787に搭載されたロールス・ロイスのトレント1000=11年9月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
全日本空輸(ANA/NH)は8月30日、ボーイング787型機のエンジンで起きた、硫化腐食による中圧タービンブレードの破断について、発生までの飛行回数と交換タイミングを明らかにした。
エンジンを製造した英ロールス・ロイス(RR)は、設計に問題があったことを認めており、対策を施した改良型タービンブレードを開発中。3年後の2019年末には、ANAが運航する787全機のエンジンが改良型に置き換わる。
トラブルが起きたのは、787に左右1基ずつ計2基搭載されているRR製エンジン「トレント1000」。エンジン内で、燃焼ガスを発生させるために必要な圧縮空気を送り出す圧縮機を回す「中圧タービン」のニッケル合金製タービンブレードが破断するトラブルが発生した。
ANAは現在、787を50機保有しており、このうち国際線仕様機が37機(787-8が25機、787-9が12機)、国内線仕様機が13機(787-8が11機、787-9が2機)。同社によると、トラブルが起きたブレードは、保有するすべての787で基本的に同じ構造だという。
RRは、2017年1-3月期に対策を施した改良型タービンブレードの供給を開始予定。ANAが現在保有する全50機の787用エンジン100基については、3年後の2019年末までには、すべて改良型に交換する。
改良型の供給が始まるまでは、新品や飛行回数が少ない現行品に規定より早く交換することで、トラブル発生を防ぐ。これまでに100基のうち、17基は新しい現行品に交換済み。