帰らぬ子供たちのため用意した、一面に青空と雲が描かれた子供部屋で過ごす上野敬幸さん(中央)、次女倖吏生ちゃん(右端)、妻貴保さん=福島県南相馬市で2013年3月11日、小出洋平撮影

 大震災から2年たった11日朝、窓から差し込む光は穏やかだった。福島県南相馬市原町区の団体職員、上野敬幸(たかゆき)さん(40)は津波で両親と長男長女の4人を失い、うち2人は見つかっていない。心に区切りはつかないが、震災後に生まれた新しい命が自分と妻の笑顔をよみがえらせた。今月完成したばかりの新居で、帰らぬ子2人に語りかけた。「短い間だったけどありがとう。守ってやれずごめん」【鈴木健太】

 新居の2階の一室は、壁紙いっぱいに真っ青な空と白い雲が描かれている。亡くなった小学2年の長女永吏可(えりか)さん(当時8歳)、行方不明の長男倖太郎(こうたろう)ちゃん(同3歳)のための子供部屋だ。上野さんはこの部屋で「あっという間の2年間だった。永吏可、倖太郎がいたのはまるで昨日のよう」と振り返る。そして、妻貴保さん(36)の膝に乗った次女倖吏生(さりい)ちゃん(1)の頭を優しくなでた。「今は新しい娘の存在が僕と妻の心の支え」