高台のプレハブ校舎では社会科の授業が行われていた。東京電力福島第1原発事故で福島県いわき市へ移転した楢(なら)葉(は)町立北・南小。5年生の16人が、水田農業試験場の役割について耳を傾けている。

 「何をするところだと思う?」との女性教諭の問いかけに、男児が答えた。

 「田んぼを除染するところ」

 放射性物質にかかわる専門用語が当たり前に使われる日常に、福島の子供たちを取り巻く現実が垣間見える。

 楢葉町には小学校2校、中学校1校があるが、原発事故で1年間休校した。その間、子供たちはいわき市など避難先の最寄りの小中学校へ「区域外就学」などの形で通った。

 昨年4月、小中学校はいわき市のビル保守会社の建物を借りて再開し、3学期から仮設校舎へ移った。原発事故前に2つの小学校で計428人いた児童は現在93人。残りの大半は区域外就学などを続ける。