7月13日、南シナ海における中国の領有権を否定した仲裁裁判所の判断に乗じて、フィリピンやインドネシア、ベトナムなどのアジア諸国が攻撃的な行動に出ないよう、米国が静かな外交政策を展開している。写真は、中国の沿岸警備艇。南シナ海で2014年6月撮影(2016年 ロイター/Nguyen Minh/File Photo)

[ワシントン 13日 ロイター] - 南シナ海における中国の領有権を否定した仲裁裁判所の判断に乗じて、フィリピンやインドネシア、ベトナムなどのアジア諸国が攻撃的な行動に出ないよう、米国が静かな外交政策を展開している。複数の米政権当局者が13日、明らかにした。

「われわれが望むことは、事態が落ち着き、これらの問題が感情的ではなく理性的に対処されることだ」。米当局者の1人は、非公開の外交メッセージを説明するため、匿名を条件に語った。

こうしたメッセージの中には、米国の在外大使館やワシントンにある外国公館を通じて届いたものもあれば、カーター国防長官やケリー国務長官などの政権幹部から直接伝えられたものもあるという。

「これは、事態沈静に向けた全面的な呼び掛けであり、中国に対抗してアジア地域を結集させるような試みではない。そうした試みは、米国が中国封じ込めに向けた連合を主導しているとの間違った話を利することになる」とその当局者は語る。

オランダ・ハーグの仲裁裁判所が12日に下した裁定を受けて、事態を収拾させようとする米国の努力は、台湾がその翌日南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島に軍艦を派遣したことで、早くも後退を強いられた。台湾の蔡英文総統は出航前の甲板で、目的は領海の防衛だと乗組員に伝えた。

中国が主権を主張するいわゆる「九段線」で囲まれた南シナ海の海域について、仲裁裁判所は「歴史的権利」を有していないと判断する一方、南沙諸島で最大の島となる太平島(同イトゥアバ)に対する台湾の主権も否定。台湾は太平島を実効支配しているが、仲裁は法的な定義に基づき、それを「岩」だと判断した。