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2017年5月 3日 (水)

北朝鮮、今度は弾道ミサイル発射・72

去る1月6日に核実験を行なった残虐な中世の亡霊・暗黒独裁国家・北朝鮮が、今度は長距離弾道ミサイル発射実験の準備を進めていたが、ついに7日9時31分に発射した。

政府は7日午前、北朝鮮による弾道ミサイル発射を受け、首相官邸で国家安全保障会議(NSC)を開き、国民の安全確保に万全を期すとともに、米韓などと緊密に連携し、北朝鮮に厳しく対応していく方針を確認した。
NSCで首相は、「米国や韓国など関係国と連携し、必要な対応を適時適切に行う」よう求めた。また、首相は関係省庁に対し、(1)落下物などによる被害がないかの確認(2)情報収集・分析の徹底(3)関係国との連携―を指示した。

安倍晋三首相は7日午前、首相官邸で記者団に対し、北朝鮮が長距離弾道ミサイルを発射したことについて「断じて容認できない。明白な国連安全保障理事会決議違反だ。国際社会と連携し、毅然として対応する。国民の安全と安心を確保することに万全を期する考えだ」と述べた。

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リンク:米空軍、核搭載の長距離ミサイル発射実験 1週間で2度目 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:存在感を増す北朝鮮、米エリート間にある「中国頼み」の無力感 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:米国、またICBM発射実験 北朝鮮情勢とは「無関係」 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:異例...「北」が中国を名指し批判 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:空自機が米爆撃機護衛 4月に複数回訓練 北へ日米連携誇示 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:米、必要なら北朝鮮に追加制裁の用意=ティラーソン国務長官 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:トランプの北朝鮮威嚇で中国が高笑いの理由 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:北朝鮮有事で日本が「難民問題」に直面する日 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:朝鮮半島「4月危機」騒乱(5・了)トランプ発言「米朝首脳会談」の意味 - 速報:Yahoo!ニュース.
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リンク:<米露首脳電話協議>北朝鮮「非常に危険な状況」詳細に議論 - 速報:Yahoo!ニュース.
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リンク:<北朝鮮ミサイル>運転見合わせた東京メトロ 乗客からは… - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:北朝鮮西部の工場、近代化進む=弾道ミサイル開発拠点か―米研究所 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:<憲法70年>個別的自衛権で自衛隊はどんな行動が取れるのか? - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:「北」核とミサイル「現実の脅威」 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:米爆撃機が韓国上空で訓練 「無謀な挑発」と北朝鮮は反発 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:北朝鮮のミサイル発射、米中が一段と強力な対応巡り協議=外交筋 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:本当は誰も損していない北朝鮮ミサイル狂騒曲 当事国、関係国それぞれが得たものとは - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:北朝鮮核実験場でまたバレー=屋外に人多数、欺瞞工作か―米研究所 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:北、SLBM実験加速か - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:正恩氏、外交経験なし - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:小野寺氏「北ミサイル基地の無力化必要」 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:米政権“ビッグ5”台頭 バノン氏復権の兆しも - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:憲法施行70年 改憲、タブーではない 半島緊迫「本気で考える時」 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:戦争は向こうからやって来る - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:北朝鮮問題を抱えても中国の膨張を許さないトランプ - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:北朝鮮問題で米国と中国を待ち受ける「誤算」 - 速報:Yahoo!ニュース.

以下、参考のために同記事を引用

米空軍、核搭載の長距離ミサイル発射実験 1週間で2度目
CNN.co.jp 5/4(木) 13:29配信

ワシントン(CNN) 米空軍は3日、大陸間弾道ミサイルの発射実験を実施したと発表した。核兵器の搭載が可能な長距離ミサイルの発射実験は、4月26日に続いてこの1週間で2度目となる。

大陸間弾道ミサイル「ミニットマン3」は、カリフォルニア州のバンデンバーグ空軍基地から発射され、約6760キロ飛行して、マーシャル諸島付近の実験場に落下した。

米軍は大陸間弾道ミサイルの精度や安定性を検証する目的で、定期的に発射実験を行ってきた。

しかし北朝鮮の核開発を巡って軍事的緊張が高まる中で、相次ぐミサイル実験には注目が集まっている。

米軍が核攻撃に使用する3種類の装備の中で、地上発射式の装備はミニットマン3のみ。他には潜水艦発射式の弾道ミサイル「トライデント」と、核兵器の搭載が可能な長距離戦略爆撃機がある。

ミニットマンは1960年代、米国の核抑止力の一環として配備され、いつでも即時ミサイルを発射できる能力を保証する。

ミサイルは個々に分散された状態で格納され、地下の発射制御装置に接続されて、24時間態勢で監視が行われている。

空軍によると、米国は現在、モンタナ州やノースダコタ州の空軍基地に450発のミニットマン3ミサイルを保有している。


存在感を増す北朝鮮、米エリート間にある「中国頼み」の無力感
ZUU online 5/4(木) 11:10配信

ドナルド・トランプ米大統領は5月1日、「条件さえ適切であれば、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と直接会って対話してもよい」との考えを示した。ミサイル発射実験を繰り返し、核実験の実行をほのめかす北朝鮮に対し、そうした挑発行為を許さない意思を強く示しつつも、平和解決を落としどころにしたい意向をにじませている。

ロサンゼルスやサンフランシスコなど米西海岸の大都市に核弾頭を撃ち込める大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発進展を北朝鮮当局が公言するなか、米国内でも関心は高まる一方だ。米CNNなどが実施した4月下旬の世論調査によると、米国民の37%が「北朝鮮は米国にとって直接の脅威だ」と回答するなど、注目度が増している。

とはいえ、政治エリート層の間では米国による北朝鮮攻撃説や勇ましい主戦論は見られない。逆に、「北朝鮮を非核化するのは現実的ではない」「北朝鮮の軍事力を侮ってはいけない」「結局、トランプ政権はオバマ前政権の『戦略的忍耐』政策を受け継ぎ、中国に望みを託すしかない」などの本音・弱音が出ている状況だ。

また、経済エリートたる投資家たちも米朝緊張激化に伴い、地政学的リスクを考慮した売りを出し、株式相場やドルが下げることもある。しかし、そうした反応は現在のところ限定的なものに留まっている。

なぜ米国の政治エリートや市場は、日本人ほどの危機感や切迫感を持たないのか。探ってみよう。

■確実に存在感を増す北朝鮮

トランプ大統領の就任以前の歴代政権に対しても、北朝鮮は核実験やミサイル発射を通して、歪んだ形で「振り向いてください、交渉してください、認めてください」との求愛メッセージを送ってきた。

だが、どの米政権も北朝鮮に非核化を要求するばかりで、「非核化すれば途端に、米国はリビアや旧ユーゴスラビアで起こったような政権転覆を支援する」と見抜く北朝鮮とは話が全く嚙み合ってこなかった。米国が「非核化」という北風を吹かすほど、北朝鮮はその「核」というコートをより固くまとうのである。

そのため、北朝鮮は米国にその体制維持を認めさせようと軍事開発に邁進し、米シンクタンクが「核弾頭30発」と推定する核の力を誇示するようになり、ミサイル能力もトランプ大統領自身が認めるほどに向上してきた。

その脅威が無視できなくなったトランプ政権は従来と比較してより強く、北朝鮮が絶対に受け入れられない非核化を迫るようになり、米メディアで「北朝鮮」の国名を聞かない日はなくなった。

米投資サイト『シーキングアルファ』では、毎朝配信する市場ハイライトメールで、必ず最新の北朝鮮情勢を報告するようになった。それだけ、多くの投資家にとっての関心事なのだ。4月12日には、ダウ平均株価が米朝開戦を意識した「地政学的脅威」のため、60ドル近く下げる局面もあった。

だが、それ以降はトランプ大統領が北朝鮮に対する戦争を示唆する発言を重ねても、北朝鮮が「越えてはならない一線」を越えたと見られるミサイル発射を行っても、市場の反応は薄い。投資家たちは、「米国は結局、北朝鮮を非核化できず、状況はこれまでと変わらない。北朝鮮も、体制を守るために米国と全面戦争をする愚かな真似はしない」と見抜いたかのようだ。

■変化は起こらない

一方で、米シンクタンクの専門家や政治家たちは、「北朝鮮の戦力を侮るな」と繰り返し警鐘を鳴らし、危機感自体は高まっている。

米国大陸部よりずっと北朝鮮に近く、近いうちにミサイル射程に入ることが確実視されるハワイでは、元軍人で米下院軍事委員会メンバーのツルシ・ギャバ―ド下院議員が、「ハワイは、北朝鮮のミサイルの脅威にさらされており、カウアイ島に配置した迎撃システムを強化する必要がある」と地元で語る一方、コリーン・ハナブサ米上院議員は「心配し過ぎだ。北朝鮮はハワイより、(西海岸の主要都市である)シアトルを狙うだろう」と反論するなど、意見が割れている。

こうしたなか、米国の北朝鮮に関するオプションは限られているとするところで、専門家の意見は一致している。

諜報情報の専門家であるダニエル・アミック氏は、「トランプ大統領が北朝鮮を攻撃するなら、将来的に米国を悩ませることになる北の各種攻撃能力を残してはならない」と主張し、限定戦争というオプションは政権になく、やるなら全面戦争を覚悟しなければならないと説く。遠回しに、その決意が今のトランプ政権にはないと示唆しているわけだ。

またトランプ大統領は4月26日に100人全員の米院議員をホワイトハウスに召集して北朝鮮情勢について説明したが、政策オプションに中身がなく参加者を失望させた。そもそも米国に対北朝鮮で非核化の目標を達成するためのカードが実際に手中にあるか、というレベルの問題だ。

カーネギー国際平和基金のジョン・ウルフスタール研究員は、「米国が理性を保ちつつ北朝鮮に対する『非理性的』なチキンレースを行えば、勝ち目はある」とする。だが同時に、「それは極めて困難だ」という。

結局、米国は中国頼みになるが、「中国は北朝鮮に十分な圧力をかけていない」(米CNN)との見方が支配的だ。となれば、オバマ前政権の「北朝鮮に対する戦略的忍耐」を踏襲する以外、トランプ政権に残された道はない。『ワシントン・ポスト』紙のファリード・ザカリア論説委員は、「結局元の姿勢に戻ってしまうのであれば、トランプ大統領の勇ましい発言は、『米国はやはり弱い』との印象を強めてしまう」として、強気の発言が逆効果になると予測する。

現実的な落としどころとして、『ワシントン・ポスト』紙のコラムニスト、チャールズ・クラウトハマー氏は、「米国は中国に対し、①中国が北朝鮮をコントロールしなければ、米国が1991年以来初めて韓国に戦術核を戻すことになり、中国にとって好ましくない、②北朝鮮危機が悪化すれば日本の核武装につながり、それは中国にとって最も避けたい事態だ、と迫るべきだ」と主張する。

日本の核武装化の脅威が、中国をして北朝鮮の挑発をやめさせるとの主張は日本人にとって興味深い。だがそれは、米国が北朝鮮と開戦する決意がないことの裏返しであり、米エリートの間にある「中国頼み」の無力感を象徴している。

それが、習近平中国国家主席の持論である「二大超大国の米中でアジア太平洋地域の覇権を分かち合おう」という主張に米国が無意識に同意してしまっていることになるからだ。北朝鮮との米国の一連の「やりとり」は、米国の力の相対的な衰退を世界に見せつける結果に終わりそうだ。(在米ジャーナリスト 岩田太郎)

ZUU online


米国、またICBM発射実験 北朝鮮情勢とは「無関係」
産経新聞 5/4(木) 10:05配信

 【ワシントン=黒瀬悦成】米国内の大陸間弾道ミサイル(ICBM)や戦略爆撃機を管理・運用している米空軍地球規模攻撃軍司令部は3日、カリフォルニア州のバンデンバーグ空軍基地で同日未明、ICBM「ミニットマン3」の発射実験を行ったと発表した。

 ミニットマン3の発射実験は4月26日と2月初旬にも行われた。実験はミサイルの命中精度や信頼性を確認するのが目的。ミサイルは約6700キロ離れた西太平洋のマーシャル諸島クエゼリン環礁付近に着弾した。

 司令部は米メディアに対し、実験は約10カ月前から準備されていたと説明し、北朝鮮情勢をにらんで今の時期に実施したわけではないとしている。

 ミサイルは遠隔測定機器を組み込んだ模擬弾頭1発を搭載。モンタナ州のマルムストロム空軍基地の要員が発射を担当した。


異例...「北」が中国を名指し批判
ホウドウキョク 5/4(木) 8:37配信

北朝鮮メディアは、友好国である中国を名指しして、アメリカと同調していると異例の批判を展開した。
朝鮮中央通信は3日、個人名での論評を報じ、中国共産党の機関紙などが北朝鮮の核開発を批判したり、制裁の必要性を説く記事を出したことに触れ、「主権の侵害だ」と批判した。
さらに「中朝関係の根本を否定して、親善の伝統を抹殺しようとしている」としたうえで、「友好関係がいくら大切だとしても、命同然の核と引き換えにまで懇願しない」と反発している。
北朝鮮メディアが中国を名指しして批判するのは、極めて異例。
北朝鮮への圧力をめぐっては、アメリカのトランプ政権が中国に働きかけを強めていて、「核実験に踏み切れば独自制裁を科す」と、中国が北朝鮮に警告していたことが明らかになっている。


空自機が米爆撃機護衛 4月に複数回訓練 北へ日米連携誇示
産経新聞 5/4(木) 7:55配信

 米空軍の戦略爆撃機と航空自衛隊の戦闘機が4月に入り、九州周辺空域で複数回にわたり、自衛隊機による爆撃機の護衛などを想定した共同訓練を行っていたことが3日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。短期間に複数回実施したのは異例。ミサイル実験を繰り返し、核実験も目指している北朝鮮への圧力強化の一環で、米軍による軍事行動をにらんだ日米連携を誇示する狙いがある。

 政府関係者によると、米軍爆撃機と自衛隊機の共同訓練は4月15、25日の少なくとも2回実施した。米側はグアムからB1戦略爆撃機が飛来、日本側は15日に新田原基地(宮崎県)のF15戦闘機、25日には築城基地(福岡県)のF2戦闘機がそれぞれ参加した。

 訓練では、敵機が接近した場合に迎撃する自衛隊機がB1とともに飛行する任務を想定。九州周辺空域で両機が飛行した後、自衛隊機は韓国の防空識別圏に入る手前で離脱して所属基地に帰隊したという。

 米空軍爆撃機と自衛隊機は昨年9月と今年3月にも共同訓練を行ったが、この際は空自が事実を公表している。だが、4月に行われた共同訓練は日米間の協議の結果、公表を見送った。訓練の規模など詳細を明らかにしないことで、北朝鮮を疑心暗鬼に陥らせる効果を狙ったもようだ。

 B1はステルス性を持ち敵のレーダーに発見されにくく、低空飛行で敵の領空に進入することが可能。核攻撃や巡航ミサイル攻撃に用いることができ、米軍が北朝鮮の核施設に対する攻撃を決断すれば、最新鋭B2戦略爆撃機とともに投入されるとみられる。

 対北朝鮮政策を見直したトランプ米政権は、軍事力を誇示することで北朝鮮に政策変更を迫る「強制外交」を強化している。

 自衛隊もこれに加わり、4月23~29日には米海軍原子力空母カール・ビンソンと艦載機が海空自衛隊と訓練を実施。5月1~3日には海自ヘリコプター搭載護衛艦「いずも」が米海軍補給艦を防護し、途中で護衛艦「さざなみ」も加わった。

 一方、韓国上空では3~5月に計3回、米空軍B1と韓国空軍機が共同訓練を行った。


米、必要なら北朝鮮に追加制裁の用意=ティラーソン国務長官
ロイター 5/4(木) 6:34配信

[ワシントン 3日 ロイター] - ティラーソン米国務長官は3日、北朝鮮の行動により新たな対応が必要と判断した場合、政府として追加制裁を行う用意があるとの見解を示した。

長官は声明で「北朝鮮の行動が追加制裁を正当化すると判断した場合、われわれは追加制裁を行う用意がある」と述べた。

北朝鮮の貿易は中国との取引が大半を占めており、厳しい追加制裁は中国企業が対象となる可能性が高い。

ティラーソン長官は各国に対し、米国がすでに実施した制裁を北朝鮮の核兵器やミサイル計画に対して課すよう要請。米政権は、北朝鮮とのビジネスを継続している外国企業を対象に追加制裁を行う用意があると示唆。そういった企業や個人を監視していると述べ、「国内の政治的理由により対処ができないか、したくない場合、われわれが代わって行う。第三国を通じた制裁を課す」と主張した。

長官はさらに、トランプ政権は「中国に対し強い圧力をかけ、影響力や体制への関与を活用する気があるかどうかを試している」と述べた。


トランプの北朝鮮威嚇で中国が高笑いの理由
JBpress 5/4(木) 6:15配信

 日本のメディアは、トランプ政権による北朝鮮攻撃がまるで4月X日に敢行されるかのごとき無責任な報道を繰り広げ、日本国民の関心というよりは不安をあおってきた。そうした報道はもっぱらカール・ビンソン空母打撃群の動きや北朝鮮の弾道ミサイルの発射といった微視的視点に集中している。しかし、北朝鮮に対するアメリカの軍事的威嚇が強まると、実は中国が最も「得をする」という戦略的視点を忘れてはならない。

■ アメリカが中国に頼らねばならない事情

 トランプ政権はこれまでの歴代大統領とは異なり、北朝鮮に対して軍事オプションも視野に入れた強硬姿勢で対処する方針に転じた。北朝鮮の核開発ならびにミサイル開発が、いよいよアメリカ本土(ハワイ州とアラスカ州を除いた48州)を射程圏に納めるICBM(核弾頭搭載大陸間弾道ミサイル)を開発しつつある段階に達してしまったためである。

 とはいうものの、アメリカが実際に北朝鮮への軍事攻撃を実施した場合、ほぼ間違いなく韓国に対する激烈な報復攻撃が行われ、日本に対して弾道ミサイルが多数撃ち込まれる可能性も否定できない。そのため、トランプ政権は軍事オプションは本気であるとの姿勢を示しつつも、実際には軍事攻撃を避けつつ事態の沈静化を模索しているのが現状だ。すなわち、中国の影響力によって北朝鮮のICBM開発をなんとか抑制しようというわけだ。

 いくらアメリカ第一主義を標榜するトランプ大統領といえども、同盟国である韓国と日本の市民を多数犠牲にしてまで、北朝鮮のICBM開発を(あるいは金正恩政権を)軍事攻撃によって葬り去ってしまうという決断はそう簡単にはできない。そこで、とりあえずは中国を抱き込む方策をとっているわけである。

 ただし、そのために払わなければならない代償も大きいものがある。それは、第一列島線内部、すなわち南シナ海と東シナ海での中国による軍事的優勢の構築を加速させてしまうという代償だ。

■ “お流れ”になった南シナ海問題

 3月下旬にフロリダで米中首脳会談が開かれる直前、すでにトランプ政権は北朝鮮問題に対して強硬姿勢をとる旨を明言していたが、アメリカ海軍関係戦略家たちの多くは、首脳会談で取り上げられる安全保障問題としては北朝鮮問題に加えて南シナ海(それにごく一部の人々は東シナ海も)も中心的論点になるものと考えていた。

 なぜならば、南沙諸島での人工島建設をはじめとする南シナ海への中国による軍事的侵出は、アメリカにとっては容認しがたいレベルに達しているからである。そのため多くの米軍関係者たちは、南シナ海や東シナ海での中国の軍事的侵出活動について、トランプ大統領が習主席に強く抑制を求めることを期待していた。

 ところが、習主席訪米中に、トランプ政権はシリアに対するトマホーク巡航ミサイル攻撃を敢行し、その余勢を駆って北朝鮮に対する軍事的威嚇態勢を強めつつ、中国に北朝鮮に対する影響力の行使を迫ることになった。

 アメリカが中国に対して「北朝鮮問題で協力をお願いする」わけであるから、いくらトランプ大統領といいえども、習主席に対して南シナ海問題での対中強硬姿勢を表明することができなかったのは当然である。

 結局、フロリダでの米中首脳会談以降、トランプ政権は北朝鮮に対する軍事攻撃を発動する展開を維持し続けているが、アメリカが対北朝鮮強硬姿勢を強めれば強めるほど、中国による南シナ海への侵出政策に対する強硬姿勢は弱めざるを得なくなってしまったのだ。

■ 笑いが止まらない中国

 そもそも、中国にとって北朝鮮問題はアメリカよりも圧倒的に有利な立場にある。それにもかかかわらずトランプ大統領が習主席に北朝鮮問題での協力を依頼したのだから、笑いが止まらない状況になっている。

 もし、トランプ大統領がしびれを切らして北朝鮮に対する軍事攻撃を実施し、金正恩政権が崩壊に瀕する状況に立ち至ったとしよう。たしかに、これによってアメリカ本土に対するICBM攻撃という軍事的脅威は除去できる。しかし、北朝鮮の内部に食い込んでいないアメリカ軍が北朝鮮を占領することは不可能に近い。北朝鮮の混乱を収拾する名目で北朝鮮に進駐するのは中国人民解放軍ということになり、その結果、北朝鮮は実質的に中国の支配下に入り、韓国も風前の灯火となってしまう。

 一方、トランプ大統領が、中国による北朝鮮の制御を我慢強く待ち続けた場合、中国は表面的には北朝鮮に対して圧力をかけるそぶりを見せつつ、中国にとって軍事的脅威になる寸前のぎりぎりの段階までは北朝鮮による対米挑発行為を目こぼしをするだろう。そのほうがアメリカに対して中国の価値を高く売りつけられることになるからだ。

 万が一にも、中国が設定したレッドラインを金正恩が踏みにじった場合には、人民解放軍による北朝鮮懲罰作戦が直ちに発動され、金正恩政権は抹殺されてしまうであろう。

 人民解放軍はアメリカとは比較にならないほど北朝鮮軍の内部事情を把握しているので、金正恩一派の排除は容易である。また、破れかぶれになった北朝鮮軍による報復攻撃で多数の中国市民が犠牲になることが予想されたとしても、民主主義国のアメリカ・日本・韓国とは違い、中国にとっては攻撃を躊躇する理由にはならない。

 要するに中国にとって、北朝鮮などはアメリカに頼まれるまでもなく、コントロールしようと思えばコントロールできるのである(以下は、中国と北朝鮮の関係を風刺した政治漫画である。筆者の周りの海軍関係戦略家たちの間で受けている)。

 ましてやトランプ政権が対北朝鮮軍事オプションを公言しているわけだから、中国が軍事力によって金正恩一派を沈黙させたとしてもアメリカから「侵略」呼ばわりされる恐れはない。このように、どう転んでも北朝鮮問題は「中国優勢、アメリカ劣勢」という状況にならざるをえないのだ。

  (*配信先のサイトでこの記事をお読みの方はこちらで本記事の図版をご覧いただけます。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49912)

■ 中国が得をするメカニズム

 トランプ政権による北朝鮮に対する軍事的威嚇が強まれば強まるほど、南シナ海における中国の軍事的侵出に対するアメリカおよび国際社会の関心は薄れていく。したがって中国としては、「北朝鮮がアメリカに対して挑発を続けている」という構図ができるだけ続くことは極めて都合が良い。その間に南シナ海での中国の軍事的優勢はますます強固なものとなり、アメリカの関心が再び南シナ海に向いた頃には、完全に手遅れの状態になっているであろう。

 北朝鮮のICBMは、直接アメリカ本土が攻撃されるかもしれない脅威であるが、南シナ海でいくら中国が軍事的優勢を手にしても、直接アメリカが軍事的脅威を被ることにはならない。したがって、アメリカ第一主義を掲げるトランプ大統領にとって、ひとまず南シナ海情勢には目をつぶっても、直接的軍事脅威の芽を今のうちに摘んでしまうことが肝要である。

 このメカニズムを東シナ海に当てはめると、アメリカの北朝鮮に対する軍事的威嚇が強まれば強まるほど、東シナ海における中国の覇権主義的行動に対するアメリカの関心が薄れていく、ということになる。

 それにもかかわらず、日本はアメリカの対北朝鮮軍事展開を強力にサポートする態勢を強めている。ということは、いよいよ日本政府が、東シナ海での中国の軍事的圧力を跳ね返すための自主防衛努力を強力に推し進める覚悟を決めた、と理解することもできる。果たしてその通りなのだろうか? 


北朝鮮有事で日本が「難民問題」に直面する日
東洋経済オンライン 5/4(木) 6:00配信

 北朝鮮情勢をめぐり、緊迫した状態が続いている。もし、米国と北朝鮮との間で有事となった場合、北朝鮮から数万~10万人レベルの「難民」が、日本に押し寄せることは十分に現実味のあることだ。その場合、日本政府はどうするか。「国内の安全保障・治安」と「難民の人権保障」のどちらを重視するかの度合いに応じて、大きく3つの選択肢が考えられる。

 なお、本稿で単に「難民」と表現する場合には、一般的に言うところの戦火を逃れて渡航してくる人々、といった意味合いである。人種や政治的意見などにより、本国政府から迫害を受けるおそれがあるために逃げてきた人々を指す、法的に厳密な表現としての「難民条約上の難民」とは異なる意味で用いているので、留意してほしい。

 まず最初の選択肢として、「国内の安全保障・治安」を最重視するケースを考えてみよう。その場合、不法入国者として、直ちに身柄拘束して強制収容し、その是非を判断するための裁判も行われない。北朝鮮の人々は、有効な旅券を持っていない。したがって、日本政府が特別な許可を与えないかぎりは、入管法上の不法入国者にあたるから、強制収容が可能である。

■「難民」の強制収容は、適法でも国際的リスクがある

 強制収容すること自体は、その是非は別として適法だ。しかし、個々の北朝鮮難民自身には、責められるべき点がない。したがって、強制収容することは、人道的見地において国際社会から強く批判される可能性がある。

 2つ目に「安全保障・治安」と「難民の人権保障」の双方について、バランス感を重視するケースを考えてみよう。その場合、上陸の許可・不許可の判断前の手続段階で、暫定的に「事実上の上陸」だけを許可することになるだろう。これを仮上陸の許可という。仮上陸の許可は、有効な旅券がなくても可能である。

 仮上陸の許可は、その条件として、住居や行動範囲を指定し、手続のために出頭すべき日時も指定するものの、原則としては身柄拘束しない。ただし、仮上陸の条件に違反した場合のほか、日本政府が逃亡のおそれがあると判断した場合には、強制収容することができる。何らかの具体的な条件違反がなくても、逃亡するおそれがあるかぎり、直ちにこの措置を取ることができるのがポイントである。

数人レベルの脱北者に対する前例は
 仮上陸の期間は、入管法で一定の期限が定められているわけでなく、上陸手続が最終的に完了するときまで、日本政府が必要に応じて、柔軟にこの期間を決められる。

 つまり、仮上陸を許可している期間中に、韓国政府や中国政府との間で難民の受け入れ交渉を行い、受入れの目途がたった段階で、いったん上陸特別許可を出し、その後に受入れ国に送り出すといった手段を取ることもできる。

 また、最終的な上陸の許可・不許可の判断の手続中に、危険人物であることなどが判明した場合には、退去命令を出すこともできるし、それに従わない場合には、身柄を拘束して強制送還することもできる。

■北朝鮮難民の人権保障を最重視するケース

 最後に3つ目の考え方として、「難民の人権保障」を最重視した場合、いったん仮上陸を認めたうえで、数日から数週間後に「一時庇護上陸」の許可を出すという流れになるだろう。

 一時庇護上陸は「難民条約上の難民」に該当する可能性があり、かつ、一時的に上陸させることが相当であるときに、簡易な手続により上陸を許可する制度である。これは「国が取り急ぎ保護する」ための緊急措置として行うことができる。

 最初から「難民条約上の難民」として受け入れることができないのは、先にも述べたように、本国が戦争状態にあるだけでは、基本的にはそれに該当しないからだ。

 「難民条約上の難民」と認められるには、人種や政治的意見などにより本国政府から迫害されるおそれがあること、などが要件となっている。しかし、さまざまな事情を考えて、該当する「可能性」があると日本政府が判断すれば、一時庇護上陸の許可を出しうるということだ。

 実際に日本政府は、過去に数人レベルの脱北者が海上で発見されたケースでは、仮上陸を認めたうえで、数日後に一時庇護上陸の許可を出している。一時庇護上陸の期間は6カ月以下の範囲内で、この間に韓国政府などとの間で受入れ交渉を行ってきた。

 一時庇護上陸の許可は、適法に上陸することを認めるものであるから、以後は、身柄拘束されることも、退去を強制されることもなくなる。一時庇護上陸の許可の期間内に、難民認定申請を行えば、申請したことを理由として在留資格を得られる。難民認定申請後、6カ月が経過した時点以降は、就労することも認められる。これが、北朝鮮難民の地位が最も安定し、人権保障にも厚い手段だろう。

 法律をひもといても、2006年に成立した「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」は、「政府は、脱北者の保護及び支援に関し、施策を講ずるよう努めるものとする」と定めている。この法律の趣旨からすれば、人権保障を重視して、仮上陸だけでなく一時庇護上陸の許可まで認めるべきだという見解も十分に成り立つところではある。

 ただ、今回はこれまでのケースとはまったく異なる。

 なぜかというと、数人レベルではなく、数万人レベルの大量の難民が一気に押し寄せることが想定され、しかも、その中に、いわゆる武装難民や特殊工作員が紛れ込むおそれを否定できないからだ。

「難民」に日本以外の国がどう対応するかも重要だ
 現実的に、特殊工作員などをはじき出す精緻な審査を短期間で行うことは不可能である。いったん一時庇護上陸の許可を出してしまえば、その後は適法に上陸したものとして扱われる。そうなると、許可後に特殊工作員であることなどが判明しても、速やかに強制収容したり、退去強制することができなくなってしまう。

 入管法の条文上は、テロ行為やテロを容易にする行為などを行うおそれがあると法務大臣が認定した場合には、退去強制できることとなっている。が、この対象にあたると認定するためには、外務大臣、警察庁長官、公安調査庁長官および海上保安庁長官の意見聴取や協議などが手続上必要であり、機動的な対応は現実的には無理である。

■特殊工作員が難民を偽装する可能性もある

 そして、現時点では、テロ等準備罪(共謀罪)も成立していない。その前提で考えると、難民を偽装した特殊工作員がテロ等を計画していても、準備の段階では、刑事手続きで逮捕することも困難である。このような事情を考えて、仮に今回は基本的に、一時庇護上陸の許可までは認めないこととしたとしても、カゲ人や病人、子どもに対しては適切な配慮をする必要がある。また、1959年から1984年の帰還事業で北朝鮮に渡った、いわゆる日本人妻とその家族も、受け入れなければならない。

 もし、中国や韓国などの他国政府が、北朝鮮難民を限定的にしか受け入れないことを表明し、難民自身も日本での生活を希望した場合には、どうなるか。本国が内戦状態にあるシリア難民などについてのこれまでの扱いに従えば、日本政府は、北朝鮮難民についても、「難民条約上の難民」として認定はしないものの、最終的には人道配慮に基づき、日本での在留を特別に認める可能性がある。

 しかし、その際の「特定活動」という在留資格では、政府の定住支援(日本語教育、就労支援など)の対象外となる。まったく異なる社会的価値観で生活してきた北朝鮮の人々が、言葉も通じない日本で自活して定着するのは、非常に困難である。

 前述したように、不法入国者だとして一律に強制収容するような考えは人道に反するし、国際社会からの非難を受ける可能性も高い。そうなると、日本社会に受け入れるためには、法改正も視野に入れて、大規模な予算措置を講じ、生活保護や定住支援の対象とする覚悟が国民に求められるかもしれない。

 ただし、北朝鮮からの難民が実際に発生するような事態を迎えた場合には、日本にも何らかの形で被害が生じていることも十分考えられる。その場合には、北朝鮮からの難民を広く受け入れることに対して、国民からの強い反発が生じる可能性もある。いずれにしても極めて難しい局面になることだけは間違いない。


朝鮮半島「4月危機」騒乱(5・了)トランプ発言「米朝首脳会談」の意味
新潮社 フォーサイト 5/4(木) 6:00配信

 朝鮮半島情勢は、金日成(キム・イルソン)主席誕生105周年、人民軍創建85周年を迎えた北朝鮮が、6回目の核実験やICBM発射実験といった、限度を超えた挑発に出るのではないかという憂慮が高まり、国際社会の関心を引いた。この「憂慮」の原因をつくっているもう1つのファクターが、トランプ米大統領だ。何をするか分からないトランプ大統領が北朝鮮への軍事行動を取るのではないかという懸念が広がった。常識的には、朝鮮半島での軍事行動は一気に全面戦争に拡大する危険性が高く、その場合は韓国や日本が大きな被害を受けるために、あり得ないシナリオだ。しかし、米朝両首脳とも予測が難しい指導者だけに、「まさか?」が「もし?」に変わり、偶発的な衝突が思わぬ衝突に拡大する危険性が潜在している。

■北朝鮮政策が米国の優先課題に

 とりあえず「4月危機」は何事もなく過ぎたが、北朝鮮は核やミサイルによる挑発を止める姿勢を見せず、米原子力空母カール・ビンソンや米原子力潜水艦ミシガンが朝鮮半島周辺に配置され、軍事的に厳しい対峙が続いている。このままでは「4月危機」が「5月危機」に連動していく可能性が高いとみられた。

 しかし、北朝鮮はトランプ政権を相手にした瀬戸際作戦で、北朝鮮問題を米国の優先課題にすることには成功した。北朝鮮はオバマ政権の「戦略的忍耐」政策のもとでは、米国を北朝鮮の方へ振り向かせることができなかった。

 しかし、今や、トランプ大統領にとって北朝鮮が「解決しなければならない問題」のトップクラスに位置付けられたのは間違いない。米国をふり向かせた点では、金正恩党委員長の瀬戸際作戦は成功を収めているのかもしれない。問題はそれが解決に向かうのか、破局に向かうのかである。

■足元を見ている北朝鮮

 トランプ大統領は最近、「習近平国家主席が好きだ。彼も私を好いてくれていると信じる」と習近平主席への信頼を声高に語っているが、それは一種の「褒め殺し」のようなニュアンスととれる。トランプ大統領は「北朝鮮に大きな力を持っている習近平主席は、高まっている緊張を緩和しなければならない」「中国は為替操作国ではない」と語り、北朝鮮問題を解決してくれるなら、為替問題は目をつむる姿勢を見せた。4月初旬の首脳会談以降、米中間では首脳レベル、外交責任者レベルで気軽に電話会談が行われ、異様なくらい意思疎通を図ろうとしている。

 ところが習近平主席にとっては、重荷を背負ったようなものだ。秋には党大会を控えているだけに、朝鮮半島での戦火はもちろん、緊張が高まっても困る。朝鮮半島で有事が起きれば、大量の難民が中国に流れ込むことは確実だ。朝鮮半島情勢は中国の内政・外交の安定と直結している。

 しかし中国は北朝鮮に対し、それほど影響力があるわけではない。中国は朝鮮民族がいかに扱いにくい民族か、歴史的に分かっている。逆に北朝鮮は、依然として中国には緩衝地帯としての北朝鮮が必要なのだと足元を見ている。

■「正しい筆」というペンネーム

 この「4月危機」の基本構造は北朝鮮、米国、中国のせめぎ合いだ。米国は軍事行動をちらつかせながら北朝鮮を極度に圧迫している。北朝鮮はハリネズミのようにこれに対抗する姿勢を見せながら、体制の生存を図っている。その2者の対立の狭間にあるのが中国だ。米国は「お前の弟分だろう。何とかしろ」と圧力をかけてくる。しかし、北朝鮮は兄貴分の言うことを聞くような国ではない。この兄弟分は元々の関係では、それほど仲は良くない。

 米中対立の中で、それが中朝関係に飛び火している。

 中国の商務省と税関総署は2月18日に、北朝鮮からの石炭輸入を今年いっぱい停止するとの公告を出したことから、それは始まった。

 これに対し『朝鮮中央通信』は2月23日に「チョン・ピル」という個人名で、「汚わらしい処置、幼稚な計算法」というタイトルの論評を配信した。

 この論評では、口を開く度に「友好的な隣国」と言っている国が、国連制裁を口実に「人民生活向上に関係した対外貿易も完全に遮断するという非人道的な措置をためらいもなく行っている」と、国名を挙げないながら中国を批判した。さらに「仮にも大国を自認するが定見もなく米国に踊らされ、自らの汚わらしい処置はわが方の人民の生活に影響を与えようとするものでなく、核計画を防ぐためのものだと弁明している」と指摘した。

『朝鮮中央通信』は4月21日にも「チョン・ピル」の「他国の笛に踊らされるのがそんなにいいのか」と題した論評を配信した。

 この論評も、中国という名指しは避けて「周辺国」と表現しながら、北朝鮮の核・ミサイル開発を認めない中国を批判し、「もし、彼らがわれわれの意志を誤って判断し、誰かの拍子に引き続き踊らされながらわれわれに対する経済制裁に執着するなら、われわれの敵からは拍手喝采を受けるかもしれないが、われわれとの関係に及ぼす破局的結果も覚悟すべきであろう」と威嚇した。

『朝鮮中央通信』の日本語版では、「チョン・ピル」の漢字表記を「正筆」としている。実際の名前でなく「正しい筆」という意味のペンネームとみられる。

■中朝関係の「事件」

 中国の『環球時報』はこれまで、中国当局が公式には表明できない踏み込んだ主張をする役割を演じてきたが、今回もかなり踏み込んだ主張をした。

『環球時報』は4月22日付の社説で、「中国が朝鮮をいくら説得しても、朝鮮は聞こうとしない」とした上で、「朝鮮が6回目の核実験をする状況になれば、中国は原油供給を大幅に縮小する」と主張した。

 さらに、「米国がそれらの(核・ミサイル)施設に外科手術的(軍事的)攻撃をしても、外交的手段を通じて抑制には出るが、軍事介入はしない」「ワシントンは朝鮮がソウルに報復攻撃をするリスクを十分に考えなければならない。このリスクは米韓にとって耐えがたいほど重いものになるだろう」とした。米国が核施設を攻撃しても、中国は外交的な抑制だけで軍事介入はしないという指摘は、かなり衝撃的であった。これは米韓への警告であると当時に、北朝鮮への警告でもあろう。

『環球時報』はその上で、「米韓の軍隊が38度線を越えて北朝鮮を侵略、北朝鮮政権を転覆しようとした時は中国が軍事的介入に乗り出す」とした。核施設などへのピンポイント攻撃では軍事介入しないが、金正恩(キム・ジョンウン)政権を転覆するような米韓の軍事攻撃には軍事介入を辞さない、という指摘だ。

 もちろん、『環球時報』の報道は中国当局の正式なコメントではないが、朝鮮半島情勢への中国の微妙な立ち位置を示している。中朝両国は1961年に中朝友好協力相互援助条約を締結しており、その第2条には、「締結国の一方がある1国、あるいは数カ国連合の武力攻撃を受け、戦争状態に陥った場合は、他の締結国は直ちに全力を挙げて軍事およびその他の援助を与える」という自動介入条項がある。中朝間が冷却化し、この条約は死文化しているという指摘もあるが、条約は法的には今も有効である。

 さらに『環球時報』は4月24日付社説で、北朝鮮の核を容認することはできず、6回目の核実験を行えばすぐに原油の供給が制限されると指摘した。『朝鮮中央通信』の2度にわたる中国批判はかつてないほど激しいもので、中朝関係の「事件」だと指摘した。だが、その上で「中国は断固として国連安全保障理事会の決議を履行すべきだ。(北朝鮮を)相手にするな」と主張した。

■鍵は「中国」と「韓国新大統領」

 こうした中で、米国のトランプ政権は4月26日、見直しを進めていた北朝鮮政策について、ホワイトハウスで上院議員100人を相手に説明を行った。その上で、ティラーソン国務長官、マティス国防長官、コーツ国家情報長官による共同声明を発表した。

 トランプ政権は2月中旬から進めていた北朝鮮政策の見直しを「最大限の圧力と関与」としてまとめたが、その詳細を議会に説明したものだ。

 新たな政策は、経済制裁の強化や外交攻勢で北朝鮮への圧力を強め、北朝鮮が核・ミサイル開発を放棄するような「対話の道に連れ戻す」との姿勢を示した。

 共同声明は、「米国は朝鮮半島の平和的な非核化を求める」「同盟国である韓国と日本との密接な連携を維持する」とした。

 トランプ政権は外交解決を優先させる姿勢を示しながら、軍事的な対応には触れなかった。軍事的な対応を取る可能性があるのかないのかは、依然として曖昧なままだ。

 米国は北朝鮮に圧力をかけるために、軍事的な対応を排除することを明確にはしないとみられるが、実際には北朝鮮への軍事攻撃は、韓国や日本への報復攻撃の可能性を考えればたやすいことではない。特に膨大な被害が出ることが予想される韓国が同意するはずがない。

 米国は結局、軍事的な圧迫を含めた「最大限の圧迫」を加えながらも、実際には軍事力行使は控え、経済や外交での圧迫の度合いを強めるしかない。しかし北朝鮮のような閉鎖的な国家が、制裁や外交的な孤立だけで核・ミサイル開発を放棄する可能性は低く、結局はどこかの段階で交渉局面に入るしかないだろう。そうなってくると、ここでも鍵を握るのは中国であり、5月9日に新大統領が生まれる韓国の動向だ。

■「解決の鍵は中国の手の中にはない」

 中国の王毅外相は4月23日、訪問先のギリシャで朝鮮半島情勢について、「相手に力を見せつけるような言動はもうたくさんだ」と述べた。「解決の鍵は中国の手の中にはない」とも語った。

 このつぶやきは本当だろう。北朝鮮は中国の圧力で核・ミサイル開発を止めるような国ではない。

 中国が原油供給を全面的に中止すれば北朝鮮経済は音を上げるだろう。しかし、北朝鮮経済が混乱し、難民が発生するような事態になれば、その被害を受けるのは中国である。それは1990年代の「苦難の行軍」(飢饉と経済的困難)時期が実証している。また、原油供給を全面的にストップすれば、中国は北朝鮮への圧迫カードを失い、北朝鮮の恨みを買うだけである。

■安保理閣僚級会合でも姿勢の差

 国連安全保障理事会は4月28日、北朝鮮の核・ミサイル問題を討議する閣僚級会合を開いた。4月の議長国である米国のティラーソン国務長官は、「北朝鮮による日本と韓国への核攻撃の脅威は現実のものだ」と強調し、北朝鮮への国際的な包囲網構築を訴えた。

 これに対し、中国の王毅外相は「中国が問題の中心なのではない」とし、「対話再開を真剣に考える時だ」と訴えた。ロシアのモルグロフ外務次官も「軍事力行使は受け入れられない」と述べた。

 結局は国連での閣僚級会合でも、制裁強化を主張する日米韓などと、対話を重視する中ロの姿勢の違いが浮かび上がった。

■「半島情勢は1つの峠を越えた」

 米韓合同軍事演習に加え、米原子力空母カール・ビンソンの派遣などもあって、「4月危機」が叫ばれた。米朝のチキンレースが続いたが、米韓合同軍事演習が4月30日に終わると、状況転換の兆しが見え始めた。

 北朝鮮外務省は5月1日に外務省報道官談話を発表し、「われわれの強力な戦争抑止力によって、朝鮮半島情勢が1つの峠を越えたが、戦争の暗雲が消えたわけではない」と指摘した。

 談話は、「朝米間の対決が半世紀以上も続いてきたが、米国の対朝鮮侵略の狂気がこれほど極度に達し、それによって今回のように、朝鮮半島情勢が核戦争勃発間際に至った時は無かった」と振り返りながらも、「1つの峠を越えた」と指摘し、ようやく状況が緩和に向かい始めたとした。

 また談話は、「核武力を中枢とする自衛的国防力と核先制攻撃能力を引き続き強化していくだろう。われわれの核武力高度化措置は、最高指導部が決心する任意の時間と任意の場所で、多発的に、連発的に引き続き行われるだろう」としながらも、対話局面への準備に動き始めたことは注目すべきだ。

 北朝鮮は、今後の対応は米国次第との条件をつけながら、「わが革命武力の無慈悲な報復意志と無尽莫強の威力を力強く誇示することによって、米国による戦争挑発の凶悪な計画を打ち砕いた」と総括した。米国がまだ空母カール・ビンソンなどを朝鮮半島周辺に配置したままの状況でありながら、勝手に「勝利宣言」して方向転換を示唆したわけである。

■「適切な状況なら金正恩と会う」

 一方トランプ米大統領からは、北朝鮮のこうした姿勢に呼応するかのような驚くべき言葉が飛び出した。大統領は5月1日、『ブルームバーグ通信』とのインタビューで、金正恩党委員長との会談について、「私が彼と会うことが適切であれば、私は断固として会うつもりだし、それを光栄に思う」「それは、もう1度言えば、適切な状況のもとであれば、私はそうするということだ」と述べ強調した。さらに「大部分の政治家は絶対にそうは言わないだろう。私は適切な環境のもとで、彼と会うだろうとあなたたちに言っているのだ」と付け加えた。

 確かに「大部分の政治家」なら、こうした発言は控えただろう。しかし、トランプ大統領は「適切な状況」を条件に付けながら、金正恩党委員長との会談の可能性に言及したのだった。

 また大統領は、4月30日には『CBSテレビ』とのインタビューで、「みんな彼のことを『正気なのか』と言っている。私にはまったくわからないが、父親が死んだ時、26か27の若者だった。それですごく若くして権力を掌握した。大勢がおそらく、その権力を取り上げようとしたはずだ。叔父とかそういうほかのいろんな人が。それでもやってのけた。だから明らかに、なかなかの切れ者(pretty smart cookie)だ」と語り、金正恩党委員長を評価した。

「cookie」という言葉は年長者が年の離れた者に使う愛称らしいが、これまで「マニアック」とか「悪い奴」とか言ってきたことと比べると、大きな変化だ。

 北朝鮮は、最高指導者を「最高尊厳」と言って最大限に重視する。トランプ大統領のこうした発言は、北朝鮮の心理をくすぐる効果があるだろう。

 トランプ大統領は昨年の選挙運動中に、金正恩党委員長と「ハンバーガーを食べることができる」と述べたが、その発言にどのくらい重みがあるのか疑問視されてきた。しかし今回の発言は、北朝鮮問題を最優先課題としているだけに、ある程度考えての上のものとみられる。この発言は「最大限の圧迫と関与」の、「関与」の延長線上の発言とみられる。

■整っていない「適切な状況」

 しかし、ホワイトハウスはすぐトランプ発言の沈静化を図った。スパイサー大統領報道官は、「北朝鮮の行いに関連し、造成されなければならない多くの条件があり、信頼のよいシグナルが見える前までに多くの条件がある」とし、「現在は明確にそのような条件が整っていない」とした。

 共和党のリンゼー・グラム上院議員は、「米国大統領が誰かと会うということは、その人間に究極的には正統性を与えるということだ。世の中からまったく孤立している人物を正当化してはならない」と批判した。

 米メディアも「彼が独裁者を称賛し尊敬する姿を示すことは歴史が深い」(『ワシントン・ポスト』)とおおむね批判的であった。特に各メディアは、金正恩党委員長との会談を「光栄」と表現したことに強い拒否感を示した。

 トランプ大統領自身も、前述の発言とまったく反対の発言もした。同じ5月1日に『FOXニュース』とのインタビューで、北朝鮮が核弾頭を搭載可能なICBMを保有すれば「私たちは安全ではない」と指摘した。その上で「私はレッドラインを引くことは好きではないが、行動しなければならなければ、行動する」と、北朝鮮への強い姿勢を示した。

 米国はこうした強い姿勢の一環として、米韓合同軍事演習が終わったにもかかわらず、5月1日にB1戦略爆撃機2機を韓国上空に飛来させ、韓国軍と共同訓練を行った。

 また米国は5月3日、ICBM「ミニットマン3」の発射実験を行った。弾頭を装着していない「ミニットマン3」を、カルフォルニア州の空軍基地から約6760キロ離れた太平洋の目標点に落下させたのだ。4月26日にも「ミニットマン3」の発射実験を行ったばかりなのに、である。

 こう見てくると、トランプ大統領は米国の新たな北朝鮮政策「最大限の圧力と関与」の「圧力」「関与」双方を表明したと見える。「アメとムチ」から「ビフテキとハンマー」へとメリハリを付けたことをトランプ流に表現したのであろう。しかし、それでも米朝首脳会談に言及した意味は大きい。

■「雙軌併行」と「雙中断」

 当事者の北朝鮮と米国が、5月になり微妙な姿勢の変化を見せる中で、朝鮮半島情勢をさらに動かす変数は「中国」と「韓国」だ。

 まずは中国である。中国外務省の耿爽副報道局長は5月2日の記者会見で、トランプ大統領が金正恩党委員長との会談に言及したことについて、「できるだけ早期の対話再開に向けて努力すべきだ」と述べ、歓迎する意向を示した。

 その中国が、米朝間で対話再開の仲介案として出しているのが「雙軌併行」と「雙中断」である。

「雙軌併行」とは、米国など国際社会が求めている朝鮮半島の非核化への協議と、北朝鮮が主張する平和協定締結への協議を併行して行うというものだ。そのプロセスに入るために、「雙中断」がある。「雙中断」とは、北朝鮮が核実験やミサイル発射実験を中断し、米韓側が米韓合同軍事演習を中断することで、協議の環境を作り出すという提案である。

 中国には問題解決の「鍵」はなく、米朝双方が譲歩をして対話に入るべきだ、というのが中国のスタンスなのだ。

 現実的には、北朝鮮がすぐに核・ミサイルの廃棄に応じる可能性はなく、状況を動かすには追加的な核実験やミサイル発射を中断する「凍結」しかない。しかし、北朝鮮が「対価」もなく、核実験やミサイル発射の停止に応じるわけはないので、米韓側も合同軍事演習を中止せよということだ。米韓合同軍事演習の中断は、中国にとってもメリットがある。中国周辺での軍事演習は、いつその対象が中国になるとも限らないからだ。

 中国は、北朝鮮が6回目の核実験を強行すれば原油提供の削減などの制裁措置を取る、と北朝鮮への圧迫を強化しながら、米国に対しても対話への一歩を踏み出すように説得を続けている。トランプ大統領の米朝首脳会談への言及は、そうした中国の努力への自分なりのシグナルともいえる。

■北朝鮮、中国を名指し批判

『朝鮮中央通信』は5月3日夜、キム・チョルという個人名の論評を発表し、中国を名指しで激しく批判した。前述の『朝鮮中央通信』の2つの論評は、中国を名指しすることは避けたが、今回は名指しだった。論評は、中国が米国と同調して制裁を科していることに対し、「朝中関係の根本を否定し親善の伝統を抹殺する容認できない妄動だ」とした。また中国の制裁や、これを正当化する中国のメディアを批判し「朝中関係の『レッドライン』をわれわれが超えているのではなく、中国が乱暴に踏み付けにして乗り越えている」と批判した。その上で「朝中友好がいくら大事だと言っても、核と引き換えにして物乞いするわれわれではない」とし「中国は朝中関係の支柱を折る無謀な妄動がもたらす重大な結果について熟慮した方がいいだろう」と警告した。北朝鮮が対中批判をエスカレートさせたことで、中朝関係はさらに冷却化しそうだ。

■「文在寅大統領」なら大転換

 もう1つの「変数」は韓国だ。今年に入って朝鮮半島情勢は緊張を増してきたが、大統領不在の韓国はその「競技場」の外にあった。当事者としては我慢ならない事態だ。韓国では「コリア・パス」という言い方で疎外感が出始めている。

 韓国大統領選挙の情勢は「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)候補を「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)候補が追撃する形だったが、ここに来て文在寅候補が再び安哲秀候補との差を広げ始めている。安哲秀候補はテレビ討論で失敗が目立ち、安候補に回っていた保守層が、自由韓国党の洪準杓(ホン・ジュンピョ)候補に戻り始めた。その結果、「反文在寅票」が安候補と洪候補に分散し、文在寅候補が相対的に安定したボジションを得つつある。韓国大統領選挙は、「2強」構造から「1強2中2弱」構造に変化しながら、終盤戦に入ろうとしている。

 文在寅政権になれば、韓国の対北朝鮮政策は大きく変化する。北朝鮮が6回目の核実験やICBMの発射実験を自制すれば、韓国が北朝鮮圧迫政策から変化を見せる可能性がある。逆に強行すれば、文在寅政権になっても当分は韓国が圧迫政策を転換することは難しいだろう。

 文在寅候補は、政権を取れば南北対話を再開するとしており、韓国が日米の対北朝鮮強硬路線から距離を置く可能性がある。日米韓の対北強硬姿勢という現在の構造は変化を余儀なくされる。

 北朝鮮は核・ミサイルの開発を続け、核保有国として米国と交渉する姿勢を崩さず、米国は核放棄を認めなければ対話はないという姿勢を堅持している。米朝双方の姿勢の差は大きい。これを解くには、北朝鮮の核・ミサイル開発の凍結しかないとみられるが、北朝鮮は当然その対価を求めるだろう。

 トランプ大統領が首脳会談の条件にした「適切な状況」とは何なのかという共通の認識をどうやってつくるかが、当面の課題だ。

 朝鮮半島情勢は米朝の厳しい対立構造を基本にしながら、中国の仲裁努力、韓国の新政権がどのような変化を示すかが次の焦点だ。その結果が、当事者である米朝の姿勢変化を生み出し、「適切な状況」をつくることに成功すれば、対話局面が生まれる。だが、それに失敗すれば危機はさらに深まる。


北朝鮮に追加制裁の用意=体制転換や侵攻は否定―米長官
時事通信 5/4(木) 0:26配信

 【ワシントン時事】ティラーソン米国務長官は3日、国務省で職員向けに演説し、「北朝鮮の行動が制裁に相当すると分かれば、追加制裁を科す用意がある」と述べた。

 弾道ミサイル発射を繰り返し、6回目の核実験の準備を行っているとされる北朝鮮をけん制した。

 ただ、長官は「北緯38度線の北側に行く理由を探しているわけではない」とも語り、北朝鮮に侵攻したり、体制転換を目指したりする意図はないと表明。「適切な条件であれば、対話に応じる用意がある」と強調して交渉を通じた非核化に応じるよう促すなど、北朝鮮に硬軟両様で臨む構えを見せた。

 長官はまた、米国が目指す圧力強化の一環として、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁の完全な履行を各国に改めて要求。北朝鮮と関係が深い中国を念頭に、履行しなければ北朝鮮を支援する第三国の団体・個人への制裁も辞さない方針を示した。

 さらに「中国に強い圧力をかけ、北朝鮮への影響力を行使する意思があるかを試している」と述べ、中国に行動するよう要求していることを明らかにした。


米軍、またICBM実験=6400キロ超飛行
時事通信 5/3(水) 22:42配信

 【ワシントン時事】米FOXニュースによると、米空軍は3日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ミニットマン3」の発射実験を行った。

 西部カリフォルニア州のバンデンバーグ空軍基地から打ち上げられ、6400キロ以上離れた太平洋のマーシャル諸島付近に落下した。

 米軍は4月26日にもミニットマン3の発射実験を行ったばかりで、弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮をけん制する効果がありそうだ。ただ、空軍報道担当官はFOXに「(ICBMの)実験は3~5年前に計画が組まれる。(今回の発射も)予定されていたものだ」と話している。

 FOXによれば、米軍は例年4回のICBM発射実験を計画。4月の発射は昨年11月に予定していた分で、山火事のため延期されていたという。


<米露首脳電話協議>米、露との連携を模索 北朝鮮の核阻止
毎日新聞 5/3(水) 19:53配信

 【ワシントン高本耕太】北朝鮮の核・ミサイル開発を阻止するため中国の協力を重視してきた米国が、今度はロシアとの連携を模索している。トランプ大統領は2日、プーチン露大統領と電話で北朝鮮の情勢について協議。問題解決に向けてロシアの協力を求めたとみられる。国際包囲網にロシアを引き込み「抜け道」を塞ぎたい考えだが、ロシアの協力を得られるかは見通せない。

 米国は北朝鮮に対し、軍事行動を含めた「すべての選択肢」を排除せず、圧力をかけ続ける。だが、韓国など周辺国や地域に与える影響を考慮すると、軍事オプション発動の可能性はほとんどない。現実的なカードは経済・外交面での制裁強化。「ヒト・モノ・カネ」の流れを断ち北朝鮮の孤立化を確実にするには、各国の一致した対応が不可欠となる。

 北朝鮮貿易の9割を占める中国がさらなる経済制裁に踏み切ったとしても、ロシアが代替の貿易相手や物資の供給元としての役割を担い、制裁効果が無力化することを米国は警戒している。

 ロシアは今月から、日本が入港を禁止した貨客船「万景峰(マンギョンボン)号」による北朝鮮との定期航路開設を予定。北朝鮮情勢に配慮し、8日の第1便は延期されたものの、就航すればロシアからは「人道支援物資」に加えて農業・鉱工業用機械の修理部品などが輸出される見通しだ。

 また、米ジョンズ・ホプキンズ大の北朝鮮分析サイト「38ノース」は1日、衛星写真の解析から、北朝鮮西部・南浦(ナンポ)に同国2基目の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)発射実験台として使われる「はしけ船」を確認したと発表。発射台が「ロシア製のものと酷似している」と指摘した。

 ホワイトハウス高官は、北朝鮮の核・ミサイル開発阻止のため「必要な物資と技術、部品の入手を断つことが必要だ」と強調。ティラーソン国務長官は、先月28日の国連安保理閣僚級会合で「北朝鮮への制裁履行に積極的でない国がある」と指摘。ロシアや中国の名指しは避けながらも「『これまで通り』は許されない」と強くけん制した。

 ただ、ロシアは国連安保理の場で北朝鮮を非難する米国作成の声明当初案に反対するなど、米国主導の制裁からは距離を置いている。プーチン露大統領は27日の安倍晋三首相との会談後の共同記者発表でも、北朝鮮問題で関係国に「冷静で建設的な対話」を求めた。米国が圧倒的な軍事力を背景に北東アジアで存在感を高めることへの強い警戒感が背景にあり、米国の描く包囲網が完成する保証はない。


<米露首脳電話協議>北朝鮮「非常に危険な状況」詳細に議論
毎日新聞 5/3(水) 19:50配信

 ◇シリア内戦「暴力の終止符に努力の必要」との認識で一致

 【ワシントン高本耕太、モスクワ杉尾直哉】トランプ米大統領は2日、ロシアのプーチン大統領と電話で協議した。ホワイトハウスの声明によると、両者はシリア内戦を巡り「すべての関係者が、暴力に終止符を打つため努力する必要がある」との認識で一致。国内避難民のための「安全地帯」設定などについて意見を交わした。4月に米国がシリアをミサイル攻撃して以来、両首脳の協議は初めて。両首脳は7月に独北部ハンブルクで開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議を機に直接会談する方向で調整中という。

 シリアのアサド政権が化学兵器を使用したと米国が主張するのに対し、ロシアはシリアを擁護する立場を取り、米露関係は「史上最低のレベル」(トランプ氏)まで悪化した。だが、協議後に公表された声明には「非常に良好な対話だった」と記されていた。

 ロシア大統領府によると、シリア問題では、停戦体制の強化を図り、シリア問題の「真の解決プロセス」に取りかかるため、ラブロフ露外相とティラーソン米国務長官の対話を活発化させ、両大統領に報告させることで合意した。

 さらに声明は、カザフスタンの首都アスタナで3~4日に開かれるシリア和平を巡るアサド政権と反体制派の第4回会合に、米国が代表団を派遣すると発表した。国連主導の和平協議を重視する米国は、これまでアスタナ和平協議には代表を派遣せずオブザーバー参加にとどめてきた。

 ホワイトハウスは、北朝鮮情勢についても「非常に危険な状況に対する最善の解決策」について意見を交わしたと発表した。ロシア大統領府によると、両首脳は北朝鮮の「非常に危険な状況」について詳細に議論し、プーチン氏は米側に「自制と緊張緩和」を強調。原子力空母カール・ビンソンを日本海に派遣するなど軍事的圧力を強める米国をけん制した。北朝鮮の核・ミサイル問題の外交解決に向けた米露両国の取り組みに着手することで合意したという。


核実験なら制裁強化=「安保理決議に明示」―中国
時事通信 5/3(水) 19:09配信

 【北京時事】中国外務省の耿爽・副報道局長は3日の記者会見で、昨年11月に採択された国連安保理の対北朝鮮制裁決議に「新たに核実験や弾道ミサイル発射を実施するなら、さらに重大な措置を取ると明確に記されている」と指摘し、北朝鮮が挑発行為を繰り返せば中国も制裁強化を支持する考えを示唆した。


安倍首相が休暇入り
時事通信 5/3(水) 17:11配信

 安倍晋三首相は3日、大型連休を利用して山梨県鳴沢村の別荘で休暇に入った。

 北朝鮮による弾道ミサイル発射など新たな挑発行為が懸念される中、緊張感を伴う静養となりそうだ。

 首相は先月29日、ロンドンで行った内外記者会見で政権の重要課題である働き方改革に触れ、「ワークライフバランスを確保することが極めて重要だ。このゴールデンウイークは私も十分に英気を養いたい」と「率先垂範」を宣言していた。


「北」核実験場でまたバレーボール
ホウドウキョク 5/3(水) 16:02配信

朝鮮半島情勢で緊張が続く中、北朝鮮の核実験施設でまたもや、職員がバレーボールをしている様子が衛星写真で確認された。
これは、アメリカの衛星が北朝鮮の豊渓里(プンゲリ)核実験施設を、4月25日に撮影した写真で、施設内のバレーボールコートでバレーボールをしている様子が確認された。
この核実験施設では、数日前にも、バレーボールをしている様子が確認されていて、アメリカの研究機関などは、今の半島情勢を考えるとあり得ない行為だと指摘する一方で、核実験に向けた準備活動をカモフラージュするために行っている可能性があると分析している。


北朝鮮・南浦のミサイル工場
時事通信 5/3(水) 15:53配信

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北朝鮮西部・南浦の台城機械工場の人工衛星写真。上が2016年2月20日撮影、下が17年4月24日撮影(エアバス・ディフェンス・アンド・スペース/米韓研究所提供)


<北朝鮮ミサイル>主要鉄道、Jアラート作動で運転見合わせ
毎日新聞 5/3(水) 15:00配信

 ◇情勢緊迫化で 4月、一斉に対応ルール決める

 北朝鮮から弾道ミサイルが発射された場合に備え、全国の主な鉄道会社が4月、一斉に対応ルールを決めていたことが分かった。ほとんどの会社が全国瞬時警報システム「Jアラート」が作動した場合に運転を見合わせるという内容だ。【まとめ・内橋寿明】

 毎日新聞が主な鉄道会社17社に対応方針を聞いたところ、JR東日本、東京都営地下鉄、東急電鉄、名古屋鉄道、阪急電鉄、西日本鉄道など14社が「4月にルールを整備した」と回答した。ほとんどの社が、整備のきっかけを「北朝鮮情勢の緊迫化」とした。Jアラートや緊急情報ネットワーク「エムネット」でミサイル発射情報が伝わった場合、大半の社は「最寄り駅まで走行し、停車させる」と答えた。

 東京メトロは4月中旬、報道機関が速報した場合も含めて運転を見合わせるルールを決めていたが、同29日、Jアラートが作動した場合だけ運行を停止するようルールを変更した。同社は「いったん運転を見合わせると影響が大きいので、危険性が高い場合に限定することにした」としている。

 同29日に発射されたミサイルは北朝鮮内陸部に落下し、Jアラートは作動しなかった。しかし、メトロは一部報道機関が速報したのを受け、ルール通りに地下鉄9路線で一斉に約10分間、運転を見合わせ、乗客約1万3000人に影響した。

 一方、JR西日本や阪神電鉄はJアラートやエムネットの作動に加えて、「報道をもとに運転を見合わせる場合もあり得る」と回答した。JR西日本が運行する北陸新幹線は同29日のミサイル発射の報道をもとに、3本の運転を見合わせる対応を取った。

 ◇Jアラート

 政府が人工衛星や地上回線を経由させて、ミサイルの飛来情報や津波警報、緊急地震速報を自治体に送信するシステム。情報は、自治体の防災行政無線やメールを通じて、数十秒以内に住民に伝わる。ミサイル情報では過去、沖縄県・先島諸島の上空を通過した2012年12月と16年2月に発信された。


<北朝鮮ミサイル>運転見合わせた東京メトロ 乗客からは…
毎日新聞 5/3(水) 15:00配信

 東京メトロが北朝鮮ミサイルの警戒で運転を見合わせた約10分間、乗客たちは盛んにツイッターに投稿した。祝日の早朝で混乱はなかったが、危機をあおるような同社の対応に驚きや疑問の声が上がった。

 日本を狙う北朝鮮の弾道ミサイルは、10分前後で日本に着弾するとされる。29日のミサイルは午前5時半ごろ発射され、運転中止は午前6時7分ごろ。

 「初めてこんな放送を聞いた。これからどうなるんだ」「うそだろ、おい」などと驚きの投稿が目立つ。Jアラートが鳴らなかったこともあり「止める意味はあるの? 今までそんなことしてなかったのに」「迷惑」など疑問やいらだちの表明も。「電車は止めるのに原発は止めないんだな」との指摘もあった。このほか、「平日のラッシュ時に一斉にJアラートの警報音が鳴ったら怖い」など不安を表明する人もいた。

 東京メトロ広報部によると、運転中止時は「安全確保のため」と車内放送し、ミサイルに言及しないことを事前に決めていたが、発射に言及した路線もあったという。

 一方、運転再開後に「地下に逃げてくる人たちを想定し、安全のために止めることになっている」と根拠に乏しい伝聞形式の投稿が急速に拡散。同社広報は「停車の目的は乗客の安全確保で、公式発表の情報ではない」と否定したが、説明不足が臆測を呼んだ可能性もある。【大村健一】


北朝鮮西部の工場、近代化進む=弾道ミサイル開発拠点か―米研究所
時事通信 5/3(水) 14:45配信

 【ワシントン時事】米ジョンズ・ホプキンス大高等国際問題研究大学院の米韓研究所は2日、人工衛星画像の分析に基づき、北朝鮮が西部・南浦の台城機械工場で、ミサイル関連設備などの近代化を進めていると明らかにした。

 同工場は「さらに高度な弾道ミサイルの設計や開発で中心的役割を担っている」とみられるという。

 同研究所によれば、台城工場は北朝鮮で最も古い弾道ミサイル製造施設。2016年2月~17年4月撮影の衛星画像を分析した結果、当局が同工場にある垂直型エンジン燃焼実験設備の近代化に着手したことが分かった。

 また、警護要員の詰め所設置やアクセス道路の舗装が進められ、建物数棟が新たな構造物に置き換わった。水平型の固体燃料式エンジン燃焼実験用の設備も新たに整備されたと思われ、国内の別の場所にある燃焼実験設備と大きさや構造が似ているという。

 黄海に面した南浦の海軍造船所では最近、国内2基目とみられる潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)試験用の発射台が確認された。同研究所は、台城工場の近代化について「新たなSLBM発射台調達と関係しているかもしれない」と分析している。


<憲法70年>個別的自衛権で自衛隊はどんな行動が取れるのか?
THE PAGE 5/3(水) 14:40配信

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[資料写真]2016年、北朝鮮のミサイル発射兆候を受けて配備されたPAC3(ロイター/アフロ)

 日本国憲法は1947(昭和22)年に施行され、5月3日で70年を迎えました。国民主権、基本的人権とともに憲法の三大原理をなす平和主義を掲げ、戦後の日本は「平和国家」として歩んできました。いまにわかに北朝鮮をめぐる情勢が緊迫しています。2015年の安保関連法制の際には「集団的自衛権」をめぐる議論が活発になされましたが、今回は「個別的自衛権」をテーマに考えてみたいと思います。安全保障問題に詳しい元外交官の美根慶樹氏に寄稿してもらいました。

当初は「反撃できない」解釈が有力
 純粋に仮定の話ですが、北朝鮮から日本が攻撃された場合、日本は自衛のためにどのような行動を取れるか。まず、憲法の規定を確認しておきましょう。

 1946(昭和21)年に公布された新憲法は第9条で、日本国は国際平和を誠実に希求すること、そのため戦争を永久に放棄すること、武力行使も原則しないことなどを定めました。当初はこの規定により、外国から日本が攻撃された場合でも武力で反撃できないという解釈が有力でした。

 しかし、1950~53年のいわゆる朝鮮戦争を経て54年、日本国政府は「憲法は戦争を放棄したが、自衛のために他国からの武力攻撃を阻止することは憲法に違反しない」との解釈を打ち出し、自衛隊は憲法に違反しないと判断しました。今日、この解釈は大多数の日本国民によって受け入れられているといえるでしょう。

 なお、ここで言う「自衛」とはわが国を防衛することであり、「他国の防衛」である「集団的自衛権の行使」と区別して「個別的自衛権の行使」と呼ばれています。

※「公布」=国民への周知。「施行」=効力が生じる

「攻撃の着手時」を武力攻撃事態法で整理
 実際には、「武力攻撃」と言ってもさまざまな形態があり、核兵器を搭載したミサイルによって極めて短い時間で圧倒的な破壊力のある攻撃が行われることも考えられます。ピョンヤンと東京の直線距離は約1200キロであり、発射から数分で東京を全滅させる攻撃もあり得るのです。

 したがって、自衛行動は迅速にしなければならないのですが、早すぎると相手国から武力攻撃が行われるより先にこちらが攻撃を仕掛けること、つまり、憲法上認められない「先制攻撃」になってしまいます。これは非常に微妙で、悩ましい問題ですが、日本政府は従来、「武力攻撃の着手時をもって、武力攻撃の発生があった」と解し、「着手の有無は、諸般の事情を勘案し個別具体的に判断する」との基準を示していました。これでもまだ抽象的ですが、国内政局や安全保障上の考慮から、一定程度あいまいにせざるを得ませんでした。

 この難問についての判断基準を明確化したのは、2003年に成立した「武力攻撃事態法」であり、これは2015年に行われた一連の安保関連法制の改正で「存立危機事態」が追加されました。

 改正されたこの法律では、武力攻撃が発生する前の段階を「武力攻撃予測事態」とし、発生した後の事態をさらに「武力攻撃が発生した事態又は武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態(武力攻撃事態)」と「武力攻撃」に分けました。分かりやすくするため、その違いをあえて単純化して言えば、「武力攻撃事態」は、たとえば砲弾が日本に向かって飛んでくる状況のことであり、「武力攻撃」は砲弾が実際に日本に到達してからのことです。

 以前の解釈では「武力攻撃の着手」とされていた事態を「武力攻撃事態」とし、その中に「武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態」を含めたのです。

必要最小限度の武力で相手攻撃を排除
 では「武力攻撃事態」または「武力攻撃」が発生した場合、日本はどう対応するのでしょうか。この法律は、武力攻撃を「排除する」および「速やかにそれを終結させる」とし、その場合にも「武力の行使は、事態に応じ合理的に必要と判断される限度においてなされなければならない」と規定しました。要するに、必要最小限度の武力で、相手国からの武力攻撃を「排除、あるいは終結させる」としたのです。

 この任務にあたる自衛隊は、朝鮮半島にまで行けるでしょうか。法律は何も明示していませんが、いわゆる集団的自衛権を行使する場合は外国へ行くことも想定されているので、個別的自衛権行使の場合でも自衛隊は朝鮮半島で必要な行動を取ることがあると解釈すべきでしょう。

 具体的には北朝鮮の核やミサイルの施設も、自衛隊による「排除や終結」、分かりやすく言えば、「破壊」の対象になると思います。

 日本国政府は、憲法および関連の法律に基づき、地対空誘導弾パトリオット(PAC3)などのシステムを構築して防衛に努めていますが、核を搭載したミサイルにより巨大な破壊力のある攻撃が極めて短い時間で、また複数の施設から行われる恐れがあることにかんがみると、武力行使による自衛が常に有効か、限界があるのではないかと言わざるを得ません。

 本稿を締めくくるに際して、外交的手段で問題を解決することが、迂遠(うえん)に見えてもより安全な道であることをあらためて付言しておきます。トランプ大統領が5月1日に「金正恩委員長と会談してもよい」と述べたことは重要であり、米朝両国が対話による解決を模索することを期待しています。

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■美根慶樹(みね・よしき) 平和外交研究所代表。1968年外務省入省。中国関係、北朝鮮関係、国連、軍縮などの分野が多く、在ユーゴスラビア連邦大使、地球環境問題担当大使、アフガニスン支援担当大使、軍縮代表部大使、日朝国交正常化交渉日本政府代表などを務めた。2009年退官。2014年までキヤノングローバル戦略研究所研究主幹


「北」核とミサイル「現実の脅威」
ホウドウキョク 5/3(水) 10:53配信

岸田外相は2日、オーストリア・ウィーンで開幕したNPT(核拡散防止条約)の準備会合で演説し、北朝鮮の核とミサイル開発は「国際社会に対する現実の脅威だ」として、「核なき世界」に向けての努力は安全保障環境を考慮し、現実的に進める必要がある」と訴えた。
岸田外相は、「北朝鮮は昨年以来、2回の核実験および30発以上の弾道ミサイル発射を強行し、地域を越えて国際社会に対する現実の脅威となっています。『核兵器のない世界』に向けての努力は、北朝鮮情勢をはじめ、厳しさを増している安全保障環境を考慮しつつ、現実的に進めていく必要があります」と述べた。
そのうえで岸田外相は、「核兵器使用の『非人道性に対する正確な認識』と、『厳しい安全保障環境に対する冷静な認識』の2つの認識をふまえたうえで、核兵器国と非核兵器国双方を巻き込んでいくことこそが、『核兵器のない世界』につながると確信している」と強調した。
岸田外相は、核兵器の廃絶に向け日本が主導的に取り組む決意を示し、年内に核軍縮に知見のある有識者を日本に招いて、「賢人会議」を設立し、核軍縮に向けた提言を得て、報告すると表明した。


米爆撃機が韓国上空で訓練 「無謀な挑発」と北朝鮮は反発
CNN.co.jp 5/3(水) 10:18配信

(CNN) 米軍が1日、朝鮮半島上空にB1B戦略爆撃機2機を投入して韓国軍と共同訓練を実施したのに対し、北朝鮮は「無謀な挑発だ」と強い反発を示した。

北朝鮮の朝鮮中央通信(KCNA)はこの演習に対し、「核爆弾を投下する訓練」で「朝鮮半島情勢を核戦争の瀬戸際まで追いつめる挑発行為」だと主張。トランプ大統領をはじめとする米国の「戦争屋」が北朝鮮に核先制攻撃を仕掛けようとしていると非難した。

韓国国防省の報道官は2日、「北朝鮮による核ミサイルの脅威に対応し、挑発を抑えるため」の訓練だったと述べた。

一方、米当局者らは2日までに、韓国への配備が進められている米軍の高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)が運用可能な状態になったと発表した。

当局者によれば、現時点の能力は限定的ながら、北朝鮮のミサイルを迎撃することが可能になった。米軍は今後、守備範囲をさらに拡大する構えだという。

米韓両国は北朝鮮情勢の緊迫化を受け、配備を急ぐ必要があると強調してきた。正式な稼働は年末になる見通しだが、韓国国防省の報道官は先週、装備の搬入が完了し、数日中に運用が可能になると述べていた。

THAADの配備には中国やロシアが強い反発を示してきた。中国は2日、改めて不快感を示し、配備の即時中止を求めた。

9日に予定される韓国大統領選では、THAAD配備の見直しを主張してきた最大野党「共に民主党」の文在寅(ムンジェイン)候補が最有力視されている。


北朝鮮のミサイル発射、米中が一段と強力な対応巡り協議=外交筋
ロイター 5/3(水) 9:29配信

[国連 2日 ロイター] - 米国は北朝鮮による度重なる弾道ミサイル発射を受けて、追加制裁など国連安保理による一段と強力な対応を巡り、中国と協議を進めている。外交筋が明らかにした。

中国が新たな制裁にどの程度前向きなのかは現時点で不明。

安保理はこれまで、北朝鮮による5度の核実験、および2度の長距離ロケット発射に対し追加制裁を科してきた。それ以外は通常、非難声明などで対応してきた経緯がある。

米国の国連代表部の報道官は「直近の核実験以降の北朝鮮による行動を踏まえ、圧力をかけるためのあらゆる手段を検討するに至った」と指摘。ティラーソン米国務長官は先週、現状維持は選択肢にはないとの立場を示したとし、「一連の挑発に対する対応について、安保理メンバーと協議している」と述べた。


本当は誰も損していない北朝鮮ミサイル狂騒曲 当事国、関係国それぞれが得たものとは
HARBOR BUSINESS Online 5/3(水) 9:10配信

 4月、日本は北朝鮮のミサイル狂騒曲に踊った。

 アメリカのトランプ大統領が「ミサイルを撃てば攻撃をする」と息巻けば、北朝鮮は「先制攻撃を行えば、アメリカ本土にミサイルを落とす」などの威嚇のチキンレースが展開され、米朝で開戦されれば(正確には休戦協定が破棄されれば)戦禍に巻き込まれる可能性のある日本は、メディアを通じその緊迫した状況をリアルタイムで伝えた。

 結論から言えば、アメリカは北朝鮮を爆撃することなく、北朝鮮もアメリカや日本に向けたミサイルを発射してはいない。北朝鮮がミサイル実験を行ったとの報道がなされてはいるが、「失敗」との評価だからなのか、それ自体で米朝間の緊張が一層高まることも無かった。また4月30日で、米韓合同軍事演習フォールイーグルも終了したことから、米朝間の緊張は劇的に沈静化されるであろう。

 今回の米朝間の軍事的緊張とは一体何だったのか。今回の一連の騒動は、アメリカ、中国、韓国、日本、北朝鮮にそれぞれどのような影響をもたらしたのか。結果論として簡潔にまとめてみた。

◆アメリカが得たものは軍事マネー

 今回のミサイル狂騒曲の当事者であるアメリカと北朝鮮の「結果」について考えてみる。

 まず、アメリカが得たもの、それは莫大な軍事マネーである。

 トランプ大統領の就任前後から軍事関連株は好調であったが、今回のシリア爆撃から、北朝鮮が絡む東アジア危機に至る期間、例えば売上高の80%は軍事関連が占める、ロッキード・マーチン社や、航空機製造の最大手ノースロップ・グラマン社の株価は急騰している。

 更には、標的を大気圏外から狙う弾道ミサイルを大気圏に再突入するタイミングで破壊できるTHADD(高高度防衛ミサイル)を韓国に配置したことにも注目だ。トランプ大統領は、このTHADD配備の費用10億ドルを韓国に求めた。(4月30日、マクマスター米大統領補佐官が費用は米国が支払うと訂正)

 これは単に費用負担の問題ではない。文在寅(ムン・ジェイン)氏の当選が有力と言われている韓国の大統領選であるが、ハト派の文氏に軍事費の削減に舵を切らせないための牽制であったと推測出来る。また今回の北朝鮮危機により、日本の防衛省もTHADDの配備の検討をスピードアップさせた。これにより、また莫大な軍事マネーがアメリカに転がり込む。結果論で言えば、トランプ大統領のビジネスマンとしての商才が発揮されたと言える。

 一方、北朝鮮は何を得たのか。

 北朝鮮は今回の一連の騒動で、アメリカのレッドラインを確認することに成功した。アメリカが金正恩委員長の暴発を恐れるのと同様、北朝鮮にとってもトランプ大統領の暴発には未知数な部分があったはず。北朝鮮が求めているのは、核カードをちらつかせながら、アメリカを交渉のテーブルにつかすことである。

 さすがにそこまでの戦果を得ることは出来なかったが、このレベルであればアメリカの攻撃を受けることはないという、セーフティーな前例を作ることには成功した。

◆日中韓それぞれが得たものは?

 今回の北朝鮮危機に対し、アメリカが注目したのが、中国の北朝鮮に対する影響力である。

 トランプ大統領は、幾度となく中国が北朝鮮に自制を求めるよう要求した。中国としては自国の防衛戦略における緩衝地域として北朝鮮を重視している一方、米中会談中のシリア攻撃により面子を潰された恨みもある。

 アメリカの度重なるお願いをいなしながら、結果として、トランプ大統領から「北朝鮮の核・ミサイル問題の解決に向けて中国が影響力を行使してくれるなら、見返りとして貿易不均衡など米中の通商交渉で米側が譲歩する用意がある」(4月30日、CBSテレビインタビュー)との言葉を引き出すことに成功した。

 朴槿恵大統領の弾劾による大統領選の真最中である韓国はどうか。

 実際に朝鮮半島で戦争が勃発すれば、一番の害を被るのが韓国である。

 しかし北朝鮮狂騒曲に踊った日本とは対照的に、韓国の報道は連日大統領選一色で、一時、THADD配備の費用負担を突然迫られたことは報道されたが、北朝鮮危機に関しては殆ど語られることはなかった。結果論でいえば、独走態勢を築く文候補に対抗する、安哲秀(アン・チョルス)候補や洪準杓(ホン・ジュンピョ)候補が、北韓(北朝鮮)強硬論の保守層の票を取り込んだ程度。

 あとは、釜山領事館前に設置された慰安婦像の一件で引き揚げた長嶺安政日本大使が、今回の騒動に関わる情報収集を優先させるとの口実で、約3カ月ぶりに帰任したのも、面倒な外交交渉を一つ減らせた韓国側のメリットとも言えるか。

 そして、日本が北朝鮮危機で得たものは? 結果から言えば、内閣が危機を回避した。森友学園問題や不適切な発言で辞任した大臣の任命責任問題等、安倍内閣を揺るがす事態が頻発したタイミングでの北朝鮮危機。安倍首相が得意とする「北風外交」により、国民の関心を一気に国会から逸らすことに成功した。

 ただ今回の「危機」により日本が得た最大の利は、日米安保の効力を確認できたことである。

 就任前は、日米安保の見直しにまで踏み込むかのような言葉を発していたトランプ大統領。

 安倍首相は、どの国の首班よりいち早くアメリカに駆けつけ、日米の信頼関係について確認を行ってきた。そこに今回の北風である。アメリカとの軍事的な関係性をより一層深化させる一方で、安全保障関連法に基づく実任務として、太平洋沖を航行するアメリカ軍補給艦の防護に付いた。これは南スーダンでのPKO活動における「駆けつけ警護」に続く安保法適用事案で、今後のアメリカ軍との協力体制を維持するうえでの大事な実績となる。

 振り返れば、今回の北朝鮮危機はそれぞれの国の、それぞれの思惑によって作られた出来レースであった可能性が高い。

 韓国本土における米韓軍事演習は毎年行われ、それに対し北朝鮮は毎年反発している。ただ今回はそこに「トランプ大統領」という新たなカードが加わった。そのカードの効力を、関係する周辺国が確認をした。そして、それぞれの国が必要なものを得て終息した。言わば、誰も損をしていない一件であったと言える。

<文・安達 夕>


北朝鮮核実験場でまたバレー=屋外に人多数、欺瞞工作か―米研究所
時事通信 5/3(水) 9:00配信

 【ワシントン時事】米ジョンズ・ホプキンス大高等国際問題研究大学院の米韓研究所は2日、北朝鮮北東部・豊渓里の核実験場を撮影した最新の人工衛星画像で、多数の人が屋外に出てバレーボールなどをしている様子が映っていると明らかにした。

 実験場内で大勢が出歩く姿が観察されるのは「普通ではない」という。

 画像は4月25日撮影。メイン管理区域の中庭に多数の人が見られた。その南方にある司令センター区域にも人の集団を確認でき、バレーをしているようだという。同研究所は「(北朝鮮による)欺瞞(ぎまん)・プロパガンダ工作の一環であることは、ほぼ間違いない」とみている。


北、SLBM実験加速か
産経新聞 5/3(水) 7:55配信

 【ワシントン=黒瀬悦成】米ジョンズ・ホプキンズ大の北朝鮮分析サイト「38ノース」は1日、北朝鮮西部沿岸の南浦(ナンポ)海軍造船所を撮影した4月19日現在の衛星写真に基づき、北朝鮮が潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を加速させる可能性があるとの分析を発表した。

 写真には、SLBMの水中発射管や発射システムの試験、ミサイルの試射などに使われる平底船が接岸しているのが確認された。平底船は全長22・25メートル、幅最大9メートル。2014年に東部新浦(シンポ)で確認された同型の平底船は、SLBM「KN11(北朝鮮名・北極星1号)」の発射実験に4~6回使われたとされる。

 同サイトは、南浦で新たに確認された平底船は北朝鮮製ではなく、外国から入手したとみられるとしている。南浦と新浦の平底船はいずれもロシア製の水中ミサイル実験用平底船「PSD4」に非常に似ているという。


正恩氏、外交経験なし
産経新聞 5/3(水) 7:55配信

 【ソウル=桜井紀雄】トランプ米大統領が北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と状況次第で会談する考えを示した。

 金委員長は最高指導者就任から5年を超えたが、首脳外交の経験はゼロといわれる。父や祖父もなし得なかった米朝首脳会談の可能性はあるのか。

 金委員長は2015年、ロシアや中国が戦勝70年式典に招聘(しょうへい)したが、結局、初外遊は頓挫した。複数の首脳が集まる場では、新参者として末席扱いになることを嫌ったとみられている。13年には、訪朝したモンゴル大統領とも会談しなかったと伝えられる。

 米首脳との会談となると次元が違う。北朝鮮は、米国と平和協定を締結し、恒久的な安全を担保させることを最大の外交目標に掲げてきたからだ。

 北朝鮮外交に詳しい龍谷大の李相哲教授は「先代も成し遂げられなかったことで権威づけになる。対米関係を好転できれば、日本や韓国との交渉も必要ないと考えており、のどから手が出るほど実現したいはずだ」と指摘する。

 ただ、可能性は「ゼロに近い」ともみる。まず場所だ。安全が保証されないとして訪米は拒否するだろうし、トランプ氏が訪朝すれば「米国が屈した」と宣伝に使われるのがオチだ。中露などが会談場所だけを提供する望みも薄い。

 最大の壁は、米国が北朝鮮の非核化目標を対話の前提にしている点だ。金委員長は、核・ミサイル開発を政権維持の柱に据えており、12年2月に米国とウラン濃縮やミサイル実験の凍結に合意しながら半月後には、「衛星打ち上げ」と称して長距離弾道ミサイルの発射を通告し、ほごにした“前歴”がある。

 「トランプ氏も無理を承知で、全ての選択肢がテーブルにあるとのポーズを示しただけではないか」と李教授は推測する。


小野寺氏「北ミサイル基地の無力化必要」
産経新聞 5/3(水) 7:55配信

 自民党の小野寺五典元防衛相は1日、ワシントンのシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)が開いたシンポジウムで、自衛隊が敵基地攻撃能力を保有し、北朝鮮のミサイル攻撃に反撃する必要があるとの認識を示した。小野寺氏は自民党の提言を説明する形で、「心配なのは何発も繰り返し撃たれる飽和攻撃であり、2発目を撃たせないために反撃し、相手のミサイル基地を無力化することが必要だ。抑止力を高めるため日米双方とも反撃する力を持つ必要がある」と語った。(ワシントン 加納宏幸)


米政権“ビッグ5”台頭 バノン氏復権の兆しも
産経新聞 5/3(水) 7:55配信

 【ワシントン=加納宏幸】トランプ米大統領が北朝鮮の核・ミサイル開発への対処やシリア攻撃によって孤立主義的な政策を転換した背景に、現実主義を取る「五人衆」が政権内で影響力を増大させていることがある。逆に中東・アフリカからの入国一時禁止措置を主導したバノン首席戦略官兼上級顧問の影は薄まっているようにみえるが、権力闘争はなお続いている。

 「五人衆」はティラーソン国務長官、マティス国防長官、マクマスター大統領補佐官(国家安全保障問題担当)、ロス商務長官、大統領の娘婿クシュナー上級顧問。米紙ウォールストリート・ジャーナルのジェラルド・F・セイブ氏は「ビッグ・ファイブ」と呼ぶ。

 4月にはシリア攻撃を支持するクシュナー氏と、孤立主義の立場からシリア内戦への関与に消極的なバノン氏が対立。ニューヨーク・タイムズ紙によると、バノン氏がクシュナー氏を「おまえは民主党員だ」と罵倒したとされる。

 結局、トランプ氏はクシュナー氏の意見を採用し、バノン氏は4月5日、NSCの閣僚級委員会の常任メンバーから外された。北朝鮮問題でも、トランプ政権は中国の影響力を重視し、バノン氏やナバロ国家通商会議(NTC)委員長の対中強硬論を抑えた。

 バノン氏の更迭論も報じられたが、復権の兆しもある。北朝鮮問題で同盟重視を続けていたトランプ氏は米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備の費用を韓国に負担させると発言。ホワイトハウスに通商政策と製造業政策を担当する部署を新設する大統領令に署名し、保護主義的なナバロ氏をトップに充てる。

 2018年中間選挙や20年大統領選をにらみ、バノン氏らに代表される自らの支持基盤を意識した「原点回帰」の動きとみられる。


憲法施行70年 改憲、タブーではない 半島緊迫「本気で考える時」
産経新聞 5/3(水) 7:55配信

 日本国憲法施行から3日で70年。近年は改憲論議が盛り上がりつつあり、世論調査では改憲賛成派が半数を超えることも多くなってきた。世界各国がよりよい憲法を目指して憲法を改正する中、日本の有権者はこの70年間、改憲についてどう考えてきたのか。

 「あなたは憲法改正には賛成ですか、反対ですか」。政府は昭和31年10月、初めて「憲法に関する世論調査」を実施。この時は「賛成」が29%で「反対」が26%だった。この世論調査は46年までほぼ1年に1度行われ、改正の是非を直接聞いていた30年代は賛否がほぼ拮抗(きっこう)、憲法の欠点があった場合などの前提を質問に付けた40年代は改憲派が上回ることが多かった。

 麗澤大の八木秀次教授は過去の憲法論議を「昭和30年に憲法改正を党是として自民党が結党されたが、その後は高度経済成長の中で改憲の動きが後退した」と分析。「『改憲』という言葉がタブー視されなくなったのはこの20年。冷戦後に東アジアの情勢が不安定化したり、北朝鮮の拉致問題が注目を集めたりして、ようやく国民の間に『このままでいいのか』との認識が高まった」と指摘する。

 最近はどうか。本紙とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査では、10年前の平成19年6月は改憲賛成44・3%、反対31・7%だった。

 その後、北朝鮮の3回目の核実験から約2カ月後の25年4月に賛成が61・3%に上昇するなど、日本の周囲が不安定になると賛成派が増加。昨年4月は賛成と反対が同じ45・5%だったが、米大統領選でトランプ氏が勝利した同11月は賛成55・7%、反対37・2%と逆転し、今年4月も賛成52・9%、反対39・5%と賛成派が上回った。

 駒沢大の西修名誉教授は近年の賛成意見の増加について「北朝鮮情勢など周辺国との緊張関係が高まっていることが背景にある」とし、「今こそ改憲について本気で考えるべき時だ」と訴える。

 西名誉教授によると、日本の憲法は世界189カ国で14番目に古いが、日本以外は独60回、仏24回とほぼ全てで改正を重ねている。「環境が変われば憲法も変えるのは世界の常識」。西名誉教授はこう話している。


戦争は向こうからやって来る
JBpress 5/3(水) 6:15配信

 日本は北朝鮮がノドンやムスダンなどを展開した前世紀末から射程内に入っている。核の小型化こそ未完であったが、核と同様に大量破壊兵器に分類される生物兵器や化学兵器も大量に装備しているとみなされてきた。

 しかし、日本自身が安全保障の観点から問題視することはなかった。改めて気づかされることは、日本は自国の安全に無頓着で、何らの対策もしてこなかったということではなかろうか。

 一昨年の安保法案審議でも見たように、実質的、かつ具体的な議論は一切避けて、憲法論議に終始した。今回明らかになったような脅威が一切議論に上らないため、いつの間には「日本が危機に直面することはないかのような」錯覚に捉われてきた。

 実は北朝鮮以上に潜在的な脅威が中国であることは先にJBpress拙論「『国の守り』を放棄する学術会議でいいのか」で述べた通りである。

 ともあれ、日本では隣国の脅威などを議論するのをタブー視して、ただ米国の抑止力をあてにするだけである。

 普通の国家であるならば、普段から英知を集めて非常時に備えた準備をするのが当然であるが、日本ではそうした意識が欠落している。その最たるものは日本学術会議が「軍事目的の科学研究を行わない」と決めたことであろう。

 安全保障は何を差し置いても優先されるべきことであり、科学研究の総力結集が欠かせないからである。

■ 現代戦の様相

 言霊信仰の強い日本では、「戦争」という言葉は忌避される傾向にある。特に戦後生まれの日本人は軍事に関する認識をほとんど持ち合わせていない。

 そこで、実戦場裏としてはベトナム戦争映画の「プラトゥーン」か、仮想空間で得体の知れない何かが作用して通信遮断などによる混乱をもたらす状況などではなかろうか。

 かくて、戦争は戦場にある将兵たちの戦い、あるいは関係する少人数の領域のことくらいの認識である。従って、軍人をはじめとした特定の人に任せておけばよいというものである。

 しかもその様相は、爆撃機が侵入してくる敵軍に対して爆弾を投下して阻止・減殺する。その後、当方は侵攻してきた残余の敵に対して、戦車や大砲などの火力支援を受けた歩兵が相手の陣営に突入するという第2次世界大戦からベトナム戦争までくらいのパターンである。

 しかし湾岸戦争では、偵察衛星と巡航ミサイルの組み合わせによって、敵に発見されずに従来は考えられなかった遠隔地の主要人物や施設などをピン・ポイントに攻撃できるまでになり、当方が被害を受けることなく破壊率を著しく高めることができた。

 これはエレクトロニクスの活用によるIT技術の急速な進歩で、軍事革命(RMA:Revolution in Military Affairs)が主張され、軍の改革で兵器・装備と共に指揮統制システムが一新されたからである。

 緊急な対応が必要な場合には、第一線部隊である歩兵中隊が、直上の大隊、連隊、旅団等の指揮を受けることなく、師団長から直接指揮される状況さえ生起する。これは、第一線部隊の状況やそれを指揮するに必要な情報が上級レベルでも共有され同時並行的に処理できる情報処理システムなどが開発されたからである

 こうした先進技術を駆使して編み出されたのがエアー・ランド・バトルと称された「空地戦」構想であった。地上部隊がエレクトロニクス化され、指揮通信衛星などを介して空軍部隊や陸軍航空部隊と連携しながら作戦戦闘を遂行できるまでになってきたのであった。

 電子化された基本部隊は「デジタル師団」とも呼称された。通信システムだけでなく、指揮・統制、情報処理などにおいても、デジタル処理で同時多目的対処ができる師団に改編されてきた。

 しかし、科学技術の進歩は著しく、デジタル師団も「今は昔」というほど激変し、無人偵察機や偵察衛星などによって得た情報が宇宙通信衛星を経由してリアルタイムで取り入れることが可能となり、一段とエレクトロニクス化が進捗している。

 そのために、作戦場面も陸に侵入される以前の海空領域で接近を阻止する「接近阻止・領域拒否」A2/AD(Anti-access/area-denial)戦略で、いわゆるエアー・シー・バトルと称されるものである。

■ 戦争は向こうからやって来る

 日本は北朝鮮の被害国である。うら若い無辜の日本人数百人が北朝鮮首領の命令を受けた工作員によって、日本の領土で拉致され連れ去られた。不法に拉致された被害者を取り戻すために、何度も外交交渉を行い、飴と鞭で対処してきたがいまだに解決に至っていない。

 そうした中で、北朝鮮は6か国協議に見せかけた時間稼ぎで関係諸国を翻弄し続けてきた。また、核の小型化とICBM(大陸間弾道弾)の開発を急ぎ、米国を射程に収める核ミサイルの装備で、米国の核抑止力に風穴を開けようとしてきた。

 米国を攻撃目標に設定できることで、日米同盟が機能しなくなり、日本を孤立化させることができるとみているのだ。

 また、中国は経済発展に伴って軍事力が増大した1990年代以降、領海法を施行して日本の領有である尖閣諸島を自国領に組み込んでしまった。

 また、東シナ海の日中中間線周辺に位置するガス田については、日中両国で話し合うことになっていた合意を勝手に反古にし、試掘を継続している。

 日本は憲法前文にあるように、「国際社会における公正と信義を信頼」して、平和を愛する国家として軍隊を放棄し、また「国際条約など」誠実に順守してきた。

 それにもかかわらず、上記のように北朝鮮は日本人を拉致し、日本を射程に収める弾道ミサイルを開発装備してきたし、中国は日本領の尖閣諸島を力にものを言わせてかすめ取ろうとしている。

 日本が北朝鮮や中国にどんな悪事を働いたというのだろうか。北朝鮮では1995年夏の大洪水で穀物生産が約800万トンから400万トンへ半減する危機的状況に陥った。日本は世界食糧計画(WFP)などの要請に基づき、人道的観点から50万トンの米の食糧援助を決定した。

 また、中国に対しては有償無償併せて総額7兆円弱のODA(政府開発援助)支援を行ってきた。今日における中国の発展の基底には、日本の支援によるインフラ整備が大いに寄与しているとされる。

 このように、日本は北朝鮮と中国に多大の貢献をしてきた。しかし、両国は共産主義体制と独裁で国内に不満が山積しており、その空気抜きに外に敵を見つけてナショナリズムを高揚する政策をとっている。敵に見立てられているのは、ほかならぬ日本である。

 日本は軍隊を持たず、交戦権も認めていないので戦争を仕かける意志も能力もない。辛うじて警察官の職務を準用して、専守防衛に任ずる自衛隊が存在するだけである。普段は大規模災害発生時に知事などの要請に基づき人命救助や被災地の復旧・復興の任を帯びて派遣される。

 PKOなどで海外に派遣された部隊も道路・橋梁の復旧や医療・給水支援などがほとんどであり、日本や自衛隊が戦争を仕掛けるなどは思いもよらない。しかし、北朝鮮のように向こうからやって来る脅威には敢然と対処し、領土と国民を守らなければならない。

■ 学術会議の会員に防衛意志はないのか

 ざっくり言えば、北朝鮮の脅威が明らかになる以前の1990年代後半に中国が沿岸に配備したCSS-6(東風15、DF-15)が日本を射程内に入れた時から20余年間、日本は自国への危機として真剣に向き合うことなく過ごしてきた。先の安保法案審議はまたとない機会であったが、例によって神学論争に明け暮れた。

 この時点でも野党はノイジー・マイノリティを煽動して、「戦争法案」だと強弁して「日本の安全」のための具体的な論議をしようなどとは考えもしなかったようである。

 米国の問題視に連動して、いまようやく「ミサイルが飛んできたら」「核爆発が起きたら」という議論になりつつある。それでもいまだに「たら・れば」の仮定でしかなく、「脅威の襲来」という現実認識に至ろうとしない。

 多くの日本人が誤解のうえで親近感を抱いているスイスは、ソ連が人間衛星ガガーリンを打ち上げたことで、核戦争もあり得ると予測し、核シェルターや対処訓練を地方自治体に義務づけた。各家庭には核戦争が起きた時の対処行動のための分厚い手引書を配布した。

 政府主導ではあるが、どれもこれも脅威の認識と対処の必要性を国民が容易に認識できたから進められた政策である。これは「中立の維持」と「自分の国は自分たちで守る」という固い決意に根づく国民皆兵が根底にあることと大いに関係している。

 国防は他人事ではなく自分事であり、国家の総力を挙げて対処すべきことであるが、日本人にはこの意識が完全に欠落している。

 先に開かれた日本学術会議の総会では、軍事研究に関して「安全保障や平和と学術との関係など、より広く継続的な議論が必要」「軍事や国防とどう向き合うかといったテーマは(人文系・工学系など)色々な分野の専門家が垣根を越えて議論するべきもの」(「朝日新聞」2017年4月15日朝刊)という指摘が相次いだとされる。

 こうした慎重な対応を求める声があったにもかかわらず、それを無視する形で、総会に先立つ数週間前に開かれた幹事会が決めた「軍事目的の科学研究を行わない」とした声明を追認したのである。

 軍事研究に関係しなければ平和が留保され、静謐な研究環境が保証されるというものではない。スイスに見るように、むしろ、外部からの脅威は自力で払いのける努力をしなければ、安全な研究環境はおろか、言論の自由や集会(学者の場合は研究発表の場としての学界であろう)の自由までも奪われよう。

 それどころか、独裁者の邪魔になるエリートたちはソ連時代のサハロフ博士などのように監房に閉じ込められ、あるいは文化大革命の中国のように農村に下放され、酷使されるのが落ちではなかろうか。

■ 先進科学研究が日本人を救う

 (1)過去の事例から

 1995年に起きた地下鉄サリン事件が残した教訓は大きい。当方が攻撃兵器として使用する意志がなくても、他方に攻撃意志が存在する限り使用の可能性があり、その場合の防護法は確立しておく必要がある。

 当時は既に化学兵器の存在が確認されていたが、自衛隊が防護のための研究を主張しても国会では、「けしからん」という声があり、特に野党からの批判が激しかった。

 しかし、思いもしないことに、オウム真理教が朝の通勤時間帯を狙って地下鉄でサリンを散布し、大変な騒動になった。そこで、防護法を研究していた自衛隊に災害派遣が命じられた。

 死者13人、負傷者6300人余に及んだが、野党の主張どうりに防護の研究もやっていなかったならば適切な処置ができず、被害は10倍、100倍になっていたかもしれない。

 最近の事例でも、金正男氏殺害にはVXが使用されたし、シリアでは化学兵器自体が使用され多数の死傷者が出た。ちなみにシリアは化学兵器を1300トン保有するとされるが、北朝鮮は2500~5000トンを保有しているとみられている。

 2011年の東日本大震災に伴って発生した福島第2原発事故も大きな教訓を残した。特にメルトダウンしているとみられた原子炉の過熱を防止し、放射能の散逸を少なくすることが必要であった。

 しかし、核という言葉が出るだけで日本人にはアレルギーにも似た体質がしみ込んでおり、核兵器対処はいうに及ばず平和利用の原子力についても安全神話で囲い込まれ、対処についてはほとんど研究が行われていなかった。

 この2つの事例からも分かるように、大量破壊兵器と総称される核・生物・化学(ABC)兵器が存在する限り、その防護法についての研究は必要不可欠である。

 (2)近未来の戦争様相

 大量破壊兵器は保有の誇示で抑止効果を発揮できる。従って、国際社会の監視を潜り抜けて保有に邁進する国家やテロ組織などが出てきても不思議ではない。今日では製造などに関する情報も出回っており、研究開発の費用を投じないでも比較的容易に手に入れることができる。

 国際社会では核兵器や生物・化学兵器についての取り決めや査察制度はあるが、十分に機能していないため、いろいろな問題が出てきている。

 また、今日ではコンピューターなしの社会は考えられない。軍隊においてもあらゆる部隊などに導入されている。従って、従来は第一線の兵士の損耗で勝敗がおおむね決したが、近未来の様相は全く異なる。

 政治中枢と部隊の指揮中枢の通信システムや師団長の指揮統制システムを破壊や混乱させることで、シビリアン・コントロールが機能しなくなり、あるいは部隊の戦力発揮が阻害される。

 情報収集には衛星や無人機などが多用されるが、収集システムや伝送システムなどを混乱させるだけで、軍隊が無用の長物にならないとも限らない。

 強力な電磁パルスを発射して内装しているコンピューターを機能不全に陥れ、また情報伝搬の電波より強力な電波を発信して情報伝送を混乱させる電子戦などは一層拡大の方向にある。

 さらには相手の情報を盗み取り、当方に有利なように操作・改変まで行うサイバー戦などは隆盛の一途であろう。

■ 独創的兵器・装備の必要性

 電子化された部隊は、コンパクトで機動性に富むなど優れた点が多い。しかし、逆に電子戦に脆弱であり、またコンピューターに内包された情報はハッキングされ、カウンター・インテリジェンスとして利用されやすい。

 セキュリティには最先端の理論と技術が必要なことは言うまでもない。それに関わる基礎研究、さらに応用研究、そして技術開発などは最高学府や研究所などに依存せざるを得ない。

 また、CIA(米中央情報局)の盗聴がエドワード・スノーデン氏によって明かされ、中国開発の格安スマホ用ファームウェアには利用者の個人情報を収集する機能が組み込まれているなど、エレクトロニクス化は情報収集にも巧妙に利用される。

 しかし、日本は自由民主主義という国家体制上からこうした盗聴システムなどに関心はないし、サイバー攻撃能力も持ち合わせていない。このことは、サイバー防衛能力も保有していないに等しいということでもある。

 防衛能力は攻撃能力と表裏一体の関係にあり、サイバー防衛試験などのためには擬似的な攻撃装置がなければならない。

 先の米国大統領選ではトランプ候補を勝利させるためにロシアがサイバー攻撃を行ったと報道されてきたし、それ以前から、中国は米欧日などの最新兵器情報をハッキングし、新兵器の迅速な開発・装備化に役立ててきたことが分かっている。

 日本でもサイバー・セキュリティを任務とする部隊が新たに創設される状況にあるが、自民党の安全保障調査会(会長・今津寛衆院議員)は、ようやくサイバー・セキュリティ小委員会を新設し、自衛隊による敵基地攻撃の一環としてのサイバー攻撃能力の保有に向けた検討を始めるよう提言をまとめた段階である(「産経新聞」平成29年4月21日)。

 これも、北朝鮮の脅威が顕在化したからで、概略の構想は、北朝鮮が日本向けに弾道ミサイルを発射した場合、まず「SM-3」(イージス艦搭載)と「PAC-3」(ペトリオット装着)によるミサイル防衛(MD)システムでしのぎ、敵基地攻撃手段としての戦闘機や巡航ミサイルなどと連動する形で相手のネットワークにサイバー攻撃を仕かけて第2撃以降の発射を阻止するという、極めて受動的なものである。

■ おわりに

 北朝鮮は4発のミサイルを同時発射し、3発は日本のEEZ内で約50キロの範囲内に着弾した。「在日米軍基地の攻撃を担う部隊」が発射訓練をしたことを明らかにした。最近の緊張状態の中で発表する北朝鮮の声明には、韓国を火の海にし、日本を沈没させるというセリフもある。

 日本から攻撃を仕かけなくても、時と場合によっては相手国から侵略してくることが予測される。自衛隊はこのように侵略してくる軍隊、その国家に対する抑止力として防衛力を構築している。日本から進んで他国を侵略する意志などないことを国会答弁で、また自衛隊の編制や装備の面から見ても確認できる。

 すなわち「専守防衛」が日本の防衛政策の柱の1つでもある。しかし、禍は突然のようにやってくる。在日米軍基地が目標ということは、日本の領土に落下させ、日本人に被害を及ぼすということでもある。

 こうした事態を抑止することは、自衛隊や防衛企業だけで為し得るものではない。国家の総力を結集した防衛態勢の確立には、理論研究を行っている大学や研究機関などの協力も不可欠である。

 しかし、防衛省が先端研究を助成するために平成29年度から設けた「安全保障技術研究推進制度」に、当初は意欲を示していた多くの大学も、日本学術会議の声明を受けて、二の足を踏み始めている。

 個人的な思想信条から会員の中にも反対者がいるであろうが、「軍事目的の科学研究は行わない」とする声明は自縄自縛に陥る危険性を内包しているように思えるがいかがであろうか。


北朝鮮問題を抱えても中国の膨張を許さないトランプ
JBpress 5/3(水) 6:10配信

 大統領に就任する前のトランプ氏は中国に対して非難を浴びせ続け、対決を辞さない姿勢を打ち出していた。ところがここに来て北朝鮮の核問題が深刻化するとともに、中国に協力を求める態度に変わったようにみえる。米国は今後、中国に対してどのような政策をとっていくのか――。

 私は長年、米中関係の取材・報道に取り組んできたが、その成果の1つとしてこの4月中旬にトランプ政権の対中政策に関する緊急報告の書籍『トランプは中国の膨張を許さない!  「強いアメリカ」と上手につき合う日本』(PHP研究所)を上梓した。

 本書では、「東アジアに安定をもたらす安倍・トランプ関係」「中国、北朝鮮と対決するトランプ政権」「アメリカ国民はなぜトランプを選んだか」「トランプの抵抗勢力メディア、民主党との抗戦」など、対中政策にとどまらず対日政策、国内政策、メディアとの戦いなどトランプ政権の全体像について広く論じた。

 こうした内容を踏まえて、ここでは米中関係の現状と将来について報告してみたい。トランプ氏がずっと明示してきた中国への厳しい対決姿勢はどうなったのだろうか。

■ 米中首脳会談に関心がなかったトランプ大統領

 結論を先に述べるならば、トランプ大統領は中国の軍事力を背景とする領土拡張には今なお強く反対する態度を保っている。現在の柔軟にみえる対中姿勢は北朝鮮の脅威を抑えるための一時的な方途にすぎない、というのが真実だと言える。

 トランプ政権の対中政策に変化が生じたように見えたのは4月上旬だった。トランプ大統領と習近平国家主席は4月6~7日に、フロリダ州の同大統領の別邸で会談した。会談の最大の議題は北朝鮮問題だった。北朝鮮の核兵器とICBM(大陸間弾道ミサイル)の開発を阻むため、トランプ大統領が習主席に北朝鮮への経済制裁を徹底してほしいと強く要請したのだ。習主席はその要請に応じるかのような態度をみせた。会談は、米国と中国が急に協調路線を歩むようになったことを印象付けた。

 では、トランプ大統領がそれまで中国にぶつけてきた不満の数々はどうなったのか。中国の軍事的な膨張に断固として反対するという基本政策はどうなったのか。

 拙著の内容を踏まえて、米中首脳会談前後のトランプ政権の対中政策の微妙な変化を解説すると、次のようになる。

 トランプ大統領は日本の安倍首相ら同盟国首脳との一連の会談を済ませた後の2月後半から3月以降も、習主席との会談にはまったく関心がないようにみえた。新政権として会談を設定する動きもみられなかった。だが水面下では、中国側がトランプ政権へのアプローチを試みていた。中国政府の外交担当国務委員の楊潔篪氏や駐米大使の崔天凱氏がキッシンジャー氏のコネなどを利用し、トランプ氏の女婿のジャレッド・クシュナー大統領上級顧問に必死で接触していた。それは、首脳会談に応じてほしいという、まさに“懇願”だった。

 すると、トランプ大統領側にも習主席に会うことの必要性が生まれてきた。北朝鮮の金正恩委員長の米国への挑戦的な宣言や、ミサイル発射実験など危険な動きが相次いできたからだ。金委員長の「米国本土にICBM(大陸間弾道ミサイル)を撃ちこむ準備を着々と進めている」という挑発に、対応せざるをえなくなったのだ。

 北朝鮮の核武装やICBM開発を阻むためには、軍事攻撃も含めて多岐な手段がある。中でも当面は、北朝鮮のエネルギーや食糧の供給で死活的な権限を持つ中国に圧力をかけて、北朝鮮を動かすことがベストだとトランプ政権は判断した。そこで、トランプ大統領自身が「いまの米中両国にとって北朝鮮への対処が最大の共通課題だ」と言明し、中国に強い圧力をかけることを内外に宣言した。

■ 強固な対中姿勢は会談でも明らか

 トランプ大統領からすれば、本来は会談を中国側に一連の抗議や非難をぶつける場にしたかったはずだ。中国側の不公正貿易慣行、為替レートの操作、対米貿易黒字の巨額の累積、南シナ海での無法な領土拡張、米国官民へのサイバー攻撃などに関する非難である。

 ところが状況が大きく変わり、中国に対北制裁の徹底強化を要請することとなった。暫定的な政策であるにせよ、中国に全面協力を迫ることが必要となったのだ。

 そうなると、他の案件での中国への抗議や非難がどうしても後退することになる。ではトランプ政権は今後、中国と協調する姿勢を取り続けるのだろうか。

 ここで間違いなく言えるのは、現在の北朝鮮に絡むアメリカの対中要請は、あくまでも緊急の措置であるということだ。トランプ政権にとって、中国を糾弾しなければならない要因は相変わらず厳存する。

 実はこの米中首脳会談でトランプ大統領の強固な対中姿勢ははっきりと示されていた。まず、会談の途中でトランプ大統領がシリアの空軍基地への爆撃の通知を習主席に事後連絡の形で伝えたことである。これは、外交の慣例からみればまったくの非礼な対応だと言える。中国が米国の軍事力行使に反対することは明白だったが、習主席はその場で反対を表明せず受け入れたような対応をとった。トランプ大統領の強圧的な攻勢にすっかり押し切られた格好だった。

 また、トランプ大統領は習近平主席を招きながらも、自分の別荘「マール・ア・ラーゴ」には宿泊させなかった。習氏の滞在先はホテルだった。この点は安倍晋三首相へのもてなしとは決定的に異なっていた。

 米中関係は、北朝鮮問題という緊急課題の登場によって、いったん脇道にそれた形となった。だがトランプ政権が中国側の無法な膨張や利己的な経済、貿易政策への本来の不満をなくしてしまったわけではない。中国の国際規範に反する行動は必ず強固な方法で抑えていくという基本姿勢は揺らいでいないのである。

■ トランプ氏とこれまでの大統領の違い

 習主席がフロリダでの首脳会談以降にみせた対米協調姿勢は、米中関係の長い歴史のなかで初めてと呼べるほどの軟化である。その軟化は端的に言えば、トランプ大統領が中国に対して態度を硬化させたことの結果だった。トランプ大統領の中国への姿勢は、米国の歴代大統領の対中姿勢とどこがどう異なるのか。

 私はワシントンを拠点として、ここ十数年、米中関係の流れを追ってきた。とくに米国歴代政権の対中政策の変化を注視してきた。

 1999年から2年間は産経新聞の初代中国総局長として北京に駐在した。そして北京からワシントンに戻ってからは、米国側から米中関係を取材した。私がワシントンで見てきたジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマの両政権の対中政策は、それなりに違いはあったものの、共通項も多かった。つまり、中国と対立したり衝突する領域を十二分に意識しながらも、協調や関与を重視するという点が共通していた。

 とくにオバマ大統領は、中国に対してきわめてソフトな協調姿勢を保った。対立点を軽視する態度だったと言ってもよい。中国側は、表面的にはそれに応じて「新型大国関係」や「平和的な発展」「互恵の戦略関係」といった標語を掲げ、米国への協調の意図を示す態度をとった。

 だが現実には、中国は衣の下に鎧を隠していた。かつてない規模で軍事力の増強を続け、南シナ海や東シナ海での支配圏、影響圏の拡大を進めた。米国の政府機関や民間大企業などへのサイバー攻撃も行い、国際社会の規範に挑戦するかのように国民の人権や自由も侵害する。中国は今や、米国の主導で築かれた戦後の国際秩序を突き崩し、中国の主導による新たな国際秩序を構築しようという野望を露わにしている。

 そのような中国に対して、トランプ大統領はオバマ政権とはまったく異なる強固な姿勢をとることを宣言していた。そして、その姿勢は今も続いている。中国の軍事力を武器とする膨張は断固として許さないという基本姿勢は、決して変わっていないのである。


北朝鮮問題で米国と中国を待ち受ける「誤算」
東洋経済オンライン 5/3(水) 6:00配信

 ドナルド・トランプ大統領は、インタビューやツイッターで「大規模な、大規模な紛争」の兆しが見える、といった漠然とした警告を行い、朝鮮半島での差し迫った戦争の話題で首都ワシントンを混乱させ、メディアを騒がせ続けている。

 だが、米国の政策の現実がもっともよく表れているのは、先週のホワイトハウスでの会合でニッキー・ヘイリー米国連大使が、中国の国連当局者に語った内容だ。会合の出席者が記者に語ったところによると、ヘイリー大使は当局者のほうを向いて「この件に関しては、そちらで解決していただけないかと期待しています」というようなことを言っていたという。

 最近見直されたトランプ政権の北朝鮮政策は、基本的には「中国に任せろ」というスタンスだ。米国が、シリア攻撃規模かそれ以上の先制攻撃を北朝鮮に行うかもしれないという「脅し」は、中国が北朝鮮に対して持つ外交的カードを選ばないとならない状況に追い込んだ。戦略的国境での紛争を避けるにはそれしかない、という状況に追い込んだのである。

■中国の北朝鮮戦略が変わった? 

 こうした脅しは、北朝鮮のことも多少慌てさせるかもしれないが、米国の政策担当者たちには、これで北朝鮮の「行動」を抑止できるかどうかは確信できないと考えている。現時点で予想できるのは、6回目の核実験、あるいは、米大陸に到達可能なミサイルシステムの実験という2つのレッドラインを北朝鮮が超えた場合、中国は食料や燃料、そのほかの必需品の供給をストップするという形でそれに応じるのではないかということだ。

 北朝鮮は貿易の9割を中国に依存している。トランプ政権に近い政策担当者によると、中国は北朝鮮政策を少しずつ変えつつある。中国が考えている戦略は、金正恩朝鮮労働党委員長が非核化会合に戻るよう圧力をかける、といったものから、クーデターによって金正恩氏を解任させる、といったものにまで及ぶ。

 「中国に任せろ」政策は、なにも今に始まったことではない。ジョージ・W・ブッシュ政権は、中国が「同盟国」である北朝鮮を従わせることに期待し、同じアプローチを繰り返し試みた。

ブッシュ大統領が行ったこととは?
 たとえば、ブッシュ大統領は2005年2月、中国の胡錦濤国家主席に北朝鮮が核物質を世界中に売りつけている事実の詳細を含む書簡を持たせた特使を送り、対処を迫った。これがきっかけで交渉が進み、同年9月の6者協議において非核化に関する共同声明が出される結果となったのである。しかし、その1年後、北朝鮮は最初の核兵器実験を実施している。

 トランプ政権は、なぜ今この方法がうまくいくと考えているのだろうか。ひとつには、過去2つの政権が出した答えと同じで、「それよりいい選択肢がない」ということが理由だ。

 もう1つの理由は、中国の指導部から「中国は行動に出る用意がある」という印象が伝わったことだ。その「印象」とは、フロリダ州で4月上旬に行われた米中首脳会談、そしてその後の2回の電話での会談で、習近平国家主席とトランプ大統領の間に得られた理解に基づくものである。

■米中首脳間にある「共通理解」

 最近、中国の北朝鮮政策責任者が米国の北朝鮮担当官に伝えたところによると、両国の指導者は、北朝鮮の核問題は決断の遅れを許すことのできない緊急の問題となっている、との見解を共有している。中国と米国で北朝鮮に対するスタンスの違いはあるにせよ、早急な対応が必要という点では一致している。

 北朝鮮が核弾頭や大陸間弾道ミサイル(ICBM)の実験を行った場合、中国からはより厳格な対応が考えられる、と中国側はしている。こうした中、中国は米国によるターミナル段階高高度地域防衛(THAAD)ミサイル防衛システムの韓国への配備に対する米国への抗議を、ひとまず後回しにしようとも考えている。

 しかし、より精力的に北朝鮮の非核化を目指すこの「合意内容」は、北朝鮮の政権交代なしで行うと米国が合意することが必須条件だ。中国は政権交代案に長い間反対してきているからだ。中国は北朝鮮の崩壊を招くような、激しい制裁は現実的ではなく、中国の利益にとっても危険性が高すぎると考えている。

米国に脅されたわけではない
 もっとも、中国の政策担当者たちは、今回の中国の戦略変更が、米国の「脅し」によって引き起こされたという点については否定している。前述の北朝鮮政策責任者によると、瀬戸際政策は米国と北朝鮮の両者が行っているよく知られた戦略だと語る。中国はトランプ大統領が北朝鮮への軍事行使をちらつかせる以前から、北朝鮮への圧力を強めていたという。

 一方で、こうした曖昧な脅威に対して、北朝鮮が対抗し、これがさらなる米国による行動を促す、という形でエスカレーター式に全面戦争へ上り詰める危険性があるのではないか、という米国側の懸念については、中国の政策担当者たちも同意している。

■中国は本当に北朝鮮に圧力をかけているのか

 はたして中国は、実際に北朝鮮に圧力をかけているのだろうか。これはここ数週間にわたって中国の港湾に石炭を運ぶ北朝鮮の貨物船の動きや、両国を結ぶ中朝友誼橋を通る交通の流れを調べてきた各国政府や情報アナリストが考えてきたことである。

 中国はその努力の証拠として、2月下旬と4月下旬に北朝鮮の公式メディアに中国に対する珍しく単刀直入な批判が掲載されたことを挙げている。この批判記事はどちらも「ジョン・フィル」(仮名と考えられている)の名で書かれていた。両記事の内容は明らかに中国を指し、制裁を科すという脅迫をはねつけ、「他人の音に合わせて踊る」ことは決してしないと誓っている。

 中国によるこうした取り組みは米国の期待に応えるだけのものなのか。少なくともトランプ大統領や顧問たちがそのように信じているのは明らかだ。米中首脳会談および電話会談後のコメントでトランプ大統領と高官たちは、中国側の報告でも述べられた両国の「理解」について同じことを語っていた。

 トランプ大統領は、米中による行動の引き金となるのは、核兵器やICBMの実験だと明確に打ち出したが、先日行われた短距離ミサイル実験のようなものはその中に入っていない。

CBSテレビのインタビューで語ったこと
 大統領は米CBSテレビのインタビューで、「彼が核実験を行えば」と金正恩を指して述べ、「私はよい気持ちがしないだろう。そして言っておくが、中国の国家主席、大変尊敬されている方だが、彼にとっても、よい気持ちがしないに違いない」と語っている。

 トランプ政権はまた、北朝鮮の非核化を目指す中で、その中に政権交代を含まない姿勢も明らかにしている。

 レックス・ティラーソン国務長官は、先ごろNPR(米公共ラジオ局)に、米国は北朝鮮と直接に対話する意思があると述べたが、核とミサイル計画を一時的に凍結する、という以前の取引に戻ることはありえないとしているようだ。「正しい議題とは、北が単に数カ月間とか数年間(核開発を)中止し、再開する、といったことではない。過去20年間この議題は変わっていない」(ティラーソン国務長官)。

■中国の真意はどこにあるのか

 だが非公式には、中国はトランプ大統領を納得させ、わがままな依存国をそのままの状態に保ち、しかも米国の影響力を朝鮮半島に寄せ付けないようにすることができると確信している。今、中国が望んでいるのは、以前の合意に基づいて米国・北朝鮮間の交渉を再開させ、すべての核・長距離ミサイル計画を再凍結するための交渉を行うことだ。

 こうしたなか、中国と米国にとって予想できない展開をもたらす可能性があるのが、韓国である。同国では5月9日、汚職による起訴に直面している朴槿恵前大統領の弾劾を理由に、早期選挙で新大統領が選ばれることになっている。

 大統領の最有力候補は、盧武鉉元大統領の首席補佐官だった「共に民主党」の文在寅氏。同氏は先週、北朝鮮に対する今後の政策について声明を発表した。しかし、大言壮語的なトランプ大統領のどのインタビューよりも重要だったにもかかわらず、韓国外ではまったくといっていいほど無視された。

文氏一派は米国の戦略をどう思っている?
 文氏は、金大中元大統領の「太陽政策」路線に沿って、北朝鮮への全面的な関与の復帰を表明した。これは、米国との同盟関係に支えられた強力な防衛力をベースにしたものではあるが、独自のミサイル防衛システムを含む独立国家としての韓国の軍事力を強化する、と同氏は語った。

 ちなみに文氏はTHAAD配備には反対。また、6者協議の再開と北朝鮮との経済協力の再開を提案しており、これを最終的に経済的統一計画につなげる考えのようだ。

■「ゲーム自体が崩壊する可能性もある」

 さらに、もっとも重要なのは、このプロセスを中国や米国ではなく、韓国が主導すると文氏が主張していることだ。「今後は、北朝鮮を変えるために『中国の役割』に依存するのではなく、『韓国の役割』に基づいた新しい南北政策の枠組みを形成することとする」としている。

 トランプ政権の「中国に任せろ」政策は、文氏からも、彼の顧問からもほとんど支持されていない。韓国政治に精通した米国高官によると、「韓国の進歩主義者たちは、中国がこの問題を解決するというストーリーに激しく反対している」という。「彼らは中国にこの件を任せようと思っていない。制裁は効かないという北朝鮮の主張を受け入れ、北朝鮮における中国の影響力を弱めたいと考えている」。

 トランプ大統領は、最近の取材で韓米自由貿易協定を終了する準備ができていると述べたほか、韓国側にTHAAD配備の費用として韓国に10億ドルを支払うよう求めたが、これは両国間の既存の合意に反するだけでなく、THAAD配備に反対してきた進歩主義者たちを激怒させることともなった。 H.R.マクマスター国家安全保障顧問は、韓国の金寛鎮国家安保室長との電話会談で、以前の合意を確認する旨を伝え、和解を試みたが、ダメージは避けられなかった。

 ここ数週間の米国防長官や国務長官、副大統領の訪韓にもかかわらず、米国の高官たちと、韓国で政権に就くことになる面々とは接触が見られない。現在に至るまで、「進歩主義者たちは米国の話を聞く気分ではない」と、前述の高官は話す。「ゲーム全体が崩壊する可能性もある」。

 就任以来、外交問題で手一杯のトランプ大統領が胸をなでおろせる日はまだ来そうにない。

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