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2017年5月 7日 (日)

北朝鮮、今度は弾道ミサイル発射・74

去る1月6日に核実験を行なった残虐な中世の亡霊・暗黒独裁国家・北朝鮮が、今度は長距離弾道ミサイル発射実験の準備を進めていたが、ついに7日9時31分に発射した。

政府は7日午前、北朝鮮による弾道ミサイル発射を受け、首相官邸で国家安全保障会議(NSC)を開き、国民の安全確保に万全を期すとともに、米韓などと緊密に連携し、北朝鮮に厳しく対応していく方針を確認した。
NSCで首相は、「米国や韓国など関係国と連携し、必要な対応を適時適切に行う」よう求めた。また、首相は関係省庁に対し、(1)落下物などによる被害がないかの確認(2)情報収集・分析の徹底(3)関係国との連携―を指示した。

安倍晋三首相は7日午前、首相官邸で記者団に対し、北朝鮮が長距離弾道ミサイルを発射したことについて「断じて容認できない。明白な国連安全保障理事会決議違反だ。国際社会と連携し、毅然として対応する。国民の安全と安心を確保することに万全を期する考えだ」と述べた。

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リンク:「金正恩」クレイジー逸話集 演説中に“ウトウト”の幹部を高射砲でこっぱみじんに - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:北朝鮮がミサイル50発を一斉射撃したら日本は防げるのか - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:文氏の韓国大統領当選、同盟関係の大幅変更は見込まず=米当局者 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:徹底解説自衛隊:憲法改正が喫緊の課題である理由 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:<Jアラート>ミサイル1報で避難呼びかけ 運用を変更 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:韓国新大統領・文在寅の「金正恩に対するスタンス」に国民動揺 ダブルスコアで勝利も就任後に波乱の予感 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:安倍晋三首相、マクロン次期仏大統領と電話会談「EUへの揺るぎない信任だ」 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:韓国大統領選 逆作用した“北風” 北への危機感ゼロ…現状維持望んだ国民 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:北朝鮮をかばい続けてきた中国が今、態度を急変させた理由 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:第1報から避難勧告 北ミサイルめぐり政府、Jアラートの運用見直し - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:「日本に厳しい発言ばかりでは…」 在日韓国人から日韓関係改善望む声 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:ミサイル発射で直ちに避難=対北朝鮮、政府が警報新運用 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:北朝鮮への経済制裁は、なぜ効果を持ちにくいのか? - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:弾道ミサイル情報 文言を一部変更 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:対「北朝鮮ミサイル」防衛論(下)「武力攻撃」にも「国土強靭化計画」を - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:緊迫の朝鮮半島情勢最新分析 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:日本は北朝鮮の特殊部隊やテロリストの上陸を阻止できるのか - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:金正恩体制転覆のため われわれ日本人ができること - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:もし日本が北朝鮮に核ミサイルで狙われたら - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:「トランプ・習近平会談」の意味を改めて考える - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:<首相>米大統領との1日の電話協議認める 衆院予算委 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:安倍晋三首相、5月1日の日米電話会談認める - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:GWの旅客1割増加=北ミサイル「影響なし」―航空・JR - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:文氏を急追する保守派候補:韓国大統領選挙 --- 高 永チョル - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:“トランプ砲”で韓国狂乱に拍車 「THAAD」負担騒動が大統領選直撃 “タダ乗り”熱望で反発も… - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:これまでになく緊迫感を持つ米韓合同軍事演習の様子と狙い - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:石原慎太郎氏 「尖閣購入時にオバマがCIAに私の暗殺命令」 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:次の狙いは北朝鮮との秘密交渉か、トランプ流外交で糸口探る - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:訪米直後、中谷・前防衛相が緊急生出演 弾道ミサイル防衛の課題とは? - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:北朝鮮、米国人男性を拘束 4人目 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:米国で「戦争に備え始めている人」の言い分 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:邦人観光客の低迷でまた「曲解」と「被害者意識」 「日本は大げさ」と非難 北への危機意識なき韓国大型連休の総決算は - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:北朝鮮のICBM開発はどこまで進んでいるのか - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:もはや韓国の世論は北朝鮮の核の前に屈してしまった - 速報:Yahoo!ニュース.

以下、参考のために同記事を引用

「金正恩」クレイジー逸話集 演説中に“ウトウト”の幹部を高射砲でこっぱみじんに
デイリー新潮 5/10(水) 8:01配信

■元北朝鮮一等書記官が明かした「金正恩」クレイジー逸話集(上)
 今や朝鮮半島は「アジアの火薬庫」。その元凶は、外に核とミサイルの開発を喧伝する一方、内では人民を手にかける「金正恩」にある。世界を翻弄する33歳の「首領様」とは一体、何者か。北朝鮮を知り尽くす元一等書記官が、そのクレージーぶりの一端を明らかにした。

 ***

 歴史上、暴君と言えば、すぐに思い出すのは、ローマ帝国のネロ皇帝であろう。母や妻を殺め、キリスト教徒を大量弾圧したことは、広く知られている。

 金正恩はその現代版とでも言うべきか。叔父に続き、異母兄を化学物質で殺害。勝ち目のないアメリカに蟷螂(とうろう)の斧を振り上げているのは、周知の通りだ。

「制裁に執着するなら、我々との関係に及ぼす破局的な結果も覚悟すべきだ」

 衝突の緊張高まる中、北の国営メディアがそう論評し、周辺国に改めて敵意をむき出しにした4月22日。

 平壌から1300キロ離れた東京で、北朝鮮の元高官による講演会が行われていた。壇上に立ったのは、韓国・国家安保戦略研究院の高英煥(コヨンファン)・副院長である。

 主催した「NO FENCE 北朝鮮の強制収容所をなくすアクションの会」の宋允復(ソンユンボク)・副代表によれば、

「高さんは北朝鮮の元外交官で主にアフリカ外交に従事。ザイール大使館の一等書記官や金日成のフランス語通訳も務めました。1991年に韓国に亡命。国家情報院傘下のシンクタンクに在職し、脱北者などから聞き取りを続けてきた。北のナマの情報に接し、韓国で第一級の分析家と言われています」

 それゆえか、高氏は昨年、北から暗殺指令を出されたばかり。日本で講演会を行うのはこれが初めてという。

■飛行機攻撃の機関銃
 テーマは、「金正恩の恐怖政治とその展望」である。序盤で「ある粛清」について述べた話は、「お坊ちゃま」の狂気を示して余りあるものだった。

「銃殺に用いたのは高射砲。中でも四身高射砲というもので、これは銃身が4つ束ねてあり、1つの銃身から、1分間に150発、14・5ミリの弾が出る。4つですから600発……」

 本来、飛行機を攻撃する際に使われる機関銃で“処分”されたのは、玄永哲(ヒョンヨンチョル)・人民武力部長である。日本で言えば防衛大臣で、軍では大将の位にもあった。粛清は一昨年の4月30日。最高幹部ゆえに当時も大きく報じられたが、その真相を高氏は明かした。

「玄は4月の初旬、ロシアで軍の指導部と会談、防空ミサイルの最新データを提供してほしいと頼みました。すると“あなた方の指導者は、わが軍は世界で最強と公言している。なぜ支援しないといけないのか”と言われた。これを金正恩に報告したところ、大変批判されてしまったのです。家に帰った彼は奥さんに“若い指導者を頂いて指導をするのはやりづらいものだな”と愚痴をこぼした。幹部の家が盗聴されているのを度忘れしてしまったのです」

 これを聞いた金正恩は怒髪天。そんな中、致命的な出来事が起きたという。

「4月下旬、軍の幹部大会が平壌で行われ、金正恩は演説をしました。彼はいつも、自分が演説をしている時に他の人がどういう表情でそれに対しているのか、後でモニターでチェックする。そこで玄がウトウトしているのを発見した。ただでさえ頭に来ていた正恩は“もう銃殺しろ”。4月30日に軍官学校の憲兵場で、250人ほどの将校クラスを集めて高射砲で銃殺することになったのです」

 むろん、理由はそれだけではなかろうが、引き金を引いたのが実に些末な話であることは言うまでもない。一方でやり方は残虐だった。

「まず頭から、そして足の方まで撃ちおろしていった。当然、彼はこっぱみじんになって絶命しました」

 目の当たりにした将校たちは、砕け散る肉片に己の行く末を重ね合せ、恐怖に慄いたに違いないのである。

 ***

(下)へつづく

特集「軍大将を高射砲処刑でこっぱみじん! 元北朝鮮一等書記官が明かした『金正恩』クレージー逸話集」より

「週刊新潮」2017年5月4・11日ゴールデンウイーク特大号 掲載


北朝鮮がミサイル50発を一斉射撃したら日本は防げるのか
NEWS ポストセブン 5/10(水) 7:00配信

 北朝鮮の東海岸から福岡まではわずか500kmほど。東京まででも約1000kmだ。いざ朝鮮半島有事となれば、日本は様々な被害を受ける可能性が高い。北朝鮮から日本に向けてミサイルが発射されたとき、日本は現状の防衛力で防げるのか。ジャーナリストの黒井文太郎氏が、日本に起こりうる脅威を指摘する。

 * * *
 北朝鮮のミサイル兵器には様々なものがあり、代表的な種類を挙げると、「ノドン」「スカッド」「ムスダン」「テポドン」「北極星」といったミサイルを保有していると言われています。朝鮮半島有事となった場合、日本へ向けて発射されると考えられるのは主にノドンです。射程約1300kmには、日本列島がほぼすっぽりと含まれます。

 ノドンのペイロード(弾頭の積載量)は、約700kg。これに通常の爆薬を搭載しても、ビル半壊、一般家屋数軒を全壊させる程度の威力しかない。それよりやはり恐ろしいのは、大量破壊兵器つまり核や生物・化学兵器を積まれることです。

 去る4月13日、安倍晋三首相は国会で、「(北朝鮮は)サリンを弾頭につけて着弾させる能力をすでに保有している可能性がある」と述べました。

 ただしサリンをはじめとする化学兵器の効果は限定的です。ミサイルの弾頭に積んで標的の上空で爆発させても、ミスト(極めて細かな霧状のもの)が及ぶ範囲しか効果はありません。

 北朝鮮がノドンを日本に向けて撃つ場合、作戦としてなら通常弾頭ですし、最後の暴発なら核弾頭を使用することになるでしょう。現在北朝鮮は数度にわたる核実験を繰り返し、すでに核弾頭を保有しているとの見方が有力です。それはTNT火薬換算で10キロt程度の威力で、広島・長崎型原爆を若干下回るものだと言われています。

 それでも爆発地点から半径数kmにわたって死者が出ます。また数十kmにわたり放射線被害も出ます。都市部に落ちた場合、死者の数は数万人以上になるのは確実です。北朝鮮は核弾頭の開発を完成させたら次に、同量の核物質でより威力を大きくできる「ブースト型」核兵器の開発を目論んでいると囁かれます。ブースト核であれば広島・長崎以上の甚大な被害をもたらします。

 北朝鮮はノドンを約200発保有し、自走式発射機を50台くらい保有しているとみられます。それらがすべて無傷であれば、最大で50発を一斉に発射できるわけです。そのとき、日本は防げるのか。

 現在の日本のミサイル防衛(BMD)では、海自や在日米海軍のイージス艦に搭載された迎撃ミサイルSM-3、全国に配備されているPAC3によって同時に発射された50発の核ミサイルすべてを迎撃することは理論上は可能です。

 ただ、こうしたことに「100%」はあり得ません。1発ないし数発に対する迎撃実験で100%のスコアだったから50発のミサイル迎撃も可能だ、というのは理論値でしかないのです。現実には49発を迎撃できても、撃ち漏らした1発が日本のどこかに着弾してしまう可能性は排除できないのです。

 そのためにも、私はアメリカが韓国に配備したTHAAD(高高度防衛ミサイルシステム)を、日本も早期のうちに導入する必要があると思っています。THAAD導入なら現在の2段構えのミサイル防衛体制が3段構えになり、より迎撃成功の確率が上がります。

※SAPIO2017年6月号


文氏の韓国大統領当選、同盟関係の大幅変更は見込まず=米当局者
ロイター 5/10(水) 6:59配信

[ワシントン 9日 ロイター] - 韓国大統領選で最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)候補の当選が確実となったことを受け、米当局者は9日、米韓の同盟関係が大幅に変わることはないとの見方を示した。

ただ、北朝鮮との対話路線を掲げる文氏は、米軍による新型迎撃ミサイルTHAAD(サード)の配備について慎重な立場を示していることから、米韓関係が不安定になる恐れはあるとした。

文氏は大差で勝利する見通しだが、なお連立を組む必要があるとし、「一方的にサード反対の姿勢を貫けるかはわからない」と指摘。

文氏の新政権がサード撤去を要請するかどうか憶測することは時期尚早とし、正式に大統領に就任し安全保障に関する状況を精査すれば、選挙期間中に掲げていた立場を修正するのではないかと話した。


徹底解説自衛隊:憲法改正が喫緊の課題である理由
JBpress 5/10(水) 6:10配信

 安倍晋三首相は5月3日、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に憲法を改正したい意向を示した。

 北朝鮮の核とミサイル開発が着実に進み、脅威が目の前に迫っているなか、また中国の軍事拡大が日本周辺の軍事バランスを大きく崩し始めているなか、これ以上、今の自衛隊という組織では日本を守り切れないという認識である。

 これまで7回にわたって自衛隊の歴史を振り返ってきた。現憲法下でも自衛隊は国内にそして国外で様々な活動を行い、成果を上げてきた。しかし、本当に差し迫った危機にあっては、自衛隊という法律の規定が日本の防衛を危うくしてしまう。

 最終回の今回は、この問題を徹底解説する。(前回の記事はこちら)

■ 憲法に明示的な規定のない自衛隊

 日本国憲法のどこにも「国防」についての規定はない。ましてや憲法制定後に「警察予備隊」から「保安隊」を経て創設された「自衛隊」の規定があるわけもない。

 憲法では、前文で、我が国の安全と生存を諸国民の公正と信義に依存すると謳い、この考え方に従い、第9条1項で戦争の放棄を規定し、同2項で陸海空軍戦力の不保持及び国の交戦権を認めないことを規定している。

 第1項の戦争放棄規定は、1928年の不戦条約に淵源し、この考え方は国連憲章に引き継がれるとともに、駒澤大学名誉教授の西修氏によれば、「世界の成典化憲法188を調べたところ、平和条項を持つ憲法が158(84%)にのぼることがわかった」と述べておられる。

 すなわち、戦争放棄規定が日本独自のユニークなものでないことは明らかであるし、また不戦条約は自衛権を否定するものではないことは、条約の審議、調印の過程で国際的に確認されている。

 憲法に明示的な規定のない自衛隊が、なぜ存在しているのか? 

 それは政府が時代とともに変えながら行ってきた憲法解釈によってである。朝鮮戦争の最中、国内治安維持のため警察の予備の部隊として発足させた警察予備隊から保安隊へ、そして自衛隊へと転換し今日に至る過程で、政府は憲法解釈を変えてきた。

 しかし、現在の政府解釈では、「日本国憲法は、第9条に、戦争放棄、戦力不保持、交戦権の否認を置いている。我が国が独立国である以上、この規定は主権国家としての固有の自衛権を否定するものではない。我が国の自衛権が否定されない以上、その行使を裏づける自衛のための必要最小限度の実力を保持することは、憲法上認められる」としている。

 このような政府による憲法解釈に基づき自衛隊は存在し、創設以来今日まで、日本の領土、領海、領空で国家主権の維持のために、そして国民の生命と財産を守るために行動してきた。

 海外においても、世界中のあらゆる地域に展開して、国際平和維持活動、災害救援や人道支援のための国際緊急援助活動、あるいは海賊対処活動など、憲法の下にある自衛隊であるがための特殊な条件の下ではあるが、世界から派遣されている各国軍隊と共同で粛々と任務を遂行し、しかるべき成果を上げてきた。

 国の存立にとって不可欠な自衛のための実力組織が、国の基本法典である憲法において明示的な規定もなく、その時々の憲法解釈によって辛うじて存在たり得ているという事実は、果たしてこれが独立主権国家の姿として正しいのか、という疑問を抱かざるを得ない。

 ましてや外国人にとっては理解し難いであろうし、日本に対して不信感を持つことにつながるのではなかろうか。

 ここでは、これまで述べてきたような自衛隊が国内外で行ってきた各種行動の実績を踏まえて、国家存立の基本法であり最高法規である憲法に「国家防衛」およびその手段としての「実力組織(軍隊)の保有」についての明示的な規定がないことによる問題点を挙げる。

■ ぬえ的な存在

 第1点は、自衛隊をぬえ(鵺)的存在たらしめていること。

 憲法学者の大半が自衛隊の存在は憲法違反であると判断していると言われており、このことが法曹界や一般国民に与える影響は大きい。

 歴代政府は国会において、次のように言明してきた。

 「自衛権は、国が独立国である以上、その国が当然に保有する権利である。憲法はこれを否定していない」

 「憲法は戦争を放棄したが、自衛のための抗争は放棄していない」

 「自衛隊は、自衛のための必要最小限度の実力を有する組織であって憲法に違反しない」

 さらに、「自衛隊は通常の観念で考えられる軍隊ではないが、国際法上は軍隊として取り扱われており、自衛官は軍隊の構成員に該当する」と述べている。

 いったい「自衛隊は軍隊なのか軍隊ではないのか」、そして「自衛官は軍隊の構成員に該当するが軍人ではなくシビリアン(文民)でもない」とするならば、自衛官はいったい何者なのか? 

 まさに自衛隊を鵺的存在たらしめていると言わざるを得ない。

 憲法第9条2項で「陸海空軍の戦力はこれを保持しない」と言っているために、「軍」という用語を使うわけにはいかない。従って、国際通念では軍隊ではあるが「自衛軍」とは言わず「自衛隊」ですと言い逃れる。

 また、自衛隊が保持しているのは「防衛力」であって「戦力」ではないということになる。これに類した用語の使い分けは、自衛隊の装備品の名称であるとか自衛官の階級の呼称など随所に見られる。

 このような国家の存立を左右する重要事項が、憲法違反の議論の俎上に上り、あるいは国内と国際社会とで使い分けるダブルスタンダード状態のまま放置されていることが、許されていいとは思われない。

■ 憲法解釈の制約下に置かれた組織

 第2点は、自衛隊は憲法解釈に基づく様々な制約の下に置かれた組織である。

 自衛隊創設以来、自衛隊と憲法の関係について、国会において様々な議論が行われてきたが、現在における自衛隊と憲法の関係についての政府の見解は、上に述べたように、

 (1)自衛権は独立国が保有する当然の権利であり、憲法はこれを禁止していない
(2)自衛権行使の手段としての実力組織である自衛隊を保有することは憲法に違反しない
(3)自衛隊が保持すべき実力は自衛のための必要最小限度を超えるものであってはならない

 というものである。このことから言えることは、防衛・安全保障に関する法律や規則、防衛力整備等を決めるにあたって、「それは自衛のためか?」そして「そのための必要最小限度を超えないか?」ということが決定的な評価要素となる。

 そして、「取得する装備品の性能」であるとか「戦術・戦法」や「交戦規定(Rule of Engagement)」などが決められる。

 その結果、この条件に合致するものをリストアップして「ものごと」を決めるということになる。

 例えば、平成27(2015)年度に制定された「平和安全法制」における「重要影響事態安全確保法」や「国際平和支援法」に基づき自衛隊が行動するに当たっては詳細な条件が定められていて、その条件を満たす場合のみ行動することができると定められている。

 このように我が国の防衛・安全保障に関する法律・規則などは、「ポジティブ・リスト」で作成されている。すなわち、「やっていいこと」が定められていて「それ以外はやってはいけない」ということになる。

 また「自衛のための必要最小限度」ということから、防衛力整備についても、敵基地攻撃能力を有する爆撃機とか長距離弾道弾を装備することは認めておらず、もっぱら我が国の領土・領海・領空において、侵攻してくる敵や飛翔してくる弾道弾を迎え撃つことしかできず、これによって我が国の防衛を全うするということになっている。

 これに対して国際法や世界各国の戦争に関わる法規類は、「ネガティブ・リスト」で作成されている。すなわち、「やってはいけないこと」がリストアップされていて、それ以外は臨機応変に判断して目的達成のための最適手段を選択して行動することができる。

 それは、千変万化する状況の変化に適宜対応していかなければならないことが、戦場の常態であるという本質に立脚しているからである。

 ところが我が国の場合は、戦いの現場の指揮官にとってみれば、眼前の状況は定められた条件のすべてをクリアしているか否かを瞬時に判断して決心し、部下に行動を命じなければならない。指揮官は極めて過酷な状況に置かれていると言わざるを得ない。

 我が国においても国際社会の軍隊並みの「ネガティブ・リスト」による法規類へと変更してもらいたいものである。

 どこまでを「自衛」と言うのか、また「必要最小限度」とは攻撃側との相対的な関係で決まるが、何をもってどう評価・判断するのか。今日における高度に発達した軍事技術、複雑な国際情勢や防衛・安全保障環境を考えるとき、これまでのように憲法解釈によってその場を取り繕う対応は、もはや限界にきていると言わざるを得ない。

 政府はこれまでも少しでも「自衛」のレベルを超えると疑われる装備品は性能を下げて取得するなど、大きな政治問題とさせないレベルでの解決を図ってきた。その分、自衛隊の装備や行動に様々な制約を加えるという結果をもたらしている。

 この結果、自衛隊は、他国に侵略的脅威を与えない装備品をもって、我が国の領土・領海・領空において、侵攻してくる敵を迎え撃つことのみに専念することとなる。いうところの「専守防衛」である。

 これでは敵を打ち負かすことはできないし、もしこれで防衛を全うしようとするならば、スイスのように国土全域を要塞化するとともに国民全員が銃を持って立ち上がる気概と装備が必要である。

 従って、この様に限定された能力しか発揮できない自衛隊のみで我が国を防衛することはとうてい不可能であり、従って敵基地攻撃能力や外洋における攻撃能力を日米安保条約に基づき米軍に依存することが、必須の要件となる。

■ 憲法9条のおかげで平和を維持できたという幻想

 第3点は、「憲法9条があるから戦後の日本は平和を維持できた」という幻想。

 戦後、我が国が戦争の惨禍に見舞われることなく、あるいいは戦争に巻き込まれることもなく平和を維持してこられたのは、政治、経済、外交、軍事など様々な分野での多くの努力があって、それらの総合的な成果として平和を維持できたのである。

 「憲法9条があるので我が国は平和を維持できた」というのは、現実を無視した空想的な観念論であり幻想である。

 これまでの歴史が証明しているように軍事は平和を達成し維持するための重要な要素でありながら、軍事について知ることを忌避してきた多くの日本人にとって眼前にある平和は所与のものとして受け入れられてしまっている。

 その背後にある様々な努力、なかんずく軍事に関わる様々な努力があったことには思い致らない、と言うか「軍事」であるとか「戦闘」という言葉はタブーであってそのことについては考えないというのが我が国の現状である。

 戦後我が国は、朝鮮戦争を契機に国内治安維持のための警察予備隊を発足させた。その後の対日講和条約締結により我が国は主権を回復し、GHQは廃止されたが、占領間に制定された憲法を変えることなく、米軍の駐留を認めて我が国の防衛を米軍に依存する体制を選択した。

 その延長線上に今日の自衛隊がある。1991年のソ連邦消滅に至るまでの冷戦間、我が国は日本海およびオホーツク海を挟んで東側共産主義陣営の盟主であるソ連と対峙していた。

 冷戦間、自衛隊は米軍と協力してあらゆる手段を駆使してソ連空軍、海軍および陸軍の動向を監視し、その都度必要な措置を講じてきたことは、先に述べてきたとおりである。

 我が国は、西側自由主義陣営の一員として米国の核の傘及び通常戦力による庇護、そして自衛隊による主権を守るための必死の努力、このような自衛隊の存在と行動が、日米安保条約に基づく米軍の存在と相まって、極東ソ連軍の軍事行動の制約と抑止へと作用し、ひいては結果として冷戦の勝利につながっていったと言えないであろうか? 

 冷戦後、中国は世界第2位の経済大国となりそれに伴って軍事力および海警の増強を驚異的な速度で進め、力を背景にした現状変更やその試みが、国際問題となりあるいは周辺国や我が国にとって大変な脅威となっている。

 我が国の周辺では尖閣諸島をめぐる東シナ海における中国による領海宣言および海警による恒常的な領海侵犯、防空識別圏を独自に設定して行っている航空活動など、これらに対する海上自衛隊および海上保安庁による警戒監視活動、さらに航空自衛隊による空域監視と領空侵犯に対する対処行動など、自衛隊員や海上保安官は過酷な状況の中で職務を遂行している。

 さらに、北朝鮮による核開発疑惑および弾道ミサイル開発と配備の進展、特に弾道ミサイル発射に対しては航空自衛隊および海上自衛隊は破壊措置命令に基づきその都度対処行動をとっている。

 これらの事案は、日本の主体的な判断と処置が第1義的に求められるものであって、かつての冷戦時代におけるソ連に対する事案を米軍との協調の下で対処するのとは異なるものである。現在の自衛隊は、冷戦時代とは異質な過酷さの中で職務を遂行している。

 国際社会にあっては、我が国は、国連の平和維持活動、国際緊急援助活動および海賊対処のための活動など様々な国際的な共同活動に自衛隊を派遣し、自衛隊員はそれぞれ世界各地において、平和維持、人道支援、被害・災害復旧、国家建設支援など、目に見える貢献をしている。

 このような戦後から今日までの現実を見てくると、我が国周辺においては、朝鮮戦争、冷戦間におけるソ連の行動、冷戦後の近年における中国および北朝鮮の動向など、これらの現実に直面して、これらを警戒・監視し対処するのに軍事力(あるいはそれに相当する実力組織)以外にどのような手段があるであろうか、ということを考えざるを得ない。

 一方、国際社会に目を転じてみても、戦後から今日まで戦争や紛争そしてテロや暴動などが世界各地で生起し、現在も続いている。

 これらに対して国連あるいは多数国が協力して、まずは軍事力をもって対処している現実がある。世界は公正と信義を信頼できる国々でできているとは到底考えられないし、これら不測事態に対処するのに軍事力抜きでは考えられないというのが現実である。

■ おわりに

 これまで縷々述べてきたように、自衛隊は、国内においては、国家主権(領土・領海・領空、統治機能)および国民の生命と財産を守るために行動し、そして海外においては、国連憲章で謳われた普遍的な価値観の追求と実現および国連創設の目的達成のために協力し、国際社会で名誉ある地位を得んと努力する国家の意図に従って、身命を賭して行動している。

 これほどの行動を命じる国家でありながら、国の最高法規である憲法に自衛隊についての規定は一切ない。

 それにもかかわらず命を受けた自衛隊員は、何を拠りどころに行動しているか、それは少なからぬ国民の理解と支援があるということと、国防に直接携わるということおよび国際社会に貢献できるということに誇りと使命感を持っているからにほかならない。

 本稿で述べてきたことが、自衛隊に対する認識を深め、その上で「憲法に国防や自衛隊についての規定がない」ということの是非を考える一助となれば幸いである。


<Jアラート>ミサイル1報で避難呼びかけ 運用を変更
毎日新聞 5/10(水) 0:03配信

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弾道ミサイル落下時の行動について=内閣官房国民保護ポータルサイトから

 政府は9日、北朝鮮の弾道ミサイル発射情報を知らせる全国瞬時警報システム(Jアラート)の運用を変更した。ミサイルが日本に飛来する可能性がある場合、第1報の段階で避難を呼びかける。従来は日本に飛来するか見極めた上で、第2報で「屋内退避」を呼びかける段取りだった。今後は第1報で「頑丈な建物や地下」と具体的に指定して避難を呼びかける。3月に秋田県男鹿市で実施した住民避難訓練を受け、「第2報で避難を開始しても間に合わない」と判断した。

 実際にミサイルが日本に落下した場合、これまでは落下場所を知らせる第3報で情報提供を終了する想定だったが、今後は続報を流すことも決めた。【田中裕之】


韓国新大統領・文在寅の「金正恩に対するスタンス」に国民動揺 ダブルスコアで勝利も就任後に波乱の予感
現代ビジネス 5/10(水) 0:01配信

 新しい韓国大統領が誕生した。盧武鉉政権の中心人物であり、2012年には保守与党の朴槿恵に僅か3.6%差で惜敗した文在寅が大統領選挙に再び挑戦、韓国第19代大統領に当選した。

 出口調査によると得票率41%で、2位に18%以上の差をつけての余裕の勝利だ。勝因は何よりも20代から40代からの高い支持を得たこと、そして同じ左派系の安哲秀候補が優勢と言われていた全羅道地域でも安候補を上回る支持を得たことを挙げられる。

 彼の当選に驚く人はいないだろう。1年前から数百回に渡って実施されてきた世論調査において、ただの1度も1位の座を譲らず、独走し続けてきたのだ。「大統領にならないのも難しい」という声が聞かれるほどで、2位の候補にダブルスコアの差でリードしてきた文氏の執権を疑う勢力は皆無に近かったのではないだろうか。

対日スタンスはこれまでと変わらず
 韓国に新大統領、新政権が誕生すると、当然のことではあるが、日本社会はその人物の対日政策や日本に対するスタンスに注目する。

 しかし、今回の選挙戦においては文氏のみならず、他の候補者たちもまた「慰安婦合意」以外に日本に対する政策や基本スタンスについては言及していない。主要候補者5名は皆、慰安婦合意については再協議、あるいは破棄すべきとしており、多少の温度差はあったものの朴槿恵政権が交わした合意を遵守する意志はないという点で一致していた。

 このため、日本に対する具体的な政策(公約)などから日韓関係の今後を予測することは難しい。ただ、彼のこれまでの言動から感じられるのは、歴代政権がそうであったように基本的には協力、友好関係を維持しつつ韓国国民が敏感に反応する問題、即ち、独島(日本名:竹島)、慰安婦、歴史問題についてはある程度強気の姿勢を国民の前では示すだろうということだ。

 そして、日本が今注目すべきことは、日本について具体的にどのような発言をしてきたかという点ではなく、彼の対米、対北関係についてだ。日本とも密接に関わる問題であると同時に、同じ問題に対峙するとき日本政府が新政権とどの程度価値観を共有することができるのかを把握する事のできるポイントとなるからだ。

「当選したらアメリカより先に北朝鮮に行く」
 まず、対米関係について見ていく。彼は2016年12月「当選したらアメリカよりもまず北朝鮮に行く」と宣言し周囲を驚かせた。彼にとって最も重要な外交優先順位が血盟であるアメリカではなく、北朝鮮であるとも取れる発言であったからだ。

 但し、この発言を巡って論争が起きると、彼は誤解だといって発言を修正、以後、外交政策のブレインである金基正をアメリカのジョンズ・ホプキンズ大学国際大学院で開かれた討論会に送り、自身の対米観、トランプ政権との協力を強調し、融和的な側面をアピールしている。

 だが、選挙戦の政策論争の焦点となっていたTHAAD問題については「再検討」を強調、事実上THAADミサイル「撤回」を目指す姿勢だ。THAAD配置が北朝鮮との緊張を高め、対話を行っていくうえで障害となりかねないというのが彼の主張だ。

 しかし、北朝鮮が米国に対しても核ミサイルを盾に威嚇するような現在の情勢を考えると、それでもTHAAD配置撤回を推し進めようとする文大統領が米国の信頼を勝ち取ることができるのか、疑問である。

 そして文大統領の対米観については、彼の自伝を見れば何よりも明確に理解することができる。彼は青年時代を回顧し「米国と南ベトナムの敗北を予言した本を読んで、後にそれが本当に実現した時(南ベトナムの敗亡と米軍の撤収)、私は『喜悦』を感じた」と語っている。

 アメリカはベトナムで5万8千人の戦死者を出し、韓国もまた5千人以上の戦死者を出した。そして、その時一緒に血を流したという認識は、韓米軍事同盟において重要な要素の一つとして認識されている。それが、そのような犠牲を前に「喜悦」を感じたというくだりを、果たして米国はどう評価するのだろうか? 


「反日モンスター」を制御不能にまで大きくしてしまったものは何か?その支配の構造とは!?正真正銘の韓国人ノンフィクション作家が書く、「行き過ぎた反日」により理性を失った祖国の姿。
「盧武鉉の夢を叶える」と公言
 文大統領が選挙戦において最も攻撃を受けたのが「北朝鮮に対する立場」である。彼が親北と目される理由は簡単だ。以前の保守政権下において中断された開城工業団地、金剛山観光に代表されるような対北経済協力の再開を目指すなど、北朝鮮に対し「優しい」政策を主張してきたからだ。

 仮に、文政権が過去の金大中、盧武鉉政権のように北朝鮮に対し莫大な経済支援を行えば、経済制裁で圧迫する米、日の試みは失敗に終わることになる。北朝鮮の核開発とミサイル実験を受け、北朝鮮に対する経済制裁を強化しようとする米国、日本からは許容し難い行為と受け取られても仕方がないだろう。

 彼の対北観を心配しているのは米国や日本だけではない。TV討論において「北朝鮮は『主敵』か? に対する彼の沈黙、答えを避ける様子は国民を動揺させた。また、韓国内の既得権勢力、親日勢力は「清算」をしなければならないと言いながらも、金正恩については「対話が必要である」とする姿は彼の安保観を疑われるきっかけとなった。

 彼は、韓国の保守勢力、つまり、国内における彼の敵対勢力を「燃やしてしまわなければならない」と発言したこともあるのだが、そんな過激な発言をする彼が、北朝鮮の独裁者については「対話をしなければならない」という。果たして、「友好国」日本を彼はどちらに分類するのか。

 基本的に文在寅政権のスタンスは盧武鉉政権のスタンスに近いものになるだろう。「盧武鉉の夢を叶える」と公言してきた文氏だ。外交、政治、労働、経済、安保についての考え方も大きくは異ならないだろう。まだ初めの一歩も踏み出していない文在寅政権ではあるが、韓国新政権との未来をシュミレーションする際には、盧武鉉政権のことを思い出してみるといいかもしれない。


安倍晋三首相、マクロン次期仏大統領と電話会談「EUへの揺るぎない信任だ」
産経新聞 5/9(火) 23:20配信

 安倍晋三首相は9日、フランスのマクロン次期大統領と電話で会談し、「欧州や世界で保護主義的な動きが広がる中、マクロン氏の勝利は、開かれた社会や自由貿易にとって象徴的な勝利であり、欧州連合(EU)への揺るぎない信任だ」と祝意を伝えた。

 マクロン氏は「日本との関係を重視しており、日仏関係をさらに強化していきたい」と応じた。

 会談では、日EU経済連携協定(EPA)の早期大枠合意に向けて協力していくことで一致。北朝鮮の核・弾道ミサイル問題などでも協力を拡大させていくことを確認した。


韓国大統領選 逆作用した“北風” 北への危機感ゼロ…現状維持望んだ国民
産経新聞 5/9(火) 21:58配信

 【ソウル=名村隆寛】韓国大統領選挙は、朴(パク)槿(ク)恵(ネ)前大統領の罷免により、本来の12月末実施から7カ月余り繰り上げられた。また、権力の空白に加え、朴被告の逮捕・起訴や北朝鮮の弾道ミサイル発射に国際社会が緊張する中、慌ただしい選挙となった。

 韓国ではこれまで、国政選挙の前に軍事挑発など北朝鮮がらみの“北風”と呼ばれる変数が、保守系候補に有利に作用してきた例が多い。しかし今回、北風は影響しなかった。

 北朝鮮の挑発を警戒するのではなく、朝鮮半島の緊張や軍事衝突の回避を望む思いが有権者の間では強かったということだ。北朝鮮による頻繁な挑発に韓国国民は慣らされ、危機意識は薄れている。4月の朝鮮半島危機にもかかわらず、一般市民レベルでは、緊張感はほとんどなかった。

 朝鮮半島情勢の緊迫化に周辺国が懸念と警戒を強めるなか、韓国ではメディアを中心に「日本は騒ぎすぎる。大げさだ」とむしろ日本を批判する主張が頻繁に出た。それほど世論の対北危機意識は薄れている。

 南北関係は選挙の最大争点にもならず、南北統一を願うような主張も極めて少ない。選挙期間中も北朝鮮が核・ミサイル開発を進めている現実を前にしても、韓国国民は、戦争が起こらず統一もしない現在の朝鮮半島の状況、つまり現状維持を望んだ。

 韓国の有権者は、北朝鮮を刺激しないであろう大統領を志向した。そんな風潮に乗り、北朝鮮に融和的な文在寅(ムンジェイン)氏は選挙戦を終始、有利に進めてきた。

 一方、朴被告の罷免を受け、選挙戦は朴政権全否定の風潮の中で展開。昨年10月に朴被告の友人、崔(チェ)順(スン)実(シル)被告の国政介入事件発覚後、文氏は朴政権退陣を求める大規模デモに頻繁に参加。文氏は朴政権に憤る世論の後押しを受け、他の候補を引き離した。

 前例のない繰り上げ選挙で、韓国の新大統領は保守派の一本化論議に時間を与えない中で選ばれた。そして、拙速ともされる新政権の誕生が、日本など周辺国との関係に大きな影響を及ぼすこともありそうだ。


北朝鮮をかばい続けてきた中国が今、態度を急変させた理由
ニューズウィーク日本版 5/9(火) 21:45配信

<中国の北朝鮮制裁は長年「やるやる詐欺」だったが、その理由は本当に「血の同盟」あるいは「戦略的緩衝地帯」だったのか。なぜ今になって制裁を履行し始めたのか>

中国と北朝鮮の関係に異変が生じている。

国連安保理・北朝鮮制裁委員会によると、北朝鮮の石炭輸出量は3月期に6342トンにまで減少した。1月期の144万トン、2月期の123万トンと比べると、壊滅的な数字だ。最大の輸入国だった中国が輸入をストップしたことが大きい。

従来、中国の北朝鮮制裁は「やるやる詐欺」だった。すなわち制裁そのものには合意しておきながらも、各種の抜け穴、口実を使って貿易を継続していたのだ。ところが今年2月になって中国政府は制裁の厳格な履行を宣言し、実際に石炭貿易がストップしたとみられる。

異変は貿易統計のみならず、官制メディアを使った舌戦にまで発展している。中国の人民日報や環球時報は北朝鮮の核実験及びミサイル発射実験について厳しく非難した。

中国メディアが強い言論統制下に置かれているのは周知の事実だ。2013年には鄧聿文・学習時報副編集長(当時)が「中国は北朝鮮を見捨てるべきだ」と題した記事を発表したが、同氏は停職処分を受け、記事はネットから削除された。4年後の今は中国官制メディアが先頭切って北朝鮮批判を展開しており、まさに隔世の感がある。

環球時報にいたっては「6回目の核実験が行われた場合、原油供給を大幅に縮小する」という脅しめいた文章まで掲載した。中国からの原油共有は北朝鮮にとっては生命線だ。

環球時報の論説は先走りが多く、政権の意向を代表しているとは言い難いが、それでも官制メディアの端くれであることに違いはない。北朝鮮にとっては猛烈なプレッシャーとなった。

北朝鮮も負けてはいない。朝鮮中央通信は中国官制メディアの報道を取り上げ、「米国に同調する卑劣な行為についての弁明だ」と批判。また、1992年の中韓国交正常化など韓国との関係についても取り上げ、「信義のない背信的な行動」だと強く非難した。

記事は「金哲」という個人名義で出されたもので、政府公式見解ではない形にすることでワンクッションを置いているが、婉曲的な批判ではない、名指しの抗議はきわめて異例と言える。

中国にとって北朝鮮はむしろ火薬庫

なぜ中国は態度を急変させたのか。このことを考えるためには、まず中国がなぜ北朝鮮をかばってきたのかを考える必要がある。

中国と北朝鮮の関係について、よく言われるのが「血の同盟」、朝鮮戦争をともに戦った仲間というつながりがあるというロジックだ。

同じ社会主義陣営な上に、肩を並べて米帝(アメリカ帝国主義)と戦った仲間だからと言われると納得したくなってしまうが、社会主義陣営は一枚岩ではないのは中国と旧ソ連の関係を見てもわかるとおり。情を重んじた、あまりにナイーヴな理解ではなかろうか。

もう少し合理性に寄せた解釈が「戦略的緩衝地域」論だ。朝鮮半島が統一されれば米帝は北京をすぐ間近にとらえるところにまで軍事力を配置できるではないか。北朝鮮の存在は一種の緩衝地帯であり、中国の安全保障にとって不可欠な存在という理屈だ。

これまた思わずうなずきたくなる理屈だが、現実はというと(1)北朝鮮は北京を射程に収める核ミサイルを保有している、(2)北朝鮮は地域の混乱要因であり、中国は戦争に巻き込まれかねない、という二重の意味で中国にとってマイナスだ。緩衝地帯どころか、中国の身を危うくしかねない火薬庫というわけだ。

専門家は中国外交の失敗を指摘

先日、人民解放軍の研究では世界ナンバーワンの識者として知られる軍事評論家・平可夫氏とお会いする機会があったのだが、同氏は「(中国の狙いについてはさまざまな意見があるが)外交は目的が達成されたかどうかで判断するべきだ。核ミサイルの開発を許し地域の緊張を高めたという意味で、中国の外交は明らかに失敗している」と率直に指摘していた。

同様の指摘をしているのが、米シートン・ホール大学ジョン・C・ホワイトヘッド外交国際関係大学院のワン・ジョン准教授だ。2013年、米ニューヨーク・タイムズ紙のコラム「Does China Have a Foreign Policy?」(中国に外交政策はあるのか?)において次のように語っている。

一国の外交政策を判断するには言葉だけではなく、行動もみる必要がある。中国の政策と行動を子細に研究したならば、中国の外交政策は矛盾に満ちたものであり、さらにはきわめて薄弱であることが理解できる。島嶼領有権争いから北朝鮮問題、さらには気候変動まで、中国は多くの問題において明確で成熟した政策を持っていない。

平可夫氏、ワン・ジョン氏ともに中国の対北朝鮮外交の失敗を指摘しているわけだ。これを前提として考えると、今度はなぜ中国がこれまで失敗を甘受してきたのか、そして今になってついに外交方針を変化させようとしている理由は何かが、考えるべきポイントとなる。

なぜ失敗を甘受してきたのか。その答えは、「北朝鮮問題は中国にとって重要課題ではなかったから」だ。中国は巨大な官僚制国家である。一度決まった方針は粛々と実行される一方で、方針を変更するには膨大な努力が必要となる。

一応、社会主義陣営の一員であり仲間であった北朝鮮に対する外交方針を転換し、実効的な圧力をかけるためには相当なリソースが必要だ。中国には他に優先すべき政策課題があり、北朝鮮問題に充てる政治的なリソースが不足していたため、「北朝鮮を庇護する」という従来方針が延々と延長されてきた......というのが実情ではないだろうか。

「核の脅威」に鈍感だった日中韓

気がつけば北朝鮮は北京をやすやすと射程に収める核ミサイルを擁している。客観的に見れば、中国政府の優先順位付けは明らかに失敗だったというしかない。いや、中国に限らない。韓国、日本もすでに北朝鮮の核の脅威にさらされていることを考えれば、日中韓3カ国にとって、現在の北朝鮮問題は遅すぎた対応と言わざるを得ない。

もっとも、上述の平可夫氏によると、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発はきわめて高度な技術的課題を抱えており、先日の平壌市軍事パレードでお披露目されたICBMは明らかに"張り子の虎"だという。

今後、北朝鮮が開発を進めたとしても、米本土まで届く長距離ICBMを開発できるかどうかは未知数。それほど高い技術的ハードルがあると平氏は指摘する。

だからといって、多分大丈夫だろうでは済まされないのが(本来の)外交、安全保障の世界だ。現在の北朝鮮問題で、新たな変数は米国の抱く危機感である。

米国は今、北朝鮮の核開発阻止に本気の対応を示している。なにもオバマ政権からトランプ政権に変わったから米国の姿勢が変化したわけではない。安全保障の原則から見て当然の行動と受け止めるべきだろう。

上述したように目標達成か否かによって外交を判断するのであれば、米国が北朝鮮による米本土を射程に収めた核ミサイル開発の阻止を絶対条件にすることは間違いない。さまざまな交渉、妥協が行われるだろうが、米国にとっての譲れない一線は北朝鮮に長距離ICBMを保有させないことである。

こうした前提を理解すれば、中国の姿勢の変化も理解できる。中国と北朝鮮という変数だけを見れば〝時すでに遅し"だが、米国が実際に軍事行動に移りかねないという局面を迎えた今、北朝鮮の核開発阻止に関する優先順位は上がり、中国共産党も政治的リソースを使ってまで北朝鮮政策を変化させる時期を迎えたのだ。

整理をすると、日中韓にとってはすでに北朝鮮の核を抑止するタイミングを逃しているが、米国にとってはこれからが本番というねじれた状況にあるということだ。

本気モードになった米国と北朝鮮がどのように交渉するのかが主軸だが、日中韓の立場に立てば、両国の交渉にどのように関わり、どれだけ国益を引き出せるかが問われている。北朝鮮に対して一番多くのカードを持つ中国が先行している中、日本はどのように国益を得られるだろうか。

【参考記事】ニューストピックス「朝鮮半島 危機の構図」

[筆者]
高口康太
ジャーナリスト、翻訳家。1976年生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。独自の切り口から中国・新興国を論じるニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。著書に『なぜ、習近平は激怒したのか――人気漫画家が亡命した理由』(祥伝社)、『現代中国経営者列伝 』(星海社新書)。


第1報から避難勧告 北ミサイルめぐり政府、Jアラートの運用見直し
産経新聞 5/9(火) 21:38配信

 政府は9日、北朝鮮の弾道ミサイルが日本に飛来する可能性がある場合に出す全国瞬時警報システム(Jアラート)のメッセージについて、第1報の段階から避難を呼びかけるよう改めたと発表した。従来は領土・領海に落下する可能性が判明した場合にだけ、第2報で避難を求める運用だったが、避難呼びかけのタイミングを前倒しした。

 これまでの第1報は「ミサイルが発射されたもようです。続報が入り次第お知らせします」と続報を待つよう求める内容で、第2報で「ミサイルの一部が落下する可能性があります。屋内に避難してください」「上空をミサイルが通過したもようです」などと伝える運用だった。これを第1報段階から「ミサイルが発射されたもようです。頑丈な建物や地下に避難してください」と改めた。

 政府が秋田県男鹿市で3月に実施した弾道ミサイルを想定した住民避難訓練では、すぐ近くに建物がある場合ですら避難完了まで2分ほどかかった。北朝鮮のミサイルは10分以内に日本に飛来するといわれ、結果的に“空振り”となっても、避難開始のタイミングを早め、万全を期す必要があると判断した。


「日本に厳しい発言ばかりでは…」 在日韓国人から日韓関係改善望む声
産経新聞 5/9(火) 21:17配信

 在外投票を済ませるなどして大統領選の行方を見守った在日韓国人らからは、今後の日韓関係改善を求める声が相次いだ。

 「大統領選後は日韓関係が良くなるように望んでいる。特に子供たちのためにも改善されるべきだ」と話すのは東京都新宿区で雑貨販売店を営む金(キム)●(=吉を2つヨコに並べる)(チョル)柱(ジュ)さん(56)。在外投票をしてきたという韓(ハン)銀(ウン)淑(スク)さん(55)は「今回の選挙は国民の関心が高い。特に若者はSNS(会員制交流サイト)で意見交換をして情報を持っている」とした上で、文在寅氏について「大統領就任後も国民が厳しくチェックする。日本で心配されているほど極端な政策を取ることはないのでは」と話す。

 一方、大阪市生野区でキムチ店を営む崔(チェ)玉(オク)さん(62)は、「昔はいろいろあったが、もう時代が違う。日本に厳しい発言ばかりしていてはいけない。日本に住んでいる韓国人も、韓国に住んでいる日本人もいる。良好な関係を築かなくては」という。北朝鮮との対話路線については「核実験やミサイルの発射を繰り返しており、今の北朝鮮は何を考えているか分からない。本当に対話ができるのか」と疑問を投げかけた。


ミサイル発射で直ちに避難=対北朝鮮、政府が警報新運用
時事通信 5/9(火) 20:37配信

 政府は9日、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した際に使用してきた全国瞬時警報システム「Jアラート」の運用を変更し、発射を伝える初報の段階で避難を呼び掛けると発表した。

 北朝鮮ミサイルの脅威を「新たな段階」と深刻に捉えており、実際に日本に着弾した場合を想定して人的被害を最小限にとどめる狙いがある。


北朝鮮への経済制裁は、なぜ効果を持ちにくいのか?
文春オンライン 5/9(火) 18:00配信

「経済制裁」。耳慣れた言葉だが、果たしてその効果はいかほどなのだろうか。北朝鮮の核兵器やミサイル開発を止めさせるため、主要国は経済制裁を続けてきた。しかし、相変わらず北朝鮮のミサイル開発は続き、今や脅威が増大している。経済制裁の効果が薄い背景には「制裁破り」さえ行い、北朝鮮との貿易を優先する中国企業などや、「第三世界」ネットワークの存在があった。
(出典:文藝春秋オピニオン 2017年の論点100)

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経済制裁が効かない理由
 北朝鮮の核開発とミサイル実験が急ピッチで進んでいる。

 国連安保理は北朝鮮の核兵器やミサイル開発を止めさせるため、2006年以来、経済制裁決議を採択し続けてきた。現在の禁輸対象は、大量破壊兵器や通常兵器とそれに関する各種部品・サービス、贅沢品、一部の鉱物資源や燃料類などである。(注1)日本もまた、2006年から始めた独自の経済制裁で、現在では全面禁輸を実施している。にもかかわらず、北朝鮮の核兵器とミサイル開発は続いている。のみならず、2016年にはすでに20発以上のミサイル実験を実施し、日本の安全に直接的な脅威を与えている。

 もともと経済制裁は、万能薬にはほど遠い。経済制裁によって国際秩序を保とうとすれば、各国は輸出入管理のために多くの費用や労働力などを負担することになる。だが、国際秩序の恩恵は欲しくても負担を嫌がるフリーライダーが増えれば、経済制裁は効力を失っていく。

 さらに、経済制裁の対象国とひそかに貿易すれば、真面目に制裁した国が抜けた分、大きな利益を上げられる可能性があるため、フリーライダーどころか制裁破りが横行する。北朝鮮に対する経済制裁でも、フリーライダーや制裁破りは数多く見られる。これが、経済制裁が効かない理由の1つである。

 北朝鮮が核兵器やミサイルを開発しても、東南アジアや中東、アフリカ、中南米にたいした影響はないし、利害関係も小さい。これらの国々では、制裁に加担しなくてもたいした問題はないし、制裁を破れば儲かる可能性がある。国際秩序を守ることに比較的関心が高いヨーロッパ諸国でも、北朝鮮と貿易しようとする企業はこの10年でむしろ増えている。日米やヨーロッパ以外では、北朝鮮に対する制裁に熱心になることは考えにくい。

 制裁破りでよく知られているのは、中国である。中国企業にとって、日米が参入しない北朝鮮との貿易は、それだけ競争も少なく大きな利益を得られるため、制裁破りをするだけの価値がある。しかも、中国では公害や腐敗などの国内問題でも企業への取り締まりが行き届いておらず、制裁破りは横行しやすい。

 さらに問題なのは、北朝鮮に対する経済制裁に関心がない東南アジアやアフリカ、中南米等のいわゆる第三世界の国々である。これらの国々は、フリーライダーや制裁破りになりやすい。実際、国連加盟国の5割以上(注2)は、北朝鮮に対する制裁状況の報告書を要求されても、提出していない。同時期に要求されたイランに対する制裁状況の報告書よりも少ないほどだ。極端なのはアフリカ諸国で、54ヶ国中、6ヶ国しか提出していない。(注3)

 アフリカ諸国では、実際に国連安保理制裁決議を破っているケースが見られる。たいていは、国連安保理制裁が始まる前から北朝鮮と軍事協力があって、それを続けていたことに起因する。

北朝鮮の第三世界ネットワーク
 アフリカ諸国の経済制裁違反について、筆者は2014年度と2015年度に直接現地に赴いて調査したことがある。ウガンダでは、現地の新聞記者にインタビューして、北朝鮮とウガンダの軍事協力を調査した。すると、ウガンダは警察軍のために北朝鮮のトレーナー100名を雇っていたことが分かった。しかも、ウガンダは2009年に国連安保理で採択された北朝鮮に対する制裁決議に賛成した非常任理事国であり、制裁報告書も提出していた数少ないアフリカの国連加盟国の1つである。ナミビアでも同じく、新聞記者に北朝鮮との親密な関係についてインタビューし、軍事基地や軍事施設建設のために北朝鮮の技術労働者が雇われていることが分かった。

 エチオピアでは、武器工場を建設してくれた北朝鮮から技術者を雇い、武器資材を輸入していることが知られていたが、その武器工場が実際に存在することを確認した。国連安保理制裁委員会専門家パネルも様々な情報を得ている。たとえばコンゴ民主共和国では、北朝鮮からトレーナーを雇い、武器を輸入していた。コンゴ共和国では、北朝鮮から戦車の部品を輸入しようとした。アフリカにおいて、いかに北朝鮮に対する経済制裁に関心が低いか、理解できよう。他にも中東諸国や東南アジア諸国、中南米諸国でも、制裁報告書を出していないフリーライダーや制裁破りをしている国が散見される。

より有効な経済制裁を目指して
 なぜ、ここまでフリーライダーや制裁破りが放置されていたのであろうか。それは国際政治が基本的に無秩序な世界であって、制度構築が困難であることに起因している。国連安保理制裁決議を破ったところで、罰則があるわけではない。日本国内であれば、法律によって定められた罰則に従って、警察が実力行使で取り締まれるわけである。しかし、国際政治では、国際法によって定められた規範によって、各国に自制を求めるに過ぎない。そのため、フリーライダーや国際法破りはよく発生する。北朝鮮に対する経済制裁でも同じである。

 日本では、東アジア以外で、北朝鮮がどのような国際関係を構築しているのかはほとんど知られていない。北朝鮮における国際社会とは、対第三世界のことである。第三世界では、北朝鮮に対する制裁に関心がないだけではなく、北朝鮮と強い友好関係がある国もある。第三世界との関係も考察しながら、北朝鮮に対する有効的な経済制裁体制を構築することが、これから必要になるであろう。

 そこで重要になるのは、第三世界が北朝鮮に対する経済制裁に協力的になるように、誘因をつくることである。すなわち、経済制裁をすればもっと利益が上がるように制度を構築することである。それができなければ、第三世界は北朝鮮に対する経済制裁には消極的なままとなり、日本の安全はますます脅威にさらされることになるであろう。

筆者注釈(2017年5月2日現在)

注釈1:2016年11月30日に新たな国連安保理制裁決議(第2321号)が採択され、禁輸対象の鉱物資源が付け加えられ、北朝鮮から像や、船舶と航空機の乗員サービスの調達も禁止された。また、北朝鮮に対するヘリコプターと船舶の輸出も禁止された。

注釈2:2017年4月末の時点では、国連加盟国193ヶ国のうち106ヶ国まで提出国が増えており、55%が過去に報告書を提出したことがあることになる。

注釈3:2017年4月末の時点では12ヶ国まで増えた。2017年4月に入ってから、筆者が調査したナミビアもエチオピアも報告書を提出した。

出典:文藝春秋オピニオン 2017年の論点100

著者:宮本悟(聖学院大学教授)


弾道ミサイル情報 文言を一部変更
ホウドウキョク 5/9(火) 17:44配信

北朝鮮による弾道ミサイルの発射情報などを国民に知らせる「Jアラート(全国瞬時警報システム)」について、政府は、メッセージの一部を変更することを決めた。
政府は、迅速な避難を呼びかけるため、ミサイル発射直後の「Jアラート」の第1報にあった、「続報が入り次第お知らせします」との文言は不要と判断し、削除する。
さらに、ミサイルが、日本の領土・領海に落下する可能性があると判断した場合、避難を呼びかける場所を、これまでの「屋内」という言葉が子どもなどに聞き取りづらいため、「頑丈な建物や地下」にあらためる。
政府は、早ければ9日にも、新たなメッセージの運用を開始することにしている。


対「北朝鮮ミサイル」防衛論(下)「武力攻撃」にも「国土強靭化計画」を
新潮社 フォーサイト 5/9(火) 12:00配信

 こうした現在の状況では、北朝鮮の日本に対するミサイル攻撃も、「戦術レベル」では起こりにくいと言うことができる。日本への先制攻撃は国際法違反の侵略行為であり、かつ日米安保発動の要件となり、米軍の反撃、特にトランプ大統領に対し、北朝鮮に向けた核ミサイルのボタンを押す正当性を与えることになる。先に「北朝鮮は、日本にスカッドやノドンミサイルを撃ち込む理由がない」と述べたのはそのためだ。

 とは言え、ミサイルの脅威がこれで全て解消されるわけではない。なぜなら、「戦略」「戦術」以外でも、ミサイルが飛来する可能性があるからだ。

 すでによく知られているように、北朝鮮が核・ミサイル開発に執着するのは、これらを「戦略兵器」としてアメリカと直接交渉する、具体的には金正恩体制の保証を求めるためだ。そのためにはアメリカ本土まで届く核弾頭とICBM(大陸間弾道ミサイル)を開発しなければならないのだが、今のところその目標が達成されたとは言い難く、開発途中の状態である。

 たとえば北朝鮮は、プルトニウムを使った核兵器を開発しているとされるが、これは「爆縮型」と言い、プルトニウムの核心を爆縮レンズで取り囲み、その外側でTNT火薬を爆発させ、一気に中心部にエネルギーを集中、核分裂させるというものだ。これはウランを使用するタイプよりも小型化でき、ICBMに搭載するにはうってつけなのだが、技術的に非常に難しい。

 ICBMは、発射するといったん大気圏外に出て再突入するが、その際大気との摩擦で生じる高熱(7000度以上といわれる)にその弾頭が耐えられるかどうかが、まず問題となる。さらに目標に近づいたとき、どのタイミングで爆縮するかも解決困難な課題である。

 これまで北朝鮮は、環境条件が整った核実験場では爆縮に成功しているが、実用的なミサイル弾頭としての技術開発動向の実態はまだ見えない。核実験を継続しないと戦力化には至らないとの危機感はあるのだろう。

■「戦略兵器」のレベルにない弾道ミサイル

 ではミサイルはどうか。

 日本が射程に入るものとしては、スカッド(射程約1000キロ)、ノドン(約1300キロ)、テポドン1(約1500キロ以上)、テポドン2(約8000~1万キロ)、ムスダン(約2500~4000キロ)といったものがまず挙げられる。これらはいずれも液体燃料を使用するタイプだ。

 過去に日本列島を横断したテポドン2をICBMと思っている読者がおられるかもしれないが、あのようにタワーに立てて発射するロケットは、兵器ではない。そもそもテポドン2は、基本的にはノドン4本分を束ねて1段ロケットを作り、その上にノドン1本を乗せた2段あるいは3段ロケットで、その推進力を利用して、最終的に地球の周回軌道に乗せることに成功したものだ。

 ところが、今喧伝されているICBMはこれとは別物で、車載式を採用し、テポドンとは違う発想で作られている。中距離弾道ミサイルのムスダンのエンジン2本分を束ねた1段ロケットで、8000キロ飛ばそうとしているのだ。これがKN08もしくはKN14と呼ばれる液体燃料型のICBMである。エンジンテストは成功したようだが、実際にミサイルとして飛行実験をしたことはない。昨年来発射実験をしているムスダンは失敗が多く、8回中1回しか成功していない。このように元となるムスダンの信頼性の低さを考えると、必然的に液体燃料型のICBMの信頼性も低い、と言わざるを得ない。

 一方で北朝鮮は、固体燃料型のミサイルも開発しているようだ。その例が昨年発射したSLBM(北極星1号)と、2月に地上発射した北極星2号(KN15)だ。どちらも固体燃料型ミサイルとして500~1000キロの飛行には成功したようだが、固体燃料型ICBMを完成させるためには、この10倍の量の固体燃料を開発しなければならない。ここ最近の、4回のミサイル発射は失敗しているが、うち数回は、この固体燃料開発のための発射実験と見ることもできる(因みに29日に発射失敗したミサイルはKN17と見られ、これまでのミサイルとは全く違い、陸地から艦艇を直接攻撃するための弾道ミサイルと言われており、その実態はほとんど不明である)。

 故・金日成主席の生誕105年記念日だった4月15日のバレードで初めてお目見えした、車載型の長い太い筒のようなミサイルは、ロシアの固体燃料型ICBM「トーポリ」にそっくりだった。おそらく中身はなかったのかもしれないが、いずれはそれに近いものを作る、という意図の表明と見ることができる。要するに、北朝鮮のICBMは、液体燃料型の方が開発は進んでいるものの固体燃料型と両方同時に開発中で、いずれも「戦略兵器」としてアメリカに突き付ける段階にはないといってよいだろう。

 だがそれは、更なる発射試験が必要だ、ということでもある。その発射試験は、日本列島を越えることになるだろう。ところが前述したように、その信頼性は低い。日本を狙ったものでなくても、発射試験に失敗したミサイルが日本のどこかに落ちる可能性があるということだ。その時に私たちの生命や財産をどのように守るのか。このことこそ、今真剣に議論すべき問題なのである。

■「民間防衛」を規定した「国民保護法」

 有事立法の中核である事態対処法(武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律)が成立したのは、2003年のこと。その翌年、有事関連7法の1つとして成立したのが、国民保護法(武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律)である。

 国民保護法は、内閣官房の説明によれば、「武力攻撃事態等において、武力攻撃から国民の生命、身体及び財産を保護し、国民生活等に及ぼす影響を最小にするための、国・地方公共団体等の責務、避難・救援・武力攻撃災害への対処等の措置が規定」されているものだ。平たく言うなら、いざという時の「民間防衛」に関する法律ということだ。

 この法律ではまず、国民の生命や身体、財産を守らなければならない武力攻撃を、(1) 着上陸侵攻(2) ゲリラや特殊部隊による攻撃(3) 弾道ミサイルによる攻撃(4)航空攻撃(5)武力攻撃やテロの手段として化学剤、生物剤、核物質が用いられた場合(NBC攻撃)、の5つに分類している。自衛隊は当然、事態対処法や自衛隊法に則って行動するわけだが、それ以外の国や地方公共団体、指定公共機関がどう対処するかという枠組みが、この法律で定められている。

 それは大きく分けて、避難、救援、武力攻撃災害への対処の3つだ。その大枠を定めているのが、閣議決定された「国民の保護に関する基本指針」で、地方公共団体の場合、これに基づいて都道府県、市区町村の「国民保護計画」を策定することとなっている。都道府県レベルではすべてが策定済み、1741市区町村のうち、2016年4月1日現在で1737が策定済みだ。

■現実的とは言えない「保護計画」

 問題なのは、この「保護計画」が現実的なものなのか、ということである。

 1つ例を挙げよう。3月17日に秋田県男鹿市で、国内初のミサイル避難訓練が行われた。主催は内閣官房や消防庁、秋田県、男鹿市。秋田県は沖合にミサイルが着弾したり、上空を飛び越えていったりした経験を持つので、国内初の訓練場所としてはふさわしい。

 訓練のシナリオは、朝9時30分に発射されたというもの。3分後、国から全国瞬時警報システム(Jアラート)を通じて情報が入ると、同時に「国民保護に係る警報のサイレン」が防災無線から鳴り、住民は避難を開始する、というものだ。

 だがその避難先は、公民館や学校である。自衛隊による迎撃が成功し、その破片や爆風を避けるというだけならばまだしもだが、万が一撃ち漏らして着弾した場合でも、既存の施設で国民の生命や身体を「保護」できると考えているようだ。

 昨年の熊本地震の際には、体育館などの避難場所での2次災害が怖いからと、自家用車を避難場所にするご家族で各駐車場が一杯になった様子が記憶に新しい。自然災害に対してさえも、避難するのに適切でない施設が多く存在しているという現実があるのだ。

『週刊新潮』3月30日号の記事によると、男鹿市総務課危機管理班の担当者は、「本番では建物がなかったらどうしたらいいかと不安の声も聞かれ、避難場所を増やすなどの課題が見つかりました」と取材に答えている。数字上はほとんどの自治体が策定した、と報告されている「保護計画」が、その内容において本当にミサイルが飛来する場面を想定しているのか、との疑問を抱かざるをえない。今こそ改めて「国民保護」について、真剣に議論することが必要だろう。

■「武力攻撃災害」からの「国土強靭化」を

 そこで、1つ提案をしてみたい。

 政府は今、自然災害からの防災・減災を目的とした「国土強靭化計画」を進めている。阪神淡路大震災や東日本大震災による被害を教訓に、「国民の命と財産を守る」ことが最大の使命だ。

 この「国土強靭化」を、「自然災害」に対するものだけでなく、「武力攻撃災害」にも対応できるようにすることが必要なのではないか、と筆者は考える。たとえば避難所については、自然災害用を考える際の考慮事項として、併せて「武力攻撃災害にも一定程度対応可能」と義務づけるだけでも違ったものになるのではないだろうか。

 自然災害に対しては、日本人はさまざまな知恵を使って防災してきた。武力攻撃災害は、経験がない分どうしてもおろそかになりがちだが、その本質は自然災害と変わらない。この発想から「保護計画」についての活発な議論と見直しを進めていく必要があるだろう。そしてそれは今だからこそ、他人ごとではなく始められることなのだ。


緊迫の朝鮮半島情勢最新分析
Japan In-depth 5/9(火) 8:48配信

【まとめ】
・中国漁船団日本海に集結、中国軍の影も。

・有事の際、朝鮮労働党幹部が万景峰号で日本に避難の可能性あり。

・米潜水艦や露ミサイル巡洋艦に動き。日本海戦略を注視。

緊張状態が続く北朝鮮周辺の情勢。海洋の安全保障という観点でこの問題を見ている東海大学海洋学部海洋文明学科山田吉彦教授をゲストに迎えた。

■地政学上無敵の日本

山田氏は海洋への視点の必要性について、地球の7割以上が海でできていることから、「海を通して物資は通じている。だから海をないがしろにはしてはいけない。」と述べた。同時に日本は島国のため、世界へとつながる道は海しかない。そのため、「歴史的に見ても、(日本は)海に守られてきた。」と指摘した上で、「海を通して世界と接している以上はしっかりと海を守っていかないと国土に対して影響が及んでしまう。侵略されてくるのは必ず海から来るから、ミサイルだけで最終的にはこの島を全部抑えられるわけではない。海さえおさえておけばこの国は安泰。」と、日本の海洋における安全保障の必要性を強調した。

また、山田氏は中国にとってもロシアにとっても、日本の存在が彼らの自由な経済戦略を妨げていることを指摘した。「逆さ地図」(下図)を見ると、中国が貿易をしようとすると日本列島・沖縄諸島を横切る必要がある。そのため仮にもし日本と紛争になった際、海洋封鎖をされれば中国は干上がってしまうこと、ロシアも、極東開発をすすめようとしたら日本と友好関係を結ぶしかないということを日露戦争で思い知らされている、といったことをあげた。そうした「強いカード」を日本が持っていて、その切り方を分かっていれば「日本はアジアでは無敵の国」と山田氏は述べた。

■緊迫する日本海と難民問題
テーマの北朝鮮周辺の情勢についてまず山田氏は「日本海は海洋安全保障上は最も注目されている海域。日本ではほとんど報道されていないが、実は昨年から日本海の動きが非常に激しくなっている。」と述べた。韓国の報道によると、中国の漁船団が昨年、700隻から1000隻日本海へ行っているという。北朝鮮海域の漁業権を中国が買っており、日本の海域において中国の漁船が漁をやっているという。これはすなわち、「北朝鮮になにかあった場合日本海に中国の船がいるということ。」であると山田氏は指摘した。さらに、「日本海に中国の漁民がいるということは、中国は人民の保護と言う名目で海軍を日本海に堂々と投入できる」ことを意味すると述べた。

最近、中国とロシアの国境に位置し、中露が取り合っている羅津(ラジン)港という港と、ロシアのウラジオストクのあいだを北朝鮮の貨客船・万景峰号を定期運航するという動きがあった。それはつまり、日本海において万景峰号を常時動かせる状態にしておきたいという思惑があるという。その背後には、北朝鮮にもしも何かあった場合、朝鮮労働党の幹部や家族を万景峰号に乗せて日本へ避難させるという北朝鮮側の思惑がある、と山田氏は指摘した。

日本はこれを拒否することはできないのか安倍編集長が問うと、「日本には在日朝鮮人の方がたくさんいるので身元引受人になる。今の国際情勢の難民保護の観点から日本だけNOとは言えない。日本は旧宗主国で、国際慣例上旧宗主国は難民を受け入れている。」と受け入れ拒否は難しいと述べた。山田氏によると、そうした北朝鮮からの難民は「最大想定だと15万人」とのことだ。「拉致被害者を全員連れて来たら受け入れる、というのはどうか?」と安倍編集長が提案すると、山田氏は「それもひとつの方法。」とし、「もしもの時は速やかに拉致被害者を連れて来たら、我々もきちんと君たちの処遇を考えますよ」という姿勢で臨むべき、と述べた。しかし、一万人というレベルでたとえば隠岐など小さな島に集中してしまったら、島が乗っ取られてしまうことを危惧し、難民対策を考えておく必要性も指摘した。

■米潜水艦、露ミサイル駆逐艦が臨戦態勢

アメリカの原子力空母、カールビンソンが4月29日に韓国軍と合同訓練を行った。しかし、実はアメリカの戦略的原子力潜水艦ミシガンが釜山に寄港し、いまも日本海に潜んでいる、と山田氏は述べた。「カールビンソンは象徴的な存在だがそれ以上に脅威なのがこのミシガン。」とし、ミシガンは全長170メートルで、小さな町なら簡単に制圧することができるという屈強な特殊部隊が60人入っているという。「カールビンソンの動きはすべてキャッチされている。衛星からも見ている。しかし潜水艦の動きは分からない。この両面作戦をアメリカは展開していた。」と、アメリカの日本海における戦略を説明した。

同様に、山田氏が訪問したばかりのロシア・ウラジオストクでも、ロシア太平洋艦隊の基地近くの港にはミサイル駆逐艦が4隻並んでいたという。そのうち1隻は帰ってきたばかり。最高級のソナーと迎撃ミサイルを積んでいて「いつでも対応できる準備に入っているし、一部はもう対応している。」と述べた。

潜水艦が潜んでいる、ミサイル駆逐艦が動いている、などといったことをロシアがあえて明らかにするのには意味がある。
山田氏は、「準備をしていることをみせるということは抑止力になる。もしもの時は我々も一枚かむんだ、ロシアはそのままスルーするわけではない、するべきことはすると言う意思表示」と分析した。

アメリカ、ロシア、北朝鮮、中国。すべてはプレーヤーとして絡み合っていて、各国落とし所について考えてはいるものの、北朝鮮が新たな火種を生む場所になりうる、と山田氏は指摘するとともに、このぎりぎり保たれている均衡に気づかない韓国国民にも危機感を抱く、と述べた。

■緊張高まる日本海

山田氏も、「戦前の遼東(リャオトン)半島のような状況に、朝鮮半島全部がなりかねない。」とした上で、「日本はもっと緊張感を持って積極的に北朝鮮に対する行動を考えなければいけない。」と述べた。同時に、「なにかあった場合日本でテロが起こらないとも限らない。それに対する備えも先送りしていい話ではない。」と述べ、テロ対策の必要性も強調した。

現在の緊張関係について、山田氏は「何もないまま数年すぎるということは考えにくい。」と述べた。4月29日に北朝鮮はミサイルを発射したが、意図的にせよ偶然にせよ、失敗に終わった。これは山田氏が「本当に日本海に落としたら戦争になっていてもおかしくない。」と感じたほどのものだったという。安倍編集長も今回の話を受け、「日本海の情勢は注視しないと何が起こるかわからない。」と危機感を示した。

「これからの季節、海も荒れず落ち着いてくる。(各国の)日本海戦略を注視しなければいけない。」と、今後緊張感が高まることを示唆した。その上で、「米海軍の護衛をしたということは日本の庭先では自分たちもちゃんと関与しているんだという意思表示」だったとして日本の護衛艦「いずも」が今月頭に米補給艦の護衛活動を行ったことを評価した。

(この記事は、Japan In-depthチャンネル2017年5月3日放送の内容を要約したものです。)


日本は北朝鮮の特殊部隊やテロリストの上陸を阻止できるのか
NEWS ポストセブン 5/9(火) 7:00配信

 核実験の継続を示唆するなど、予断を許さぬ北朝鮮情勢。日本政府はミサイル攻撃時に国民をいかに守るのかといった防衛策や、有事の際に日本に大量流入するかもしれない難民をどうやって保護するのかといった対応策を急ぎ検討しているという。

 だが、仮に有事につけ込んで北朝鮮国内で訓練を積んだ軍の特殊部隊が日本への侵入を企てたら、果たして上陸を「阻止」することなどできるのだろうか──。朝鮮半島問題研究家で近著に『北朝鮮恐るべき特殊機関』がある宮田敦司氏がシミュレーションする。

 * * *
 安倍晋三首相は4月17日に開かれた衆院決算行政監視委員会で、北朝鮮難民が大量に日本へ漂着した際に、工作員や特殊部隊員が混ざっている可能性について触れている。

〈日本政府は最大数万人の難民が船で日本海を渡ってくると想定しており、日本海側に数カ所の拠点となる港を選定し、その拠点港において身元や所持品を調べ、北朝鮮の工作員やテロリストの入国を防ぐ。また、北朝鮮が韓国を攻撃した場合は韓国からも難民が来ると想定し、臨時収容施設の設置計画を検討するとしている〉(毎日新聞・電子版/2017年4月28日)

 つまり、特殊部隊員が難民を装って日本へ侵入する可能性があるのだ。政府は「工作員やテロリストの入国を防ぐ」としている。テロリストとは人民軍偵察総局に所属する特殊部隊員を指していると思われるのだが、どのように「入国を防ぐ」のか筆者には想像できない。

 工作員やテロリストが、武器や爆発物などを所持したまま検査を受けることは考えにくいし、そもそも、工作員やテロリストが民間人と一緒に検査を受けることはないだろう。最後まで難民を装って侵入するつもりならともかく、漂着した海岸に上陸する可能性が高いからだ。

◆防衛庁(当時)の想定

 2003年から2005年にかけて、防衛庁(当時)と陸上幕僚監部が、北朝鮮軍の特殊部隊員が侵入した場合の対応について検討したことがある。現在の防衛省が新たな対応策を策定したという報道がないため、おそらくこの計画は現在も踏襲されていると思われる。

 防衛庁は、日本海沿岸に高速艇や潜水艇で侵入を試みる特殊部隊に対し、海上自衛隊が80パーセントを撃退、陸上自衛隊が沿岸部で残る勢力の4分の3を撃退。残り5パーセントが内陸部への侵入に成功すると想定している。

 侵入する人数については、防衛庁は数百人、陸上幕僚監部は800~2500人と想定している。

 防衛庁はもともと数千人の特殊部隊員による侵攻を想定していたのだが、米軍が「多くても数百人」と主張したため、日本側が歩み寄って「数千人」を「数百人」に変更し、基本的に自衛隊が単独で対処することにしたという経緯がある。

◆特殊部隊の捜索

 特殊部隊員が内陸部に侵入した場合、陸自は6000人で対応するとしている。その内訳は、上陸地点を囲む第一次包囲環(網)に3000人。第一次包囲網の内側に普通科、戦車部隊など約1000人が二次包囲網を形成して追い詰める。このほか、包囲する部隊の戦闘を後方で支援する施設、対空防護部隊などに2000人を配備するというものである。

 本稿では防衛庁が想定している「十数人」というのを12人と仮定して計算する。偵察総局の特殊部隊員の最小行動単位は3人といわれているため、上陸した兵員が12人の場合、4組のグループに分かれる可能性が高い。このため、4組が侵入したとするとして計算すると、捜索に2万4000人(6000人×4組)が必要となる。

 さらに、この包囲網とは別に、特殊部隊の上陸に備え、北海道~九州の沿岸を10キロごとに区割りし、計90か所に移動式レーダーを備えた部隊1万5000人を配備するとしている。

 また、防衛出動などが発令された場合、政府機関、原発、石油貯蔵所、浄水場、在日米軍基地、航空管制施設、通信施設の7種類、計135か所が攻撃目標になると想定されているため、計11万9000人が警護に投入される。

 これらの施設の警護には警察も投入されるだろう。しかし、警察官は全国で約22万人いるが、機動隊員はこのうち1万4500人にすぎない。

 陸自の2016年現在の現員(実際の人数)は13万8610人。このほか、即応予備自衛官8175人、予備自衛官4万6000人、予備自衛官補4600人である。防衛出動が発令された場合は予備自衛官等も動員されるため、陸自の隊員は19万7385人となる。

 要するに、特殊部隊員の上陸を阻止したり、上陸した特殊部隊員を捜索する人員だけで計15万8000人が必要となる。このため、特殊部隊対策以外の任務に投入可能な人数は3万9385人となる。

 しかし、24時間体制で「有事」が終わるまで交代なしというわけにはいかないだろうから、この3万9385人は交代要員となる可能性が高い。このため、全ての人員が特殊部隊対策に投入されることになる。

 これはあくまでも12人が侵入した場合の数字である。北朝鮮軍には特殊部隊員が約12万2000人いると言われているが、前述したように、防衛庁は数百人、陸上幕僚監部は800~2500人を想定している。仮に、陸上幕僚監部の最大の見積り(2500人)で計算すると、約830組(2500人÷3人)という途方もない数になる。

◆帳尻合わせの机上の空論

 防衛庁の想定では、海自が80パーセントを「撃退」するとしているが、日本へ接近する北朝鮮海軍の艦艇の数がわからないうえ、漁船で上陸を図るだろうから、「80パーセント」とする根拠となる数字が分からない。

 また、「撃退」の方法も分からない。「撃沈」するのは簡単だが「撃退」するのは相当難しい。体当たりして妨害するのだろうか。

 それに、漁船をいきなり撃沈するわけにはいかないだろうから、停船させて「護衛艦付き立入検査隊」が船内を調べることになる。しかし、もしこの漁船に特殊部隊員が乗り組んでいたら、海自は死傷者の発生を覚悟しなければならない。

 陸自も沿岸部で残る勢力の4分の3を「撃退」するとしているが、海自と同様にその手段がわからない。海岸から威嚇射撃しても一時的に沖合に逃げるだけだろう。

 それに、「撃退」したからといって、素直に北朝鮮へ戻るという保証はない。燃料が続く限り、何度でも上陸を試みるだろう。自衛隊に妨害されたからといって、おめおめと北朝鮮へ戻ったら、どんな処罰が待っているかわからない。

 防衛庁が参考にしたという韓国での上陸事件「江陵潜水艦座礁事件」では、座礁した潜水艦の乗組員および工作員計26人に対し、韓国陸軍は東京都の3倍の面積を約50日間にわたり1日最大6万人を投入して掃討作戦を実施した(実際には、潜水艦乗組員は上陸直後に集団自殺したため、捜索対象は工作員3~4人。最終的に1人を発見できないまま捜索終了)。

 東京都の3倍の面積を捜索した理由は、偵察局所属の工作員が山岳地帯を一日で移動できる距離を考慮した結果である。

 このような大規模な捜索が行われた「江陵潜水艦座礁事件」の、どの部分を参考にしたら6000人という数字になるのか、その根拠が全く分からない。韓国と同様に6万人というのなら理解できるのだが。

◆通じない朝鮮語

 上陸した特殊部隊員との戦闘の主力は、陸自の中央即応集団(約4500人)となるだろう。陸自は小平学校で韓国語の教育を行っているため、中央即応集団の一部の隊員も韓国語の教育を受けているだろう。しかし、小平学校の教育内容は「韓国語の標準語」であるため、最前線で韓国語が通じることはないだろう。

 北朝鮮特殊部隊員との戦闘の主力は、陸自の特殊作戦群(約300人)と西部方面普通科連隊(約660人)となるだろう。特殊作戦群の一部の隊員は韓国語の教育を受けている。しかし、最前線で韓国語が通じることはないだろう。

 自衛隊が不審者を発見した場合、その人物が北朝鮮の特殊部隊員である可能性があったとしても、いきなり射殺するわけにはいかない。特殊部隊は韓国へ侵入する場合は、民間人を装うか、韓国軍を装うことになっている。このため、日本でも民間人を装って行動するだろう。

 相手が特殊部隊員であることを確認するために、自衛隊は日本語と韓国語で「誰何(すいか)」することになる。しかし、相手が朝鮮語で返答してきたら、おそらく意味が分からないだろう。

 最前線では怒号のようなやり取りになるだろうから、特殊作戦群の通訳を担当する隊員はかなり高度な語学力が必要となる。

◆“非現実的”な想定

 防衛庁の計画は、特殊部隊の能力を十分に考慮しているとは思えず、非現実的であると言わざるを得ない。陸上幕僚監部が出した数字のほうが現実的だ。

 陸自に有事に迅速に対処するための「中央即応集団」、海自に特殊部隊である「特別警備隊」が創設されたことで、自衛隊は将来起こりうる事態に対処することが可能となりつつある。これらの部隊の訓練は厳しく、隊員個人の能力も高い。アメリカ軍の特殊部隊とは規模が違うため単純に比較することはできないが、個々の隊員の能力はアメリカ軍に匹敵しているだろう。

 しかし、隊員の能力がいくら高くても、数字を合わせるだけでは、北朝鮮の特殊部隊の上陸を阻止できないし、上陸した部隊を壊滅させることもできない。防衛庁は侵入する特殊部隊員の人数を「数千人」から「数百人」に1ケタ減らしているわけだが、政治的な理由で簡単に減らしていいのだろうか?

 これまでは現場(制服組)の意見を無視した、政治家や官僚主導による数字の帳尻合わせで良かったのかもしれないが、そろそろ現実を直視しなければならない時期に入っているのではないだろうか。

 ここに書いたことが、筆者の杞憂であることを願いたい。

●みやた・あつし/1969年愛知県生まれ。朝鮮半島問題研究家。1987年航空自衛隊入隊。陸上自衛隊調査学校修了。北朝鮮を担当。2005年航空自衛隊退職。2008年日本大学大学院総合社会情報研究科博士後期課程修了。近刊に『北朝鮮恐るべき特殊機関』(潮書房光人社)がある。


金正恩体制転覆のため われわれ日本人ができること
NEWS ポストセブン 5/9(火) 7:00配信

 北朝鮮情勢が緊張度を高め、米国が先制攻撃するのではないかとの観測も流れた。しかし、実際に米国は攻撃しないまま、今に至っている。北朝鮮情報の発信メディア「デイリーNKジャパン」編集長・高英起氏が、武力攻撃以外でいかにして北朝鮮と渡り合うのかについて解説する。

 * * *
 米国の軍事攻撃は幻に終わった。さらに、中国も、米国の要望によって経済制裁を強めるだろうが、北朝鮮が崩壊した際の混乱を考えると、これ以上の圧力は加えないだろう。日本にとって事態は深刻である。

 では、われわれは今、北朝鮮の脅威に対して現実的にどのような手を打てるのか。筆者は、金正恩体制に有効な数少ない圧力の一つとして「人権包囲網」があることを指摘したい。日本では、核やミサイルに比べて、北朝鮮の人権問題は軽視されがちである。

 しかし、国連決議などに対する北朝鮮の反応をみる限り、金正恩は国際社会から人権侵害の責任を追及され、「人道に対する罪」を問われることを殊のほか嫌がっている。彼が「核武装」を進めるのも、国際社会から認められないことの反発があると、筆者はみている。

「人道に対する罪」は、戦時・平時にかかわらず、一般人に対してなされた殺戮、殲滅、奴隷的虐使、追放その他の非人道的行為、または政治的・人種的もしくは宗教的理由に基づく迫害行為について問われる国際法上の犯罪だ。金正恩は最高指導者となって以降、幹部の粛清や一般国民に対する無慈悲な公開処刑を続けている。体制に不都合な言動を行った民間人の政治犯収容所送りも常態化している。ナチスがアウシュビッツ強制収容所で行ったユダヤ人の大虐殺を彷彿させる。

 この罪に問われれば、アドルフ・ヒトラー、ヨシフ・スターリンなどと同様「残酷な独裁者」として悪名がとどろくことになる。実は、人権包囲網を敷くことは、北朝鮮の体制変換を促す劇的効果がある。

 まず、中国を巻き込める。北朝鮮と陸続きの中国には大勢の脱北者が逃げ込んでおり、いまも万単位の人が、韓国などへ逃れることができず潜伏している。中国当局は北朝鮮に協力し、そうした人々を摘発しては強制送還している。そうしたなか、立場の弱い脱北女性は中国で性的搾取を受けたり、人身売買の被害に遭ったりしている。この事実を、国際社会にアピールされることを、中国は嫌がるだろう。

 国際社会は、中朝国境地帯における脱北者の人権を守るよう促せばいいし、世界の覇権国たろうとする中国もその声を無視できない。では、脱北者の人権が改善するとどうなるか。

 北朝鮮の核・ミサイルの暴走を止めるには金正恩体制の転覆は不可欠だ。それは、北朝鮮の民主化を意味する。中朝国境地帯で北朝鮮の人々の人権が守られるならば、脱北者も増加するだろうし、北朝鮮内部にも必ずや、新たな風が吹き込むだろう。

 ちなみに北朝鮮の建国の父とされている金日成は、日本に統治されていた当時の朝鮮本国ではなく、中国での抗日パルチザン闘争を通じて、朝鮮独立運動を目指したとされている。ならば、今の北朝鮮独裁体制を解放するため、中国にその根拠地を作るという発想があってもいいだろう。

 もちろん、中国がたやすくそんなことを認めるわけがない。しかし、現状のような米中首脳の政治的判断に振り回されるより、よほど効果的ではないだろうか。さらに、北朝鮮の人権問題を国際的イシューとする上で、国連人権理事会などでEUとともに主導役となってきたのは日本である。日本としては北朝鮮の人権侵害の解決に向けて積極的に取り組まなければならない責務がある。もちろん、そのなかには日本人拉致問題も含まれる。

 北朝鮮が完全なる核武装国家になれば、金正恩は手のつけられない独裁者として東アジアに君臨することになる。それを防ぐために求められるのは今のような対症療法ではなく抜本的な外科手術、すなわち金正恩体制を変革させるしかない。そして当たり前だが、その手段は武力攻撃だけでないのである。

●こ・よんぎ/関西大学経済学部卒業。1998年から1999年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。近著に『脱北者が明かす北朝鮮』(宝島社)。

※SAPIO2017年6月号


もし日本が北朝鮮に核ミサイルで狙われたら
東洋経済オンライン 5/9(火) 6:00配信

 北朝鮮がミサイルの発射実験を繰り返し、にわかに緊迫化した朝鮮半島の軍事情勢。北朝鮮で最大の祝日である4月15日(故・金日成主席の誕生日)の前後に、核実験を行うか、弾道ミサイルを発射するという観測が東アジアで広がった。

 日本では、安倍晋三首相をはじめ政府高官によって軍事危機の雰囲気が醸成されたが、結局、5月初旬となっても北朝鮮は直接的な行動を控えたままだ。

 日米両政府による北朝鮮への警告が効いたとみるべきか、やや過剰に危機が喧伝されたか、今のところ判然としないが、4月末に米韓合同軍事演習も終了し、危機はひとまず終息しそうな情勢だ。

■北朝鮮の核は米国への対抗措置

 日本では北朝鮮の核兵器とミサイル実験がセットになり軍事危機が語られたが、少なくとも核兵器は日本を狙ったものではないというのが軍事専門家の見方だ。

 海上自衛隊の元海将で、金沢工業大学大学院の伊藤俊幸教授は「北朝鮮のミサイルや核開発は、米国と対等な立場で対話をしたいがため」と断言する。米国は核大国であり、その米国と張り合うためには自らも核を持たなければいけないというのが北朝鮮の論理だ。そこでは、日本は意識されていない。北朝鮮のミサイルの標的は、あくまでも米国だ。

 とはいえ、北朝鮮が米国に向けてミサイルを飛ばしたとしても、誤って日本に落ちてくる可能性を完全に否定できないのも事実だ。万が一の可能性にそなえて、日本はミサイル防衛(BMD)を備えている。その主力は海上自衛隊のイージス艦と地対空ミサイルのPAC3だ。このBMDによって、北朝鮮から飛来するミサイルはほぼ撃ち落とせるという。ただ、複数かつ同時着弾を企図して発射されたミサイルに対しては、撃ち漏らす可能性は否定できない。

先制攻撃はできるのか?
 となると、議論に上がってくるのが「先制攻撃論」「敵地攻撃論」だ。日本国憲法は自衛権のみを認めているため、憲法解釈上、先制攻撃は許されていない。だが、飛んでくるミサイルを払いのけるだけでは、「防ぎようがない」と判断された場合、その発射基地を攻撃する敵地攻撃が許されるというのが、敵地攻撃論である。

 ただし、仮に敵地攻撃を行おうとしても、現在の自衛隊にはその有効な手段がない。遠方のミサイル基地をたたくために有効な手段は、射程1000キロメートルの巡航ミサイル「トマホーク」だが、米国はこれを英国だけにしか供与していない。トマホークの配備は周辺地域の軍事的緊張を一気に引き上げてしまうため、米国は基本的に他国への供与について慎重な姿勢を崩していない。もし仮に日本の自衛隊による配備を認めるとしても、運搬可能な相手側のミサイルをどれだけ具体的に捕捉できるかなど、技術的な課題がある。

■25万人巨大組織の問題点

週刊東洋経済は5月13日号(8日発売)で『自衛隊のカネと組織』を特集。日本の安全保障を担う自衛隊の全貌に迫っている。周辺国の軍事的膨張によって日本が脅威を感じる事案が増えてきた。それに対処するためには、やはり自衛隊が核となる。その自衛隊は現在、何ができ、何ができないのか――。

 25万人を抱える大組織である防衛省と自衛隊。2017年度の防衛費は約5兆円。厳しい財政事情の中、ゆるやかに増額が続いている。今後、同盟国の軍事支出の拡大を要求している米国のトランプ政権の矛先は、日本にも向かうかもしれない。

 同時に、防衛省と自衛隊は不祥事が絶えない組織でもある。最近では南スーダンでのPKO(国連平和維持活動)に関する「日報」をめぐり、虚偽報告が起きた。軍事的組織において、虚偽の報告は深刻な問題だ。

 また、自衛隊を人と組織という点から見ると、日本企業と同じような構造問題を抱えている。それは、ミドルマネジメント層が余り、若年層が薄いという構造だ。自衛隊は隊員定数を満たしておらず、特に現場の最前線に立つ下位階級(とくに「兵」)の隊員が不足している。さらに、防衛省の背広組(内局)と、自衛隊の制服組との対立から、効率的な組織運営ができていないという点もつねに指摘される。自衛隊にかかわる問題が、急浮上している。


「トランプ・習近平会談」の意味を改めて考える
新潮社 フォーサイト 5/9(火) 6:00配信

 さすがに米国は超大国だなとしみじみ思う。いかに理不尽と感じようと、トランプ大統領の言葉に世界中が一喜一憂し、引っ張り回されている。面と向かって反対する国も指導者もいない。中国も例外ではない。

■強化された米中対話のメカニズム

 4月6-7日に開かれた米中首脳会談は、今後の世界の動きにどのような影響を及ぼすのであろうか。名実ともに世界第1と第2の大国の指導者同士の会談であり、世界中が注視していた。しかも、超型破りなトランプ大統領と、経済、軍事面での存在感を強めているだけではなく、世界の秩序形成に対する発言権を強めようとしている中国の習近平主席との対話である。当然、世界の関心は高まる。
 結果は、想像通りと言おうか、トランプ流の“不確実性”の高い会談となった。ちなみに中国は「首脳会談」と呼ばずに「元首面会(面晤)」と呼んでいる。国家元首同士が会ったということであり、中身よりも会ったこと自体が重要だということを示したかったのだろう。それほど中国にとっても予測の難しい首脳会談だった。
 結論を先に言えば、基本的にはすべての問題を先送りしている。しかし、首脳同士の気持ちの交流はできたようであり、これは重要だ。トランプの良い資質でもあり、豹変する可能性があることを予知しながらも、相手をしばらくはまじめに付き合っていこうという気にさせる。この点ではオバマ前大統領より遙かに優れている。しかも、いくつかの重要な合意をしており、米中の対話のメカニズムはさらに強化された。

■3つのポイント

 今回の対話のポイントを整理してみよう。
 第1に、4つの部門でハイレベルの対話のメカニズムを作った。(1)外交・安全対話、(2)経済対話、(3)サイバーセキュリティー対話(法執行を含む)および(4)社会・人文(教育、文化、民間交流などを含む)対話、の4つだ。オバマ政権時代、年に1回開催されてきた「米中戦略・経済対話」に代わるものであり、それを大幅に拡大し強化したものだ。もう1つ、今後、作られる「合同参謀部門対話メカニズム」がある。直接指揮命令する軍の中枢同士の対話であり、注目される。
 第2に、米国の対中貿易赤字削減に向けた「100日計画」の策定に合意した。この合意に関し、米側はすぐに発表したが、中国側の公表は少し遅れたことから見ても、これが米側の考える「成果」であったことが分かる。7月7-8日にドイツでG20首脳会議が開催されるので、その前に結果を出さなければならないという仕掛けになっている。これから米中の厳しい折衝が始まるということだ。
 第3に、シリアへの爆撃があり、北朝鮮情勢に関する話し合いが行われている。北朝鮮に関しては次項で述べる。だが日本が関心を持ってきた南シナ海情勢は触れられた形跡がない。米中の間に南シナ海に関し、一定の了解が出来上がっていると見ておくべきであろう。つまり中国がこれ以上軍事化を進めず、米国の自由航行の権利を実質上認めるならば、米国もこれ以上中国を刺激することはしないということだ。すなわち中国がこれまで得たものは、米国も内々認めるということのようだ。
 また中国とASEAN(東南アジア諸国連合)の関係も対立一辺倒ではなく、話し合いによる解決の方向に大きく転換している。ちなみに5月14日から始まる「“一帯一路”国際協力サミットフォーラム」に参加する28名の国家指導者の内、ASEANからは7カ国(インドネシア、ラオス、フィリピン、ベトナム、カンボジア、マレーシア、ミャンマー)が参加する。
 南シナ海において別の動きが出てきていることに注意しておかないと、日本はハシゴを外される。

■北朝鮮問題で米中の協力は進むのか? 

 4月6日夜、トランプは晩餐会でシリア爆撃開始を習近平に伝えたようだ。習近平は笑顔を絶やさなかったものの、内心は「なぜ私が米国を離れてからにしてくれなかったのか」と思っていただろう。爆撃は国連安全保障理事会の決議を必要とするというのが本来、あるべき中国の立場だからだ。だが中国は、少なくとも米国に反対はしない、という方向に舵を切った可能性はある。それが今回の首脳会談の雰囲気であり、方向性だったからだろう。トランプがその方向性を見失わないかぎり中国も付き合うということのようだ。
 北朝鮮についてどこまで話し合われたかはよく分からない。しかし4月21日になって中国外交部の陸慷報道局長は定例記者会見において、首脳会談で双方が「突っ込んで話し合った」と強調している。そのことは、その後のトランプの反応や中国側の動きを見ても納得できる。米側が北朝鮮政策を変え実際の行動に移したのを見て、中国も北朝鮮に対する対応を変えてきている。この中国の変化は、対米関係のマネージメントからも必要だが、もっと言えば中国にとってもどうしてもやらざるを得ないものだった。ある意味で米国の政策転換を利用している面がある。しかも習近平が主導していると見て良い。
 前回のこの欄で説明したように、北朝鮮の核保有は中国にとって何が何でも阻止しなければならない国家安全保障上の緊急かつ極めて重要な課題である。中国国内は、今秋の第19回党大会に向けて緊張している。問題は起こしたくないし、まして大きな失策などしたくはない。それにもかかわらず習近平が北朝鮮に対しより強い姿勢を取り始めたのは、国内にそれを支持する「世論」があるからだ。
 しかし、これから米国はもっと注意してやらないと破局を迎えるか、効果なしで終わる。中国の協力は不可欠であり、習近平が米国に協力できる条件を作ってやらないといけない。それは習近平が国内的に説明可能な状況を作るということでもある。つまり目指すものは平和的な解決であり、朝鮮半島の安定であり、北朝鮮政権の維持のためにやっていると説明できるようにするということである。米朝で戦争が始まれば、すべてが消える。だから中国は米朝双方に対し強く自制を求めているのだ。

■金正恩の逃げ道

 この政策の成否の鍵は、再び金正恩が握っている。金正恩にとり体制や政権の維持が何よりも重要だ。これを保証しない限り宝刀(核兵器)を手放すことはない。これをいかにして実現するか、米中だけではなく日本も知恵を出す時期に来た。同時に軍事的、外交的、経済的な圧力は強化する必要がある。この圧力が強ければ強いほど、金正恩は受け入れざるを得なくなる。しかし最低限、自分の政権は維持できると金正恩に思わせるものでないと話にならない。知恵の勝負でもある。
 現在、米国は北朝鮮に対する軍事的圧力を強めている。外交的圧力も強めた。経済的圧力は中国がやらないと意味がない。中国は、米中首脳会談で国連安保理決議を誠実に履行することを確認した。中国では国連安保理決議の履行に問題はない。中国の問題は、中央が決めても末端がその通りに動かないことだが、このくらいの大事になれば、さすがに末端も言うことを聞くだろう。北朝鮮が核実験やミサイル発射をすれば、米中はさらに軍事的、外交的、経済的な圧力を高めるであろう。鍵は、再び金正恩の逃げ道を探し出せるかどうかにかかってくる。
 最悪のシナリオは、もちろん戦争の勃発もあるが、北朝鮮が口先で核の放棄を約束し、今回、逃げ切ることだ。1994年、カーター米元大統領が訪朝して第1次核危機を乗り切ったが、結果は、北朝鮮の核開発の継続だった。この繰り返しだけはしたくないものだ。
 現在の協力が功を奏すれば、米中関係は大きく前進する。しかも成功させる必要がある。わが国も、そのことを念頭に日中、日韓関係をしっかりと考えておく必要がある。結論は、近隣諸国との関係において難しい問題はとりあえず脇に置くしかないということだ。そしてより大きな問題について話し合い協力できるようにしておくこと。それが外交というものだ。


<首相>米大統領との1日の電話協議認める 衆院予算委
毎日新聞 5/8(月) 21:29配信

 安倍晋三首相は8日の衆院予算委員会で、米国のトランプ大統領と1日に電話協議したことを認めた。日米両政府は関係国への配慮を理由に協議を非公表としていた。

 首相は予算委で「4月29日に北朝鮮が弾道ミサイル発射を強行して、5月1日にトランプ大統領と再び電話で会談した」と語った。首相は「内容について一切公表しないことで米側と合意しているため言及は差し控えたい」と述べ、協議内容は説明しなかった。【秋山信一】


安倍晋三首相、5月1日の日米電話会談認める
産経新聞 5/8(月) 21:01配信

 安倍晋三首相は8日の衆院予算委員会で、「(トランプ米大統領と)1日に電話で再び会談したが、一切公表しないことで米側と合意しているため言及は差し控える」と述べ、電話会談を行っていたことを初めて認めた。日米両政府は1日の電話会談開催を、これまで非公表にしていた。

 日米首脳はこれまで電話会談を5回実施し、その都度、主な内容を公表してきた。ただ、6回目となった1日の電話会談は、北朝鮮情勢をめぐり突っ込んだやりとりがされたとされ、情報漏(ろう)洩(えい)に敏感になっている両政府は電話会談開催自体を認めていなかった。

 また、安倍首相は予算委員会で、北朝鮮情勢について「さらなる挑発も考えられる」と述べ、北朝鮮が世界各国からの自制要求にもかかわらず、依然、核実験や弾道ミサイル発射を強行する可能性があるとの認識を示した。その上で「日米韓で高度な警戒態勢を維持し、国民の安全確保に万全を期す」と強調した。

 朝鮮半島有事に想定される邦人保護・退避にも言及し、「さまざまな状況を想定し、必要な準備検討を行っている」と表明した。緊迫する情勢を踏まえて「わが国の弾道ミサイル防衛能力の強化も着実に進めている」と説明した。

 さらに、安倍首相は1~3日に海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦などが米艦防護任務を実施したかについて「お答えすることは差し控えたい」とする一方、「訓練は実施した」と述べた。


GWの旅客1割増加=北ミサイル「影響なし」―航空・JR
時事通信 5/8(月) 17:46配信

 JR旅客6社と主要航空11社は8日、ゴールデンウイーク期間(4月28日~5月7日)の利用実績を発表した。

 5連休が入る日並びの良さから、旅客数は鉄道・航空ともに前年の同期間と比べ1割近く増えた。北朝鮮が29日に弾道ミサイルを発射したが、航空各社は「大きな影響は出ていない」とみている。


文氏を急追する保守派候補:韓国大統領選挙 --- 高 永チョル
アゴラ 5/8(月) 17:01配信

トランプ米大統領は昨年の大統領選で、97%のマスコミから足を引っ引っ張られたが見事に当選した。
ヒラリー・クリントン氏はなぜ落選したのか。オールドメディアよりニューメディアのSNSがインパクトを発揮し選挙を左右する時代に変わったわけだ。

現在、韓国の大統領選挙戦では親北左派の文在寅候補(共に民主党)がヒラリー氏のように常にトップを走っている。しかし、支持率は40%前後で停滞しており、投票結果が意外な方向に転ぶ可能性はなくはない。

当初、文候補の対抗馬と見られた中道左派の安哲秀候補(国民の党)は選挙戦に入って尻すぼみとなる反面、保守派の洪準杓候補(自由韓国党)が着実に支持率を伸ばし、2日までに安候補を抜いたとの調査もある。保守派の洪氏は湖南地域(韓半島西南部)で支持率は低いが、文、安両候補の支持層で湖南地域が二分されれば有利になる。洪候補は貧しい家庭に育ち逆境を克服して夢を叶えた人物だ。特に、慶尚南道知事の時に大胆な緊縮財政を推進して全国で初めて赤字財政を清算すると同時に、清廉度1位の自治体にした能力が評価されている。

一方、文候補の対北包容路線が保守層から非難される理由は、歴代の親北大統領が多額の対北支援金を上納した結果、北朝鮮の核・弾道ミサイルが現実的な脅威となったことへの危機感だ。従って、親北路線候補に対する国民の支持には限界があり、沈黙する多数の国民の判断が選挙結果を左右するだろうと言われている。

ネット時代の現在、中間層や貧困層が持つ財閥・特権層に対する不満を煽って政権争奪を企てる“政治屋”のトリックを国民は見抜いている。韓国の左派は世界の優等生である大韓民国を常に酷評するが、彼らが享受する自由と豊かさは朴大統領が主導した経済発展の恩恵だ。かつての世界最貧国が衣食に困らなくなった時期から民主化運動が本格化したことを考えると、朴大統領の開発独裁が韓国の産業化と民主化のきっかけになったわけである。

米国戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ韓国部長は、米上院軍事委聴聞会で「次期韓国政府は太陽政策を再開する理念的な余裕(ideological indulgence)がない」と指摘した。保守右派であれ親北左派であれ次期大統領が直面する最大の国家的な課題は北朝鮮の核脅威であり、それから逃れることはできないのだ。

(拓殖大学客員研究員・韓国統一振興院専任教授,元国防省北韓分析官)


“トランプ砲”で韓国狂乱に拍車 「THAAD」負担騒動が大統領選直撃 “タダ乗り”熱望で反発も…
夕刊フジ 5/8(月) 16:56配信

 米国の誇る「トランプ砲」が、韓国を混乱状態に陥れた-。米軍の最新鋭迎撃システム「THAAD(高高度防衛ミサイル)」の配備費用約10億ドル(約1100億円)について、ドナルド・トランプ大統領が韓国に負担を求めたのだ。“タダ乗り”を熱望する韓国は従来の合意を基に反発しているが、トランプ氏側近は再交渉の可能性を示唆している。中国の圧力もあり、韓国にとって「鬼門」といえるTHAADは大統領選(9日投開票)も直撃しそうだ。

 事の発端は、トランプ氏のロイター通信のインタビューだった。トランプ氏は「THAADシステムは約10億ドルだ。われわれがなぜ10億ドルも払うのか。われわれは防衛している。だから、韓国が払うのが適切だと韓国側には伝えた」と述べた。

 この発言に対し、韓国国防省は「配備・運営費は米側が負担するという立場に変わりがない」と表明した。聯合ニュースによると、米国のハーバート・マクマスター大統領補佐官(国家安全保障問題担当)と、韓国青瓦台(大統領府)の金寛鎮(キム・グァンジン)国家安保室長は4月30日に電話会談を行い、THAADの装備、運営、維持費用を米側が負担するという従来の合意内容を改めて確認したという。

 だが、マクマスター氏は同日、FOXニュースの番組で「私は米大統領の考えを否定するようなことはしない」といい、「韓国側に伝えたのは、再交渉するまでは従来の合意を守るということだ」と、費用負担をめぐって再交渉の可能性をにおわせたのだ。

 THAAD騒動は、韓国大統領選も直撃した。

 現在、世論調査では、極左の最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)候補がトップを走る。その文氏は「次期政権で(THAADについて)再協議すべきだ」という主張だったが、4月になって「北朝鮮が『6回目の核実験』を強行し、核による挑発を続け高度化するなら、THAADの配備は避けられなくなる」と容認の立場に転じている。

 韓国紙、東亜日報(日本語版)によると、文氏側は、トランプ氏の発言について「THAADの配備決定は初めから重大な欠陥があったことが明らかになった」と指摘した。文氏が再び主張を覆す可能性はあるが、費用を負担しなければ、韓国の安全保障の基軸である「米韓同盟」に亀裂が生じる恐れが出てくる。最終的には、負担する可能性が高いとみられる。

 THAADをめぐっては、韓国配備に反対してきた中国が「禁韓令」を連発し、韓国経済を揺るがしている。その影響は芸能界や観光業界、さらには自動車業界、化粧品業界にも及んでいる。

 中国に加え、米国からも攻められる韓国。その狂乱状態に拍車がかかりそうだ。


これまでになく緊迫感を持つ米韓合同軍事演習の様子と狙い
NEWS ポストセブン 5/8(月) 16:00配信

 闇に紛れ、アメリカ空軍の戦略爆撃機B1Bが北朝鮮領内に侵入した。ステルス性能を持ち、約60tもの爆弾やミサイルを搭載できる同機は、“死の白鳥”の異名を持つ。B1Bはマッハ1.25の超音速で飛び、北朝鮮のミサイル基地や防空レーダーを次々に破壊。

 続いて飛来したのは、アメリカ軍の特殊部隊支援輸送機MC130と特殊戦ヘリMH47だった。それらには“ニンジャ・フォース”と呼ばれる米海軍所属の特殊部隊「DEVGRU」や、韓国で新たに創設された「“北朝鮮首脳部除去”特殊任務旅団」が搭乗していた。ニンジャ・フォースは、ウサマ・ビン・ラディンの暗殺作戦で知られる最精鋭の部隊だ。

 彼らは“目標”の近くで一気に降下し、暗闇の中、「最高権力者」がいるその場所へと突入していく。これが、米軍が金正恩殺害作戦を実行する際に考えられるシナリオの1つだ。

 4月15日の北朝鮮の太陽節(金日成主席の誕生日)では、新型ミサイルを公開した大規模な軍事パレードが行われ、翌16日には中距離ミサイルを発射した。ミサイルは発射後すぐに爆発して失敗に終わったが、引き続き緊張は高まっている。

 3月1日から約2か月にわたって行われた米韓合同軍事演習は、両軍あわせて約30万人が参加した。同軍事演習では、4月2日に韓国南東部の浦項で行われた大規模な上陸訓練の様子が報道陣に公開された。さらに同11日には、海上の輸送船から物資を陸揚げする訓練が公開された。4月の訓練を現地取材した在韓国カメラマン・申光秀氏が語る。

「この訓練は初めて陸海空の3軍が連携する形で行われ、非常に実戦的でした」

 米韓合同軍事演習は毎年行われているが、今年はこれまでにないほど緊迫感を持っていた。軍事評論家で元航空自衛隊3佐の潮匡人氏はこう解説する。

「今回の米韓合同軍事演習は過去最大規模で、『キー・リゾルブ』と『フォール・イーグル』という2つの訓練が行われました。前者は朝鮮有事を想定した図上演習で、後者は実際の兵器・装備を使った野外機動訓練です。

 演習では、空母カール・ビンソンが投入され、ステルス爆撃機も参加した点が注目されます。また、在韓米軍の地下坑道での掃討訓練の様子が初めて公開されるなど、特殊部隊による金正恩の“斬首作戦”が示唆されました」

 訓練には、“ニンジャ・フォース”DEVGRUやデルタ・フォースなどの特殊部隊、さらに“死の白鳥”B1Bや同じくステルス戦闘機のB22も参加。それらの訓練や部隊の役割を総合すると、冒頭のようなシナリオが想定されるのだ。

※SAPIO2017年6月号


石原慎太郎氏 「尖閣購入時にオバマがCIAに私の暗殺命令」
NEWS ポストセブン 5/8(月) 16:00配信

 アメリカのドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩委員長の予測不能なやり合いを見ていると、これまでの国際政治の常識が通じなくなっているのを痛感する。こんな規格外の時代には、規格外の発想で対応するしかない。日本の現状を憂う石原慎太郎氏(84)と亀井静香氏(80)、2人の“不良老人”が、大胆提言でこの国の進むべき新たな道を示した。

亀井:トランプは、下手な鉄砲を振り回しているカウボーイみたいな男だね。みんなそれに怯えて、うろちょろしている。

石原:アメリカはなぜさっさと金正恩を暗殺しないのかね。

亀井:おいおい(笑い)。

石原:だって、カダフィーもビン・ラーディンも、綿密に計画して殺したでしょう。彼らは暗殺が得意なんだよ。東京都が尖閣諸島を買おうとしたときも、オバマはCIAに「日本にいる中国人を使って、交通事故に見せかけて石原を殺せ」と命じたそうだよ。まあ、それはおいといて、トランプが北を攻撃するかどうかはわからないな。

亀井:トランプはいまの状況に困っているんだ。

石原:私もそう思う。

亀井:下手な鉄砲をくるくる回しているが、撃てないんだよ。撃ったらやり返されるから。米軍の力は圧倒的だけど、窮鼠猫を噛むという状況が起きますよ。ミサイル基地を含めて38度線に展開してる部隊を一挙に殲滅できれば別だが、そんなことは不可能。在韓米軍と交戦になり、韓国は火の海になる。さらに、岩国基地には今年3月に発射実験をしたあの弾道ミサイルが飛んでくる。

石原:1000キロ飛ぶそうだからね。

亀井:岩国に届くということは、おそらく東京にも届くんです。

石原:今、アメリカが原爆を投下して、世界が許容する国というのは、唯一、北朝鮮だろうな。核兵器で北の指導者が全滅しても、世界は文句を言わないと思う。

亀井:国際世論は支持するかもしれないけど、現実には核爆弾で指導層や北朝鮮軍を同時に殲滅することはできません。

石原:そうなると、一番早いのは、やはり金正恩を暗殺することだろうな。今、米韓軍事演習で何をやっているかというと、その一つはボートや小潜航艇で北朝鮮の川をさかのぼって、平壌に潜入して要人を暗殺する訓練です。金正恩もそれを非常に警戒している。

亀井:先日、韓国に行ってその川を見てきましたよ。

石原:ああ、そう。

亀井:今のところは穏やかなものでしたが。暗殺にしたって、一瞬で結着つけないと、韓国は火の海で、日本にもミサイルが飛んでくる。一度に何十発も撃たれると、イージス艦やPAC3で全部撃ち落とすことはできなくて、何発かは本土に到達する。

石原:しかし、暗殺が一番安上がりで、かつ、アメリカが非難されずに済む方法じゃない。

亀井:いくらCIAや米軍の特殊部隊が有能でも、相手も必死で守るわけで、限界がある。だから、トランプは手出しできない。一方で、北のほうも経済制裁で追い詰められていくから、困っていることは事実。

※週刊ポスト2017年5月19日号


次の狙いは北朝鮮との秘密交渉か、トランプ流外交で糸口探る
Wedge 5/8(月) 12:10配信

 米空母艦隊の展開など北朝鮮情勢の緊張が続く中、トランプ大統領は軍事行動も辞さないという強硬姿勢を見せる一方で、金正恩朝鮮労働党委員長との対話の可能性を示唆するなど相手を翻弄する”トランプ流外交術”をいかんなく発揮している。硬軟取り混ぜたこうした発言は一部に、トランプ氏が北朝鮮に秘密交渉を仕掛ける布石ではないかとの観測を呼んでいる。

予見不能性に困惑
 トランプ氏の北朝鮮に関する発言は6回目の核実験の動きが浮上したころから急増した。4月24日には国連安保理メンバーの国連大使らをホワイトハウスに招いて北朝鮮に強力な追加制裁を科すよう求めたと思うと、核施設などへの先制攻撃についても「そのうち分かる」と軍事力行使を否定しなかった。

 さらに同氏は月末になって北朝鮮と「大きな紛争」が起きる事態もありうると警告し、「外交的な解決を望むが、非常に難しい」と発言。ホワイトハウスの側近らもあらゆる選択肢を検討中と述べるなど軍事的緊張の激化に拍車が掛かった。最近の弾道ミサイル発射実験に関しても「中国の望みをないがいしろにした」と金委員長への批判を強めた。

 しかしトランプ氏はその後のブルームバーグ・ニュースとのインタビューで「適切な状況の下で金委員長と会えれば光栄に思う」と条件付きながら金氏との直接会談の可能性に言及。直前のCBSテレビでも「彼は相当頭の切れるヤツだ。非常に若いのに権力を掌握することができたからだ」などと金委員長を持ち上げて見せた。

 だが、この発言の直後のFOXニュースとのインタビューでは「彼は扇動的で恐ろしい。世界の脅威だ」と非難し、上げたり下げたりの発言を繰り返した。トランプ氏のこうした発言の真意は不明だが、北朝鮮側がこのメッセージの解釈をめぐって困惑しているのは間違いない。

 トランプ氏は元々、金委員長との直接会談を排除していない。選挙期間中から「話すことのどこが悪いのか。何の問題もない。ハンバーガーでも食いながら話せば良い」などと述べており、会談自体については一貫性がないわけではない。

 トランプ・ウオッチャーの1人は大統領の一連の発言について「硬軟のタマを投げて、追い詰められている北朝鮮を困惑、混乱させることが目的。北にとって見れば、シリアを攻撃したように何をやるか分からない“予見不能”な人物の発言だけに余計不気味だ」と指摘する。

 トランプ氏の次の狙いはズバリ、北朝鮮との秘密交渉だろう。軍事的な手段は勇ましいだけで、危険が大きすぎる。仮に米側が巡航ミサイルや空爆などで先制攻撃をしたとしても、核関連施設や弾道ミサイル発射基地、指揮管制センターなどすべての施設を破壊するのは不可能。ましてや地下深くにある施設が多い。金委員長個人の“除去”もうまくいく保証はない。不確定要素だらけなのだ。

 その結果、報復能力が相当残り、ソウルは無論のこと、それこそ北朝鮮が恫喝するように東京が火の海になりかねない。報復攻撃を招かなくても、限定的な先制攻撃は核開発を数年遅らせる効果しかあるまい。この点は国防総省が冷徹に分析しており、トランプ氏も日韓の同盟国の意向を無視して軍事行動には踏み切れないだろう。

ニクソン、レーガンに学べ
 だからこそ、トランプ氏はあれほど非難をしてきた中国におべっかまで使い、北朝鮮へ圧力を掛けさせようと、いわば“下請け”に出さざるを得なかった。しかし中国がうまく北朝鮮を抑えられるのか見通しが付かないうえ、対中貿易交渉で中国側に主導権を握られる恐れが強く、その代償は大きいと言わざるを得ない。

 トランプ政権の当面の北朝鮮政策は軍事、経済両面で、北朝鮮に対し圧倒的に圧力を掛け、金委員長を交渉のテーブルに就かせ、核兵器開発を放棄させることにある。しかしその前に、交渉入りに向けた環境を整えることが不可欠。そのためには、水面下での秘密交渉が絶対に必要なのだ。

 トランプ氏は少人数の側近による手法を好む。秘密交渉はそのアプローチにも合致する。トランプ氏の外交問題の師でもあるキッシンジャー元国務長官がニクソン政権の補佐官(国家安全保障担当)にあった時、電撃的な中国との国交樹立に秘密交渉を仕掛けたのは歴史的な事実だ。

 またトランプ氏が尊敬するレーガン元大統領が敵対するイランに当時のマクファーレン補佐官(同)を派遣し、レバノンで拘束されていた米国人人質を解放するために秘密交渉を行ったということもあった。この工作では、マクファーレン補佐官がイラン側に拘束され、国外追放されるというおまけまでついた。

 こうした例に学び、中国の北朝鮮に対する緩慢な圧力に業を煮やしたトランプ氏が側近に北との秘密交渉を容認することは十分考えられる。行われるとすれば、恐らくは欧州のどこかになるだろう。その時、日本政府に通告があるのかどうか。米中国交樹立の“ニクソン・ショック”では、日本側に通告されたのは、正式発表の3分前だった。


訪米直後、中谷・前防衛相が緊急生出演 弾道ミサイル防衛の課題とは?
ホウドウキョク 5/8(月) 12:10配信

ミサイル防衛、北朝鮮対応をはじめ日本の安全保障に関する重要発言

アシスタント千代島瑞希:中谷さんはミサイル防衛の自民党提言を作成後、初めてアメリカへ行かれたわけですが、自民党の提言の特徴である「敵レーダーの無力化」や「敵基地反撃能力」について、どのような意見交換をされたのですか?

中谷元・前防衛大臣:非常に支持が多かった。当たり前だと・・・日本に向かってたくさんのミサイルが飛んで来たり、あるいは大きなミサイルを車に乗せて撃ってはまた隠れる。いつどこで撃ってくるか、かわかりにくくなっています。
何発飛んできても国を守らなくてはいけませんので、撃たれた瞬間に敵を叩く。一発撃たれたら基地全体を撃てないようにする、というのも日本の防衛にとって必要なことですから・・・
とにかく日本国内に一発でも弾着しないようにということで今回自民党で相手国のミサイル発射基地に対し「反撃」として政府もやっていこうと提言したんですね。

能勢伸之解説委員:その反撃能力というところで注目されるのが、巡航ミサイルをどうするかという点ですが。日本として巡航ミサイルの装備化というのを考えるのか?という・・・

中谷・前防衛相:一番容易な仕方はトマホークを自衛隊の艦艇にということですね。発射台がイージスと一緒なんですよ。ですから様々な探知の仕方も整備しなければいけませんが、トマホークを購入すれば撃てるんです。敵の防空をかいくぐって行くのですから、進化させるには相当な整備が必要ですが、トマホークは簡単に保有できるツールだと思います。

能勢解説委員:ということは、トマホークの装備化をすすめるということですか?

中谷・前防衛相:私は持った方が良いと思います。

能勢解説委員:それで日本を守るための弾道ミサイル防衛能力の強化となるとTHAADとかイージスアショアといった名前が挙がってくるんですが、新たな装備を導入するかだけではなくアメリカのミサイル防衛の頭脳であるC2BMCへの連接も気にかかるところですが、訪米されて中谷さんのご意見はいかがですか?

中谷・前防衛相:はい、もうそういう時代です。情報を集約してMDではなくてIAMDとして弾道ミサイルも巡航ミサイルも航空機も一つの情報体に集約しましょうということで、米国がそういうシステムを持っています。
日本もそれに合う様にしっかりしていかなければなりません。中でもNFC-CAを早くやるよう要望していますが今だにE-2Dは航空自衛隊、イージス艦は海上自衛隊という中でしかまだやっていないんですよ。
これを繋ぐのがCECというセンサーネットワークですけれども、これを購入することは決定していますのでNIFC-CAができるように精一杯やっていきたいと思います。

能勢解説委員:E-2DへのCEC搭載は決まりと・・・

中谷・前防衛相:CECを導入するとは言ってました。

能勢解説委員:そうですか!C2BMCへの連接という点では?

中谷・前防衛相:当然そうでしょうね。情報を少しでも入手するという点で必要だと思います。

軍事評論家・岡部いさく氏:それは単なる弾道ミサイル防衛というだけではなくてアメリカの考えているIAMD:統合防空ミサイル防衛に日本も近づいていこうということなんですか?

中谷・前防衛相:そうです。できるだけ統合して総合的に運用しましょうと。
もし弾道ミサイルが10発ほぼ同時に飛んで来たとすると、共同対処ですから「このミサイルはアメリカ」「このミサイルは日本」「このミサイルは韓国」という形で瞬時にコンピュータが指示してくれる。そうじゃないと10分で到達しますから間に合わない・・・
それからアメリカでもうひとつ話を聞いたのは「サード(3rd)オフセット」。
人口知能の無人機と衛星ですね。ミサイルが発射されると衛星が赤外線探知、アメリカ側が説明するには人口知能を有する無人機を複数ハエのようにブンブンブンと飛ばしていて発射探知の瞬間にそこを叩くというようなことを念頭に第三のオフセットとして構想されている。
今回、そういった様々な動きを聴いてきました。

5月5日「週刊安全保障」より


北朝鮮、米国人男性を拘束 4人目
BBC News 5/8(月) 11:08配信

北朝鮮は6日、平壌科学技術大学に勤務するキム・ハクソンという名前の米国人男性を国家に対する「敵対的行為」の容疑で拘束したと発表した。北朝鮮が拘束した米国人はこれで4人となる。

北朝鮮は先月下旬に、平壌科学技術大学に教授として招聘(しょうへい)されていたキム・サンドクさんを拘束したほか、昨年には米国人学生のオットー・ワームビア受刑者と韓国系米国人のキム・ドンチョル受刑者に労働教化刑を言い渡している。

米国は北朝鮮が拘束した米国人を人質にしていると非難している。

北朝鮮の国営朝鮮中央通信は、「所轄の機関」がキム・ハクソンさんの容疑に関する「詳細な捜査を実施している」としたが、詳しい内容は明らかにしていない。

米国の国務省は「北朝鮮で米国人が拘束されたことは把握している」とした上で、仲介役を果たすスウェーデン大使館と連絡を取ると述べた。

ロイター通信によると、自らをキリスト教の宣教師だと名乗っていたキム・ハクソンさんは、平壌科学技術大学で実験的な農業を始めるつもりだとインターネットに投稿していた。

平壌科学技術大学では主に北朝鮮のエリート層の子女が教育を受けている。2010年に創設され、運営資金の大半は米国と韓国のキリスト教慈善団体が拠出している。大学では複数の外国人が教えているとみられる。

北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐって米国と北朝鮮の間で緊張が高まるなかで、今回の拘束は起きた。

北朝鮮が6回目となる核実験の準備を整えているとされる一方で、米国は原子力空母カール・ビンソンを中心とする打撃群を朝鮮半島付近に派遣し、北朝鮮の核開発をやめさせると主張している。

今月5日に北朝鮮は、米国と韓国の工作員が金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の暗殺を図ったと非難。米韓両政府はこれに反応していないが、専門家らは北朝鮮の主張の信憑(しんぴょう)性は低いと考えている。

(英語記事 North Korea 'detains US citizen Kim Hak-song')


米国で「戦争に備え始めている人」の言い分
東洋経済オンライン 5/8(月) 9:00配信

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「プレッパー」と呼ばれる人たちはどのように「有事」に備えているのでしょうか(写真 : Yayimages / PIXTA)

 北朝鮮の核実験をめぐって、緊迫する世界情勢。米国、北朝鮮ともに引き続き強硬姿勢を見せており、一触即発の雰囲気だ。しかし4月15日に行われた金日成生誕105周年当日や、4月25日の朝鮮人民軍創設85周年当日が「核実験のXデー」と目されていたものの、結果的にはこの両日に核実験が行われることはなかった。

 多くの軍事専門家やジャーナリストが「北朝鮮が核実験を永久に完全中止することはありえない。核実験が行われるのは時間の問題だ」と言い続けているが、それではいったい来るべきXデーはいつになるのだろうか。

 そんななか、米国には「真のXデーは5月9日当日、あるいはその直後である」という見解のもと、万全の避難態勢に入っている人たちがいる。

 通称「プレッパー(Prepper)」と呼ばれる人たちだ。彼らは日ごろから戦争や暴動、地震や竜巻などの自然災害、さらには「人類滅亡の日」に備えて、いつでもすぐに逃げられる準備を整えている。その内容は人によってさまざまだが、なかには人里離れた山奥に土地を購入し、シェルターつきの家を建てて自給自足の生活を送っている人までいる。

■「Xデー」は韓国大統領選の日!? 

 今回、そんなプレッパーの2人に話を聞くことができたのだが、彼らにとって北朝鮮をめぐる一連の緊張のターニングポイントとなるXデーは、5月9日以外にはありえないのだという。その理由は、この日に韓国で大統領選挙が行われるためだ。

 有力候補の1人である文在寅氏が大統領になれば、韓国の対北政策が、北にとって有利になるとの見方がある。現在韓国の次期大統領の有力候補とされているのは、文氏と中道の立場を取る安哲秀氏の2人。選挙戦は接戦といわれ、文氏が勝つことも十分期待できる状況にある。

 そんな背景があるというのに、北朝鮮が9日の選挙結果を待たずわざわざ捨て身の軍事行動に出るようなことはいくら何でもあるはずはない。米国にしても大統領選の結果がわからなければその後の作戦が立てられないので、それまでは静観するに違いないというのが、プレッパーたちの見方なのだ。

文氏になると世界情勢が危うくなる
 「文氏に決まることを、トランプ政権は何としても避けたいだろうね。文氏というのは、韓国も北朝鮮も同じ民族という考えの持ち主だ。北朝鮮には同胞として同情的であり、核開発に関しても『彼らの状況を考えれば国防なのだから仕方ない』と言い出しかねない雰囲気さえある。そんな文氏が大統領になってしまうと、危うくなるのは世界秩序だ。北朝鮮の核開発放棄を求めてきた米国をはじめとする各国の努力も、水の泡になってしまう」と語るのは、話を聞いたプレッパーの1人、スティーブ(仮名)さんだ。

 スティーブさんは、ワシントン州シアトル近郊に存在する某プレッパーグループの中心的人物である。元海兵隊出身で、退役後も傭兵として中東を中心とする複数国に滞在した経験をもつ、筋金入りの軍事キャリアの持ち主だ。軍隊時代には韓国に駐留していた経験もあるため、朝鮮半島の情報にも明るく、彼なりの考えを持っている。

■「第2次朝鮮戦争は免れないし、日本も危ない」

 スティーブさんのプレッパー仲間は、そんな彼の見解を信じ、4月10日からすでに緊急避難準備態勢に入っているそうだ。スティーブさん曰(いわ)く5月9日Xデー説は、何も彼だけが持つ持論ではないのだという。全米中に数多く存在するプレッパーのリーダー的存在になっている人には、サバイバル知識にも長けた兵役経験がある者も多く、そうした経験がある者であれば、ある程度似通った分析をしてXデーを見極めているはずだというのだ。

 そんな彼に「第2次朝鮮戦争の可能性は本当にあるのだろうか。核実験が行われて米国が総攻撃をかけるとか、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射する可能性は本当にあると思うか」と尋ねたところ、「結局のところ文氏になっても安氏になっても、第2次朝鮮戦争は免れないし、そうなったら米国本土が巻き込まれる可能性も低くはない。日本?  危ないに決まっているではないか」との答えがすかさず返ってきた。

 「文氏は北朝鮮の核を容認しかねないが、北朝鮮の脅威は想像をはるかに超えているから、対話で解決なんかできっこない。容認したら北朝鮮は爆走、一巻の終わりだ。安氏になっても結果は一緒。安氏率いる韓国は米国抜きに北朝鮮問題を扱うことはしなくなるだろうが、それを北朝鮮は脅威と見るだろうね。

 いずれにしても米国が先制攻撃をかける可能性はほぼない。米国は北朝鮮の出方次第で動く。それがわかるのは9日。けれどそこまで避難を待っていたら手遅れだ。こんなご時世では、逃げるが勝ちというものだよ」

都会の生活を捨て自給自足の生活に
 スティーブさんは現在、コロラド州を拠点としている。仕事上シアトル近郊にも小さな家を所有しているそうだが、そこに帰ってくるのは今も続けている軍関係の仕事の会議の時だけだ。彼が恋人と共に所有するコロラドの土地は広大で、地図にも載っていないような道を走らねば家にはたどり着けない。

 私有地には川が流れており、川魚もそこで釣れる。水の確保も問題ない。牛、鶏などの家畜が数匹、野菜を育てる小さな畑もある。家はとても小さいが頑丈な地下室もあり、自給自足の生活だが、何の不便も感じていないそうだ。

■都会の生活を捨て、田舎に「避難」

 そんなスティーブさんの影響でプレッパー仲間になったケビン(仮名)さんは、昨年家族とともに生活の拠点をシアトルからユタ州の山奥に移した。車で15分くらい走ったところに、スーパーが1店だけある小さな街があり、どうしても必要な時はそこに行くことはあるが、生活スタイルは基本的には自給自足だ。

 2人いる子どもたちは幼いが、街の学校には行かせずに、インターネットで授業を受講できる仕組みを使って自分たちで教育しているという。かつてのケビンさんは、シアトル市内の一流企業に勤めていたが、家や投資物件などもすべて売り払い、都会の生活を完全に捨てた。最初はどうなることかと不安もあったそうだが、「今は森での引きこもり状態を満喫しているよ」と話す。

 もともとケビンさんは、スティーブさんが以前定期的に主催していた「サバイバル講座」の受講生だった。ケビンさんが講座を受けた目的は、子どもと夏休みに約束した1週間のキャンプ旅行の予習のためでしかなかったが、3日間の講座を通じて、世界がいかに危険に満ちているか、そしてその危険に対していかに自分が無知で準備不足であるかを痛感し、人生観が変わってしまった。

 講座では基本的な食糧保存やケガをしたときの応急処置の仕方、飲料水確保の方法、火の起こし方など基本的な知識に加え、食糧を恒久的確保するための準備として、野菜の種を常時ストックしておくことの重要性や、家庭でも導入可能な太陽光発電、風力発電、生ゴミをガスに変えて発電させるバイオマス発電など、複数のエネルギー確保の方法を学んだが、これらの知識はすべて目から鱗(うろこ)だったという。

「ミサイルが飛んでくる西海岸にいるほうがおかしい」
 ケビンさんは講座が終わるや否や、一切の迷いなく、ユタの土地を買うことにした。現在暮らしている家は、貨物のコンテナを利用した住宅。プレッパー仲間の1人に建築家がいて、彼の協力を得て建てた。コンテナを選んだ理由は強度が高く、何があっても倒壊の危険がないため。地下室は日持ちのする保存食や日用品の保管場所に使っている。

 電力や水道は普通に通っているが、屋根には太陽電池パネルを設置し、雨水を飲料水として貯蔵できる大型タンクも設置している。車はガソリンで走る普通の車以外に、電気自動車1台と電動式ゴルフカートを1台購入、家畜数匹と畑などは、スティーブさんの指示に従い整えた。現在、自宅に設置可能な風力発電機を自力で作製中。これからも「より完璧」に、有事への備えを進めたいと語るケビンさんの鼻息は荒かった。

 ケビンさんは語る。「家族に少しでもよい生活をさせたいとずっと思ってきた。けれど物質的裕福さを中心に置く生活なんて幻だよ。何かあったら、そんなものは一瞬で消えてしまう。以前の仕事の仲間は僕を狂っているとたまに言うが、戦争間近と言われている中で、平気で弾道ミサイルが飛んでくる可能性のある西海岸の都市に住んでいるほうが、僕に言わせれば狂っているとしか言いようがない。僕はプレッパーというより、生活そのものをサバイバルに変えてしまったが、何の後悔もないね」。

■なんだか物々しい米国の雰囲気

 彼らの話を聞いて、本当に世の中にはいろいろな人がいるものだと思った。有事や自然災害に備えることは確かにこんなご時世では重要だろうが、彼らの準備があまりにもスケールが大きいので、話していて呆気にとられるやら感心するやらで、タジタジになってしまった。

 しかし、何といっても朝鮮半島事情にもかなり詳しいスティーブさんが真剣に「5月9日がXデーだ」と言い続けたために、背筋が寒くてたまらなかったというのが、取材後のいちばんの感想だ。何事もないことを祈りたいが、米国における有事に向けた緊張感はあちこちで見られるので、スティーブさんの言葉を思い出しては非常に怖くなってしまう自分がいる。

 このところ、普段は見られない様子に遭遇することが増えた。たとえば、一昨日は高速道路で米軍のトラックが何台も連なって走っているのを見たし、今日は「訓練なので安心しろ」というアナウンスはあったものの、シアトルから対岸に向かうフェリーに乗船した際に、フェリーの横を沿岸警備隊の船がピタリと護送して、とても物々しかった。

 いったいこれから朝鮮半島の緊張はどうなっていくのだろう。うわさされる第2次朝鮮戦争など、永遠に来なければいいと願わずにはいられない。


邦人観光客の低迷でまた「曲解」と「被害者意識」 「日本は大げさ」と非難 北への危機意識なき韓国大型連休の総決算は
産経新聞 5/8(月) 9:00配信

 日本と同じく、韓国では大型連休の終盤を迎えている。この連休期間、本来ならば日本や中国など近隣国からの観光客呼び込みによる“特需”が期待されるところだった。ところが、今年は中国人観光客は激減し、日本からの観光客も伸び悩んでいるようだ。その原因とみられる最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備の問題や、北朝鮮をめぐる朝鮮半島の緊張に振り回され、選挙期間中でもある韓国にはとんだ大型連休だったようだ。(ソウル 名村隆寛)

 気のせいでもないだろうが、連休中のソウルが静かだ。韓国では4月29日から大統領選挙が行われる5月9日まで、2、4、8日の平日をはさみ、飛び石ではあるが11日間の連休が続く。この期間、韓国の観光業界は例年ならかき入れ時なのだが、THAAD配備に反発を続ける中国からの観光客は3月中旬以降、すっかり姿を消している。また、韓流ブームに沸いていた6、7年ほど前とは違い、日本からの観光客も目立っていない。

 韓国メディアによると、今年は海外からの観光客の予約率などが過去最悪となっているという。中国人観光客については「想定内」のことだったようだ。しかし、特に日本人観光客に関しては、北朝鮮情勢が大きく影響したとみられている。韓国観光公社によると、4月初旬までの訪韓日本人の増加率は前年同期比で20%台だったが、その後、月末にかけて2~3%に鈍化したという。日本の観光業界関係者の話として、「3000~4000人の日本人が韓国観光の予約をキャンセルした」との報道もあった。

 この日本人の韓国訪問キャンセルの原因としてやり玉に上げられているのが、また日本だ。日本の外務省は4月11日に「海外安全ホームページ」に、朝鮮半島情勢に関する情報に引き続き注意を促す「スポット情報」を掲載したが、これに対し韓国メディアは「大げさだ」と批判的に報じた。以後、安倍晋三首相による「朝鮮半島有事」にからむ発言や、日本メディアの報道ぶりを「朝鮮半島危機説をあおる」「行き過ぎた危機意識や対応」と断定し、批判する報道が韓国ではあった。極めつけは北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、失敗したとみられる4月29日に、東京都内で地下鉄が停車した際の反応で、やはり「大げさだ」との報道があった。

 このほか、安倍首相が朝鮮半島危機説に便乗して軍事大国化を狙っているとか、支持率挽回をたくらんでいるやら、学校法人「森友学園」問題での政治的危機から脱するもくろみがあるなど、まるで安倍首相が韓国を陥れる陰謀を企てているかのような見方まで出た。日本国民が朝鮮半島情勢に「不安感や危機感を感じている」とは素直に受け止めようとはしない。メディアを中心に韓国では、「日本が不安感や危機感をあおっている」と解釈したがっているようだ。

 揚げ句の果てには、朝鮮半島危機説が韓国経済に及ぼす影響を深刻視する報道さえ見られた。日本などからの外国人観光客の減少が韓国経済に悪影響を及ぼすという。それはそうかもしれない。だが、観光客を呼び込んで金をかき入れるのと、その観光客を危険にさらさないのと、どちらが重要なのだろうか。

 前回、本稿【ソウルから 倭人の眼】で書いたが、震災のような自然災害に数多く遭ってきた日本人は、あらゆる面で危機意識が強い。常に最悪の事態に備えておこうという意識、「備えあれば憂いなし」の気持ちが心のどこかにある。それを、韓国メディアは「緊張をあおるような低水準の稚拙な言動」「軽はずみな振る舞い」「隣国の不幸を願い、楽しむような言動」「度が過ぎる」「大げさに騒いでいる」「日本メディアはそわそわして先走っている」(いずれも韓国紙より)とコキ降ろした。

 日本の危機意識や対応は、韓国メディアが言い張るように行き過ぎていない。結果的には何事も起こらず、危機意識が杞憂(きゆう)に終わってくれればそれでいいのだ。韓国紙に朝鮮半島情勢をめぐる日米の対応姿勢に「オオカミ少年」の話を引き合いに出したものがあった。「オオカミがやってくるぞ!」と嘘をついて騒ぎまわり、村人を驚かせていた少年が本当にオオカミが現れて大変な目に遭ったという話だ。でも考えてみよう。少年は嘘をついて騒いでいたが、結局はオオカミは現れたのだ。この話を朝鮮半島に当てはめてみると、日米は「核や北朝鮮弾道ミサイルを持った北朝鮮の金正恩委員長が何をするか分からない。気をつけろ」と警戒した。そして、もし、北朝鮮が実際にコトを起こしたら一番に慌てるのは誰か。

 それだけの話だ。オオカミ少年の話は、韓国紙の筆者の都合がいいように勝手に解釈され、使われているだけだ。第一、オオカミ少年の話のようにオオカミ(北朝鮮の核やミサイル)が本当に現れたらどうするのか。日本はあらゆる事態を想定して、備えている。災害などの危機への慣れを教訓として生かしている。一方の韓国は、北朝鮮の脅威に対する慣れが、そのまま当たり前の普通のことになってしまっている。そんな韓国の危機意識のなさを、当地で住んでいて常に感じる。

 中国人観光客の激減や日本人観光客の伸び悩みを嘆く韓国ではあるが、中国の場合はともかく、韓国(朝鮮半島)が100%安心して観光できる国であるのなら、日本からの観光客は来る。さらに、休みを利用して金を使う価値があり、それだけの魅力のある場所なら、なお観光で訪れるだろう。日本に限らず、消費者は正直だ。何も努力しないで、「韓国に来い」と連呼しても無理だろう。逆に、現在、韓国では空前の日本観光ブームが続いている。この大型連休も日本旅行を楽しんだ韓国人は多かったようだ。

 韓国に日本からの観光客を誘致したいのなら、なぜ日本へ旅行に行く自国の人々(韓国人)にその理由を聞かないのか。日本を初めて旅行した周辺の韓国人に聞くと、大体次のような答えが返ってくる。秩序正しい。治安がよく安全。すべてにわたり清潔。静かで落ち着いている。人々が親切で礼儀正しい。食べ物が思ったほど高くないし、おいしい。何事も日本と比べたがる韓国人の、消費者としての素直な感想だ。また、同様の反応は、韓国人に限らず、日本を訪れる外国人によくみられる。最低限、治安がよく安全であることが保証される魅力のある国なら、外国人観光客は訪韓をためらわないだろう。いくら、「日本が危機をあおっている」と不満を並べようが、安心できないと思う場所にわざわざ来たいだろうか。“こわいもの見たさ”は別として。

 北朝鮮をめぐる緊張が収まりかけるなか、韓国を動揺させる出来事があった。配備されたTHAADの費用負担をめぐるトランプ米大統領の要求やマクマスター米大統領補佐官の再交渉発言だ。これには、配備をそれまで支持していた韓国メディアからも猛批判が噴出した。THAAD費用負担については「韓米の合意事項であり、在韓米軍地位協定に明示されている」(韓国国防省報道官)。地位協定に基づき米韓は、THAADの配備地とインフラ(基盤)を韓国側が提供し、10億ドルに上るTHAADの配備・運営費用を米国側が負担することで合意している。

 ただし、韓国側が当惑しているのは、米国側が「再交渉するまでは従来の合意を守る」(マクマスター氏)と語ったことだ。来年以降の米韓の交渉で、2019年以降の在韓米軍駐留経費の韓国側の負担額が決められる。その見通し、交渉でTHAAD関連経費を扱うかについて、韓国政府は明言を避けている。韓国国防省報道官は、THAAD関連経費について「再交渉の対象になり得ない」と語っているが、これが韓国側の懸念となっているのだ。THAADの配備で、中国から観光客の渡航規制をはじめ経済的な制裁を受けている韓国。今度は信じていた米国から思わぬ仕打ちを受けそうな状況に立たされている。

 加えて韓国は今、大統領選挙の終盤を迎えている。次期政権はまだ決まっておらず、9日の大統領選の結果が出ると同時に次期政権もスタートする。朴槿恵前大統領が任期中に罷免されるという、憲政史上、前例のない出来事があったため、仕方がないことだ。各候補は選挙運動の一方で、政権発足の準備をしているのかもしれない。走りながらのスタートだ。ただし、民主化以降の歴代政権のように、スムーズな政権発足は難しいとみられる。外交、防衛、経済など問題山積で国は大変だ。

 しかし、韓国の国民は非常に平和な雰囲気のなか、まさに現在、大型連休を楽しんでいる。危機意識など全く感じられない。連休中に、大統領選挙の取材のために釜山に行ってきた。大型連休の真っ最中にもかかわらず、売り切れが多い高速鉄道のチケットや宿泊先の予約も直前に取ることができた。内外から釜山を訪れる人が減った訳かどうかは分からないが、一瞬、「やはり、そうなのか」と思ってしまった。北朝鮮をめぐって国際社会が緊張する中での、韓国の平和な大型連休。その総決算、韓国への観光客が懸念されたように減ったのかは、いずれ数字によって明らかにされるはずだ。


北朝鮮のICBM開発はどこまで進んでいるのか
BUSINESS INSIDER JAPAN 5/8(月) 8:10配信

2011年1月、当時のロバート・ゲーツ米国防長官は、「北朝鮮が米国本土に到達可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)を5年以内に開発できるだろう」と述べるとともに、「アメリカの直接の脅威になりつつある」と懸念を示した。

米政府高官が具体的な時期を挙げて北朝鮮によるICBM開発の可能性について公に言及するのは異例で、当時大きな注目を浴びた。

あれから6年。ゲーツ元国防長官の予測は外れ、北朝鮮はまだICBMを完成させてはいない。発射実験も行っていない。しかし、11年以来、北朝鮮は着実に技術的な進歩を見せている。

今年元日には金正恩・朝鮮労働党委員長が「新年の辞」で、ICBM試射準備が最終段階にあると述べ、近い将来に ICBM 試射を行う可能性をほのめかしている。この原稿では北朝鮮のミサイル全般のほか、北朝鮮が開発を急ぐICBMとはそもそもどのようなミサイルなのか、北のICBM開発はどこまで進んでいるのかなどを記したい。

移動可能で発射地点の特定困難
北朝鮮はこれまでに数々のミサイルを開発してきた。4月15日の平壌での軍事パレードでは、新型ミサイルやモックアップ(模型)と推定されるものを含めた弾道ミサイル7種類と対艦巡航ミサイルを公開した。ノドンやムスダン、テポドンなど様々な北朝鮮のミサイル名がニュースで飛び交うが、韓米などは北朝鮮の弾道ミサイルを地名からとって呼んでいる。

例えば、射程約1300キロで日本のほぼ全域に届くノドンは蘆洞、射程2500~4000キロで米領グアムを射程に収めるムスダンは舞水端、1998年に発射されて日本列島の上空を越えて太平洋に落下した射程1500キロ以上のテポドン1号は大浦洞からきている。短距離ミサイル「スカッド」は旧ソ連製で、北朝鮮が70年ごろにエジプトから入手し、開発や生産、配備を進めてきた。

一方、北朝鮮によるミサイルの分類はわかりやすい。ノドンやムスダン、テポドンなどの弾道ミサイルを「火星」、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を「北極星」とそれぞれ呼んでいる。テポドンだけは人工衛星の打ち上げを称しており、そのロケットを「銀河」、人工衛星を「光明星」と命名している。 一般に弾道ミサイルは射程1000キロ以下が短距離、1000~5500キロが中距離、5500キロメートル以上が長距離に分類される。北朝鮮は短距離のスカッドを800発以上、中距離のノドンを200発以上保有しているとみられる。

ICBMとは地上発射式で、他の大陸を射程距離に収める弾道ミサイルのこと。その有効射程距離については、米ソの戦略兵器制限条約(SALT)をめぐる交渉では5500キロ以上と規定された。金正恩委員長が開発を推し進めるICBMは小型化された核弾頭を搭載。最大射程距離1万2000キロで、ニューヨークやワシントンのようなアメリカ東部地域まで打撃を加えることのできるKN-08とその改良型となるKN-14のことだ。車載式で移動可能なため、米国にとっては発射地点を事前に特定することが難しくなる。

目的は「北主導」の朝鮮半島統一
北朝鮮は12年4月の軍事パレードでKN-08、15年10月の軍事パレードでKN-14をそれぞれ初公開した。4月15日の金日成主席生誕105 年を祝う軍事パレードでは、円筒形発射筒に入ったままの新型弾道ミサイルが、中国製16輪式の移動式発射台車両(TEL)に載せられて初登場した。北朝鮮労働党機関紙・労働新聞は4月29日、このミサイルが「新型大陸間弾道ロケット」とし、「一度も公開されていない新しい種類」と説明した。

金正恩氏の父、故・金正日総書記は94年から11年までの17年間で33発のミサイル発射実験を行った。しかし、金正恩氏は父親の死後、権力の座についてからのわずか6年間でその2倍以上の数の発射実験を強行している。金正恩氏がそれほどまでにミサイル実験を重ね、ICBM完成を目指す理由は何か。

大きく4つの理由があると考えられる。

1つ目は、核ミサイル開発は北の国威発揚や国防力の強化につながり、金正恩氏が求心力を高めて体制を維持するのに必要不可欠になっていること。

2つ目にアメリカに北朝鮮の核戦力を見せつけ、「北朝鮮と交渉のテーブルにつかなければ」と思わせるほど交渉力を高めること。北は体制維持のため、現在の朝鮮戦争の休戦協定に代わり、米国との不可侵協定や平和条約を結ぶことを目指している。

3つ目に核保有国としての抑止力を高め、外国にいかなる軍事行動も思いとどまらせること。

4つ目に、朝鮮半島への米国の軍事介入リスクを排除したうえで、北朝鮮主導で朝鮮半島統一をなし遂げること。北朝鮮は長期目標として労働党規約と憲法にあるように朝鮮半島を統一することを目指している。金正恩氏の言葉で言えば、「祖国統一の革命偉業」にあたる。

完成時期は4~5年以内か
筆者が東京特派員を務める英国の軍事専門誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」では、北朝鮮のICBM完成はまだ発射実験も行われていないことから、数年先になると予想している。熱遮蔽(しゃへい)物質の開発やミサイル誘導システム、エンジン開発、第2段・第3段ロケット分離などに課題が残っている。特に大気圏外に出たミサイルの弾頭が大気圏に再突入する際、高い熱と圧力にICBMの弾頭部分が耐えられるか。射程1万キロのICBMの場合、大気圏への再突入時には速度がマッハ24に達し、弾頭部分の温度は7000度以上の高熱に達するが、その状況を保護する能力はまだ実証されていない。

先月24日付のニューヨーク・タイムズの記事によると、多くの軍事専門家は北朝鮮が今後4~5年以内にICBMを完成するとの見通しを示している。また、北朝鮮は弾道ミサイルを8種類以上、合計1000発ほど保有すると推定する。

一般的に、核抑止力は、単に核兵器を持っていれば敵国の核攻撃を抑止できるというのではなく、核攻撃された後の「第2撃能力」を持つことで成り立つ。相手国が先制攻撃しようとしても、報復される可能性があるのなら、先制攻撃をやめようとするからだ。このため、北朝鮮は今後、SLBMの開発を加速させる可能性が高い。地上のICBMをアメリカに攻撃されても、海上のSLBMで反撃できる能力を北朝鮮としては保持しようとするだろう。

米国の北朝鮮情報サイト「38ノース」の兵器専門家、ジョン・シリング氏は、ロシアやアメリカ、中国、インドといったこれまでにICBMを手に入れた国が7年ほどで開発を終えていることから、北朝鮮も20年か21年に完成させるとみている。

高橋 浩祐:国際ジャーナリスト。英国の軍事専門誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」東京特派員。ハフィントンポスト日本版編集長や日経CNBCコメンテーターを歴任。


もはや韓国の世論は北朝鮮の核の前に屈してしまった
NEWS ポストセブン 5/7(日) 16:00配信

 朝鮮半島の「赤化統一」を目論む金正恩にとって、最重要課題は韓国に従北政権を樹立させることだ。ジャーナリストの李策氏が、北朝鮮が長年続けてきた、韓国に対する心理戦について報告する。

 * * *
 大統領選の候補者登録(告示)が締め切られる前日の4月15日、韓国のテレビには北朝鮮のニュースがあふれた。故・金日成主席の生誕105周年を祝って行われた軍事パレードを、北朝鮮メディアが中継。新型と見られる大陸間弾道ミサイル(ICBM)など戦略兵器が続々登場し、核武装が既成事実化した現実をまざまざと見せつけたのだ。

 だが、それを見守る韓国の人々の表情は淡々としている。韓国紙記者が言う。

「日本人だって、今や福島第一原発の放射能漏れや汚染水流出を誰も気にしないらしいじゃないですか。それと同じです。北朝鮮のやることをいちいち気にしたって仕方ないのです」

 たしかに、韓国国民の生活が北朝鮮にかき乱されるようであってはならない。安定した日常は、強い社会の証明だ。しかし忘れてはならないのは、北朝鮮の行動には「意図」が隠されているということだ。韓国の公安捜査員が話す。

「北朝鮮はわが国民に対し、絶え間なく心理戦をしかけている。その方法は巧みで、一般の人がそれと認識することはなかなかできない」

 北朝鮮による心理戦の事例で有名なのが「火の海」発言だ。朝鮮半島が第一次核危機の最中にあった1994年3月、板門店での南北協議で北側の朴英洙(パクヨンス)・首席代表が、韓国側の宋栄大・首席代表にこう言い放ったのだ。

「ソウルはここからそれほど遠くはない。もし戦争が勃発すればソウルは火の海になるだろう。宋さん、あなたはまず生き残れないだろう」

 もちろん、協議は決裂。この様子を収めたビデオは当時の金泳三大統領の指示でテレビ放映され、北朝鮮の「危険さ」を全世界に認識させた。

 だが、朴氏の「火の海」発言は、実は失言ではなく、意図的なものだったと言われている。実際、戦争になればソウルは北朝鮮の長距離砲部隊によって甚大な打撃を受ける。それを知っている韓国国民は、動揺せずにはいられないからだ。

 それでもかつての韓国は、こうした北からの心理戦に対してかなりの耐性を持っていた。軍事政権下で徹底した反共教育が行われていたこともあって、北朝鮮による脅しに世論が強く反発し、国内保守派の発言力を強める構図があったからだ。

◆北朝鮮シンパが暗躍

 ところが近年の選挙では、これとはまったく逆の構図が現れるようになっている。端的なのが、2010年6月に行われた統一地方選挙だ。このときは地方選ながら、対北政策が最大の争点になった。同年3月26日、海軍の哨戒艦「天安」が突如爆沈して乗員46名が死亡。これが北朝鮮の魚雷攻撃によるものと判明し、北とどのように向き合うかがテーマとなったのだ。

 このとき、保守派の李明博政権は、「北朝鮮をつけあがらせたのは、金大中、盧武鉉の10年間にわたる左派政権である」として、対北強硬策を次々に打ち出した。しかし、地方選で圧勝すると思われた与党は、まさかの惨敗を喫したのである。

 理由については様々な分析があるが、早い話、韓国国民は現在の繁栄を賭けてまで北朝鮮と対決することを望まなくなったということだ。韓国国内の厭戦ムードは、時とともに顕著になりつつある。ソウル在住のジャーナリストが話す。

「今回、保守派の自由韓国党から大統領選に出た洪準杓(ホンジュンピョ)候補が4月15日に釜山で行われた集会で、『有事の際には軍を北進させ、金正恩ら指導部を除去して国土を制圧する』とぶち上げたのですが、ネット上で『頭がおかしいんじゃないか』『ぜったいに投票しない』と叩かれまくっています。発言しているのは主に、息子を兵役に送っている親の世代。北朝鮮は核兵器を持って待ち構えているわけで、そんなところに息子を送るなどとんでもないと。この点は保守派も左派も差がなくなっているように見受けられます」

 ということはもはや、韓国の世論は北朝鮮の核の前に屈してしまったとも言える。金正恩朝鮮労働党委員長は核兵器を使わずして、その心理的効果により、すでに大きな果実を手にしているわけだ。

 一方、韓国社会が北朝鮮の心理戦につけ込まれてしまうのは、「左派のせいばかりではなく、保守派の責任も大きい」との指摘もある。人権NGOの専従活動家が言う。

「韓国では軍事政権以来、政治と財閥が癒着し、労組運動にも権力が介入してきた。過激な労使闘争が長らく続き、労働者階級の権力への不信は根強い。そこに、北朝鮮シンパが活動の場を広げる余地ができてしまっている。シンパの中には北朝鮮の工作機関と接触を持ち、平壌からの指令を受けて動いている者もいる」

●り・ちぇく/1972年生まれ。朝鮮大学校卒。日本の裏経済、ヤクザ社会に精通。現在は、北朝鮮専門サイト「デイリーNKジャパン」などを足場に、朝鮮半島関連の取材を精力的に行っている。

※SAPIO2017年6月号

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