズ船を就航させることがわかった。国営英字紙チャイナ・デーリーが22日、海南省当局の計画として報じた。中国は13年、領有権をめぐりベトナムなどと争うパラセル(同・西沙)諸島への定期クルーズ船を就航させている。南シナ海の軍事拠点化に米国などが警戒感を強める中、民間の経済活動の体裁で主権をアピールし、実効支配を強化する狙いがありそうだ。

 中国は南シナ海のほぼ全域を覆う「九段線」内の海域で管轄権を主張している。報道によると海南省の観光当局は、フィリピンやベトナムなども領有権を主張するスプラトリー諸島への新たな観光客船の運航に加えて、南シナ海全域のクルーズ航路の整備や、島嶼(とうしょ)への観光施設の建設推進を提案しているという。

 中国は13年4月、海南島の船舶会社「海南海峡航運」が同島三亜からパラセル諸島に向かうクルーズ船を就航。「これまで48回の運航で乗客8430人を運んだ」(チャイナ・デーリー紙)とされる。

 パラセル諸島へのクルーズは3泊4日程度の日程で、乗客らは船内に宿泊しているのが現状。中国がスプラトリー、パラセル、中沙の3諸島を管轄する自治体として一方的に設定した海南省三沙市の市長はこれまで、軍事施設のない島嶼にクルーズ客らの宿泊施設を整備する考えを示している。